「魂の揺り籠」 終わりと始まりについて
before
「終わりとは始まり」
できないことが増えていく
悲しい秋を経る度に老いの緩やかな訪れを感じる
枯れた葉が敷き詰められた道を行く
拾い集めたもの
それは世界からの借り物
世界に返すためのもの
零れ落ちるものが――増えていく
それは一つの終わりを感じさせる
―終わり…
それはなんて切ない
悲しみに活ける花のような
ほのかに甘い言葉だろうか
手を伸ばしても どんなに願っても 祈っても
叶わない時が来るだろう
あなたは離れていく
周りにいた夜も 月も 何もかもが――遠のいていく
まるで星が廻り―置いていくかのような
それは――孤独
終わりは絶望なのか
それとも救いなのか
それは求めることのない
安らぎに似ているから
between
「終わりとは始まり」
最初の方で「終わりと始まりについて」という詩がある。
手直し前では同タイトルのこの詩のタイトルをどうするかを考える。
今回は再度描くというより、繰り返しを描く意味で
「始まりと終わりについて」を冒頭の詩の名前にはめて、
今回の詩は「終わりと始まりについて」という詩にしてみる。
直線的な時間の流れになってしまうし、スケールが小さくなるので、秋という言葉を除く。老いではなく終わり、という言葉にする。終わりとは絶望ではない、という一つの結論を、本文中の救い、という言葉を置かずに、絶望も救いも、言葉を使わずにイメージが伝わるといい。
本来は同じ言葉を何度も使うのは好ましくないが、零れ落ちていく、という連続性において、終わりが次々と訪れ来る、という流れを言葉を重ねることで描くなら、ありかな、というのは思う。
線で見ても点で見ても、マクロとミクロの両方で通じえる、内容に着地できた気がする。
after
「終わりと始まりについて」
悲しみが増えていく
終わりが緩やかに訪れる
零れ落ちるものが増えていく
それは一つの終わり
終わりとは悲しみに活ける花のように
ほのかに甘く咲く
手を伸ばしても どんなに願っても
祈っても 離れていく
周りにいた夜も 月も
何もかもが――遠のいていく
まるで星たちが廻りながら
自分一人だけを置いていくかのような
孤独とはもうこの世界に求めることのない
安らぎに似ている
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