大野弘紀「返答詩集 余韻」
三作目にして、返答詩集である。
返答詩とは、誰かの言葉に詩でもって返した形式の詩のことをさしている。私が勝手にそう呼んでいるだけで、そういうジャンルがあるわけでは、ないと思う。
ここにきて開かれた感がある。
完成度は過去最高。当たり前だが、たぶん一番売れ行きがよい。過去の二作は絶版だが、(私が手売りしている。)
今作はまだ市場で生き残っている。(書店で注文できる)
過去二作の悲しみの上に立っているからこそ
やっと広くなったように思う
返答詩集なので、収録の全ての詩に、実際に受け取った人がいるわけで。
そういう意味では、読者がいて、筆者がいるというこの見えない関係性が、確かに形になったもので。
それがSNSの画面上ではなく、実際に本という形で手に取れるようにしたというのは、なんだか、詩人の仕事をしたな、と思う。
詩人とは何か
詩人の役割とは何か
どのような存在意義を自分に課すか
それらの答えが ここに記されていると思う
もしも私がこれを書いていなくて、この詩集を手に取ったら、きっと目指すべきしるべにしていたと思う
こんな詩人でいたいと。思ったと思う。
この詩集が出せてよかったと心から思う
この本に触れる度に、読み手に感謝をせずにはいられない。
大野弘紀もそうだ。
ルーツから今に至るまで、道はずっとまっすぐ続いている。
大学の頃に(その頃はまだ小説だったけど)
それを読んで「すごく面白いよ」と言って新しいのを書くたびに読んでくれた人が、二人、いた。
「おおの」という人と「ひろき」という人。
この二人がいなかったら、もしかしたら小説を書き続けていなかったし、詩集なんて、書いていなかったかもしれない。
この二人の名前は、読者の象徴なのだ。
読者がいて、書き手がいるという関係性を、大切にし続ける詩人でいたいと思った。
こうしてセルフレビューをしてみると
全くぶれていないことに、安心する。
ずっと、守り続けてきたのだから
これからも。きっと。
そうなのだと思う。
specialthanks
読んでくださるすべての方へ
ここから先は
¥ 100
詩人です。出版もしております。マガジンで書籍のご案内もいたしております。頂いたサポートは出版の費用にさせていただきます。