10頁 「【エッセイ】未来の夫、夫の未来」



どこかで出会ったものが
偶然かもしれないけれど

噛み合った
もう偶然とは思えないほどの自然さで

出会いなんて
いくらでもないかもしれない

もともと年齢に関係なく
そういうものかもしれない

はっと 今さら気づくように
そうだったんだ と思った

私は この人と 生きて行くのかもしれない
それはとても 幸せな予感

いつでも会えるから
会わないことも自由だったり

成功するかどうかなんて どっちでもいいから
幸せになってよ といつも思う

一緒に生きていくって そういうことかもね
毎日が幸せの香り

風のように揺れる
ほんの少しの寂しさが 揺れる

そういうもの そういうもの
毎日会うって そういうこと

あの時感じた予感 今となってはもう確信
やっぱり思う そういうことだったんだ



秋は人肌恋しい季節
わたしのおうちは2DK
だからというわけでなくわたしと夫は別の寝室

夫はタバコを自室で吸い
就寝時間も違うので別室がいい
生活スタイルが違うなら夫婦の部屋を分けるのもあり

秋は深まる
肌寒くなって薄手の羽毛布団の上に毛布をかける
羽毛布団の下には肌触りのよいタオルケット

深々とした夜隣の部屋の夫に会いに行きたい
今夜は会い行くのちょっとがまんしてみようかな
大股で5,6歩進めばドアがあるけど明日の朝までじっとしてみようか

―――――――――

「よく考えよう。俺たちは明日、仕事だ」「時計見てごらん、今夜9時だ」
「よし、よく考えよう。いまから家に帰って、お風呂入って寝るだろ?」
「起きて会社来たら」「朝9時には、会社で会ってるから。」
「寝て、起きて、会社来たら会ってるから」

「ほんまやー! 」

―――――――――

部屋から光が漏れて夫は今綾野剛の精密画を鉛筆で
一枚の絵で半年近く時間を掛けたりして
その根気と情熱がいつか報われたらそれはそれは嬉しいな

未来に光はさしてくれるかな
本当に本当のことを言えば
成功しても夢が叶わなくても正直なところどちらでも良くて

人肌恋しい秋
隣の扉をノックするのをこらえた今日
久しぶりに舌で転がして味うのもいいかな「せつない」気持ち

あなたがいる、
それだけで
あなたのいる今日がある
それだけで

本当に、
本当に。


ここから先は

0字

¥ 100

詩人です。出版もしております。マガジンで書籍のご案内もいたしております。頂いたサポートは出版の費用にさせていただきます。