21頁「傷ついた分だけ優しくなれる論に思うこと」



傷ついた分だけ 優しくなれるなんて 嘘
それは花びらが落ちていくような自然さで

私は優しいと思っていた
でも そんなことはなかったみたい

私の意図と全く関係ない場所で
人を傷つけてしまうなんて どうして分からなかったのだろう

(分かるわけがないだってそこまで考えていないんだもの)

正しさで人は救われるわけではないし
常識で簡単に心は押し潰せる
当たり前なんて どこからどこまで?

あなたのことが分からない「分かった」と思った時がもう悲しみの始まり

言葉を尽くしてでないと何も伝わらない
(少なくてもあなたを傷つけずに何かを届けようとするならば)

そして伝えたいのはやっぱり優しさなんだと思った
私は優しくありたいたとえ今がそうでないとしても

その願いが光のように 私の在り方を少しだけ照らす
何度でも手を伸べよう 言葉を紡いで あなたのために

その一歩ずつの足跡を差して それが優しさだと 私は思った

傷ついた分だけ 優しくなれるなんて 嘘
私は傷ついた分だけ優しさに臆病になっている

でも 優しくなれた時 そこには間違いなく
痛みを知っていたからだって 言えることもあるんだ



笑って生きているあの人は癒えない傷を心に抱えていて
他人には到底分からない傷の深さや痛みの全てなど

分かるのは「決して分からない」ということと
だから「言葉や心を尽くすべき」だということ

私たちは発信する自由と引き換えに遠くの誰かを傷つける地雷を手にする
(爆発したことに気づかない)

分からないことを分かるため「想像し続けること」優しさとはそういうもの

何に喜びを感じ何に悲しみを覚えどんな言葉に傷つき救われるのか
(見えない地雷を踏んでしまった時悲しみに気付くことができるように)

不特定多数と関わることも目の前の大事な人と対峙することもきっと一緒
理解することは諦めたくないやり場のない気持ちに寄り添えるように

私は優しい人間だと思っていた私のことをそれなりに

こんな感情がこの世に存在したのか負った傷や悲しみ全て誰にも分からない

(得てしてその地雷は多くの人には取るに足らないことであることが多い)

想定できない悲しみを抱えていたかもしれない今朝バスで隣に座っていた人
計り知れない孤独を抱えているかもしれない悩みもなさそうに笑っている人

分かっているようで分かっていなかった 本当の意味では分かっていない
そういう傷が誰にでも ある

朝はきて季節は巡り何事もなかったかのように桜は咲いて散っていく
生き急いでも立ち止まっても時間は変わらず流れるそれは時として冷たい
そんな無常さに救われることだってあるどうにもならない現実の中で

癒えない傷が心に流れる時間に背を押され朝陽や桜を見上げて笑っている

心に留めておこう
笑顔を容易に壊す愚かさ笑顔の裏に抱えた傷全てを理解は出来ない淋しさを

少しでも分かるように分かってもらえるように言葉や心を尽くそう
傷ついた分だけ優しくなれるわけじゃないそれでも
想像することは出来る抱きしめることは出来る寄り添い続けることは出来る
そうやって心を尽くし続ける事で少しは優しくなっていけるんじゃないか

愛する行為に臆病になっても
優しく在ろうと懸命に心を尽くす人を抱きしめよう
傍にいて何度も何度も伝え続けよう

「大丈夫、あなたはもうじゅうぶんに、優しい」

優しさはずっとずっと あなたの中に あったでしょう?
その願いのために あなたは優しくなりたいと 思ったのでしょう?

あなたの生き方が その優しさを 証明している


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