15頁 「期待することを、私はまだやめたくない。春、桜、舞う季節のはじまりに」




時間の流れる速さを
私は越えられない

望んでも 望まなくても
生きる速度で 生きている

気づいたら 春
気づいたら 別れ

咲いた花が 青空の下で散っていた

誰かの夢が終わった時
誰かの夢が始まったかもしれない

この世界で
一つ感じたことが
考えたことが
「自分しかいないんじゃないか」という奇跡のような

誰も分からなくても
自分が感じたことが 間違いなくこの世界を映し出している
その圧倒的な事実は まるで朝陽のように 眩しい

止められないなら 止まらないで生きてやれ
明日を迎えに行くくらいの気持ちで

手にしたものがすべてだから
その全てを両手いっぱいの花束にして あなたに

渡した愛の数だけ 人は幸せになる

望むことをやめないように
自分のことを まだ諦めないように


ふとピンク色の存在「咲いているよ」と主張するのを見た赤坂見附の歩道橋
青い空に少しだけ白い雲(ピンクの彩りを加える花)

「もうすぐで咲くからね」と大きく膨らむのを見ていた目黒川沿い
その日はやっぱり寒い冬の日だったけど「もうすぐ春」

何かが始まる時誰かも終わる季節は巡る時間の流れは止められない
あなたは国を超えるし私は今まだ街を超えられない

12月28日のあの空気に今日の空気は似ている
聞いてくれた人がいたとしてもたぶん理解はしてくれない今日の年末
「あの過ぎ去ってほしくない独特のゆったりした日にとても似ている」

私たちはあのはじまりの高揚やこれからへの期待をいつまでも待ち望む

変わらないことの方が怖かった20代
少しずつ成長して変わらない花をつける事にどれだけ努力をしてただろう?

「全部私のものにしたい」だなんてそんなことは不可能なのに
「依存先が増えれば増えるほど、安定性を増す世の中に向かうのだから」
期待と依存と失望と絶望の境目で私はまだこれからも悩むのだろう

もう19日を過ぎて日が変われば20日なって気づけば25日とかになっちゃって
「明後日から4月」とかになれば、もうそこにはエイプリルとフールみたい

止められないことはどうしようもなくすべてのひとに与えられた平等で
大切なことはいまこの瞬間をかみしめることきちんとその手で触れること
握ってみることたしかめて愛して失いたくないとそれでも伝えること

「伝えたという事実」が私たちの人生を彩るのだ

あんなに心を決めた新年も
決めた約束も願った事も3ヶ月という月日の前にどれくらい進んだろう? (触れられないことにこそ真実があると言ったのは誰だっただろう)

桜咲く季節の始まりの日に吹く風咲く花膨らむ蕾散ってゆくピンク薄い青
花びらその足で踏む日の前に満開のそれと心を胸に刻んで歩いていけたら
これから迎えるこの春はいままでよりも特別な季節になってくれるだろう

期待することを私はまだやめたくない

新しい季節が 私の心を運んでいくのだろう

変わろう(今日よまだ終わらないで)
ここから始めよう(まだ行かないで)
揺れながら揺らぎながら手にしたものを確かめながら

新しい季節が 始まる


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