14頁「展示をする、その理由」


夜が深まるにつれて
ぼくはひとりになっていく

生まれた時と
眠る時の静けさが重なっていく

命と一つになる時間の静けさは
ひとりでないと分からない

だから 孤独と夜は似ている
孤独と静寂は似ている

自分の心 海の底で 海を漂う
誰かの声 世界のいたる場所で 孤独を歌う

冷え切った心にそっと触れた気がした

誰かの日常が
ぼくの明日を支えてくれる
そんな瞬間は確かにあった

生きることは地獄だと思う
それはもうずっとぼくの中にあった
ただそこにいることが許されないような

努力とは生命の必要最低条件なんかじゃない
草花がただそれだけで美しいように
ぼくたちは生きているだけで美しいということを
繰り返し伝えなければいけない

その一瞬が「あなたは美しい」という事実になって永遠に記録されればいい
その願いをかたちにしてあなたに見せたい
必要なひとに正しく伝わってほしい

「あなたは大丈夫」
魂に届く写真で言葉で伝えたい

この世界で生きることはどうしようもなく寂しいことだけど
息をしていてよかったと思う瞬間があることもたしかなこと

そのすべての記憶が
あなたの脳と胸に
心地よいものとして残りつづけますように

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