糸白澪子「蕾―lie―」

――絶対読もうって、思った。

出会ったのはクランチマガジンで
なんて繊細な言葉たちだろうと思った
短歌並みに繊細でブログ並みに素朴だった

たぶん世界観が好きだったのだと思う

詩なんか書いていると、
多くの人から
「詩とか読まないし。」とか
「詩って売れないでしょ?」みたいに言われて
あげくには「ポエムですか笑」とか言われるけれど
(いいよ、なんだって、読んでさえくれるなら、
 みたいなやけもあったりして)
そういうふうに感じていた中で、「やっぱり詩を書こうとする人って、
なんか、ほら、応援したくなっちゃうじゃん、」みたいな感じもあって

こういうところで言葉を書いていると
もしかしたら色々言われたりとかするかも
とか思ったので、余計なお世話かもしれないけれど
レビューを書いたんだっけ、
みたいな卒業アルバムをめくるみたいな読み方をした。
書くことって楽しいよ。だから続けてね、みたいなエールとか込めながら。

だいぶ忘れていたけれど
「これだよ、これ、」とか思いながら。

なんだか懐かしの同級生にあったような
そんな気分で。

今、どうしていますか?
言葉は好きですか?
まだ書いていますか
どうか書き続けて。
応援しています

―――――

横を走る車
ふわりと現れたオリオン
燻ったままのタバコ
深まる夜と街と
紡ぎ出ては揺れる私の中で
嘘みたいに響く言の葉
それは帰り道

紫の君が咲いていた
ゴミ捨て場みたいな場所で深呼吸して空を見上げるように

言葉はどうやら幻ではないようだ
それは誰の手によって生かされているのだろう

真夜中の話をしよう
呟いた私に
電車が答えた
「がんばろう」「また明日から」

深呼吸したら雨空
それは紫の君がみた風景だったかもしれない

そうか私は許されている
空を舞う木の葉は冒険者

波を立てて押し寄せる心とはそういうもの

生きることは悲しいだから
紡ぎ出ては揺れる言の葉は真実のように響く

―――――――「蕾―lie―」によせて


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