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スウィートセブンティーン/YUKI(2005)

text : tomai

あなたは自分が17歳の時に一番聴いた曲を覚えているだろうか。

私はこれをハッキリと覚えていて、それはYUKIの『スウィートセブンティーン』だった。

iPhoneがまだ普及する前の2009年。ショッキングピンクのiPodに入れたこの曲を、17歳の私は飽きることなく毎日毎日聴き続けていた。

第一志望だった地元の進学校になんとか入学できた私は、高校受験が成功した安心感から勉強を疎かにし、授業をサボっては教室でこっそり音楽を聴いたり、私服校だったことをいいことに学校を抜け出しては駅前のタワレコやTSUTAYA、ディスクユニオンへ出かけたりしていた。

そんな生活をしていたので、高校2年生の頃にはすっかり授業についていけなくなってしまった。同級生たちが本格的に大学受験の準備を進めていく中、私は明日の服装のことや覚えたてのメイクのこと、そして音楽やテレビドラマ、プロ野球のことばかりを考えて学校に居る時間を過ごしていた。

落ちこぼれ高校生としての日々を過ごす中で自分に寄り添ってくれたのがこの『スウィートセブンティーン』だった。

疾走感の中にどこか切なさを感じる曲調はリアル17歳の胸にズバっと突き刺さり、ジャジャーンと鳴り響くギターのかっこよさに夢中になった。

"スウィートセブンティーン 訳も無く笑う季節に スウィートセブンティーン 訳も無く溢れてくる力"

"スウィートセブンティーン 訳も無く逸る気持ち スウィートセブンティーン 訳も無く溢れてくる涙"

1番のサビの歌詞も2番のサビの歌詞も、17歳の私の気持ちにぴったりで「ああ、これは私のための曲なんだ!」なんて思いながら毎日聴いていた。

その頃、勉強についていけない不安に駆られることも多かったけど、当時の私は自分に対して謎の自信があり、金髪のウィッグを被ったりショッキングピンクなど派手な色の服を着て学校に登校しては「いつかファッションか化粧品の仕事をしたいな~」などと呑気なことを考えていた。(結局、気づけば社会人になってからはずっとファッションや化粧品関連の仕事をしている。)

今思えば、所属していた野球部のエナメルバックを引っ提げながら小花柄のミニ丈ワンピースに金髪ボブのウィッグを付けて登校したり、空き時間を使っては黙々とつけまつげやアイプチと格闘していた自分はかなりヘンテコ学生だったのだけど、勉強ができない分、ヘンテコな学生として存在することでしか自我を保つことができなかったのだと思う。

そんなヘンテコ学生な私には2分14秒から始まる松江潤さんによるメロディアスで勢いのあるギターソロも強烈に胸に響き、このギターソロをきっかけにCDの演奏者クレジットをしっかり確認するようになった。

当時から10年以上経った今でも定期的にこの曲を聴くけれど、その度に高校生の頃の自分を思い出して懐かしくなる。そして、こういう大切な曲がある人生で良かったなと思うのである。

スウィートセブンティーン(2005)/YUKI
作詞・作曲:YUKI・Jez Ashurt・Richie Wermerling
編曲:湯浅篤


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