羽海野チカ「ハチミツとクローバー (4)」

好きは、好きだけではなくて
大切という意味も、負けたくないという気持ちも
含まれていて

いくつもの風船みたいに揺れているから

紐を手繰り寄せて
隣の紐を握ったら
もうそれは 違う感情になってしまう

遠い
こんなに近かったのに
今はもう遠い

叶わない
それは前も思った
でも それでも
嫌なんだ だったらもう
動き出すしかないじゃないか

近づこうとする手と
遠ざかろうとする足が

交差して
ちぐはぐなような
すれ違い

それはもう
幸せと悲しみの間で揺れている

握った手
ならもう離さないで

想いが伝わるまで

自分の気持ちだよ
伝えるための言葉だよ
動くための体だよ

生まれてきた意味とか
そういう大げさなことなんかじゃなくて

人を好きになるって そういうこと

全部全部 ありがとう
抱きしめて 持っていくよ

苦しくても
そうしたものすべてが
きっと 自分を作るんだ

―――――――

ハチミツとクローバー(3)
https://note.mu/poet_ohno/n/n294525c59992


ハチミツとクローバ―(5)
https://note.mu/poet_ohno/n/n0fabc852ff4d?magazine_key=mf112a52f1a27


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