sai.

詩人

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星の恨み

雨、音、雨、音、雨、音 石、車輪、石、車輪 星の恨みは霧となり 呼吸する中で肺を満たし 毛細血管に溶け込み 全身を巡る 雨、音、雨、音、雨、音 石、車輪、石、車輪 駆け巡る苛立ちは 星の妬み 呪いを解く術は 塩を撒く手のひら 湿りは結晶となり 大地に転がる 雨、音、雨、音、雨、音 石、車輪、石、車輪

    • Be Born

      たおやかなフェンネルの茎 渦を描きのびていく芳香 土の妖精の味 手紙を書こう 考えを結晶にして ことばにいのちを吹き込む からだはことばでできている こころはことばでできている しこうはことばでできている わたしはことばでできている ここにひとりの詩人が生まれた

      • ことばで脱ぐ

        言葉をすることは、服を脱いでいくことに近い 少しずつ裸になっていく 思考と感情の切れ端を、建築物のように積み上げて 陽にかかげ、そこで生まれる陰に目を凝らす 言葉で着飾るように見えていても、そうではない 削ぎ落とされて、削ぎ落とされて 裸になっていく 全てを言葉にし終えたとしたら わたしは、わたししか残らない 全ての言葉を吐き出したい わたしは、わたししか残らないから

        • ベスパマンダリニア

          ぶんぶんぶん 黄色と黒 陽気なボヘミア民謡の舞踊 熊蜂の飛行のような緊迫感 虎の指環 アンバーに溶ける光、洞窟の闇へ落ちて ぶんぶんぶん 音は重なりながら、残響は鼓膜を犯す トパーズとブラックサファイア ゴードンが唸る 頭の中で羽ばたく ぶんぶんぶん

        星の恨み

          残響

          言葉を削る、磨く 余白を構築する 残響にいのちを感じる 鼓膜は、そこにはない音の波を追いかける ないはずの音がそこにある 音楽は 見えない建築物として あるいは 連続する波として 存在する 空白を満たす 音 その波が消えるころ 感じる 生命の鼓動 存在しないはずの音が そこにある