返答詩「叶わない。それでも、それでも。」


遠くの星を追いかけて
失くしたものを思い出にして
不自由と幸せを秤にかけて

どれも手に入らなかったもの

胸の中は寂しくないかな
どこかで人知れず泣いてはいないかな

ふと心がぎゅっとして
苦しくなって なんだか理由もなく泣きたくなった

大人が泣くなんて
でも 大人だって 泣くんだよ

理由なんて苦しいだけで充分

手に届いたかもしれないものが
次の行先を教えてくれた

指先で触れた束の間が
明日を歩く勇気をくれた

遠くで見ていた星たちが
未来があることを示していた

叶わなかったものたちにも
ちゃんと幸せがあったんだ

いつだって この手にあるものと
この手にはないものを 手の中と胸の中の秤が揺れて

思い出と今を行き来しながら
悲しくなったり寂しくなったり温かくなったり嬉しくなったりしながら

幸福な日々を生きていたい









返答詩集「どうか その優しさが あなたのもとへ」収録
https://note.com/poet_ohno/n/nb591c815e8ff?magazine_key=m9f4e03d273ef




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