舞台『文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳』

はじめに

この時期に、誰一人欠けることなく全21公演を終えられてとても嬉しいし、ホッとした。

それも全て感染症対策にご協力頂いたお客様
またこの舞台を成功させるために
たくさんの時間と想いを掛けてくれた関係者、スタッフの皆様のお陰です。
ありがとうございました!

感染者が少なくなっていたとは言え、
実際劇場に来るのは勇気もいるし、
道中それなりのストレスもあったと思うのに、
たくさんのお客様が駆けつけてくれたことは、幸せでした。
配信で視聴頂いた方も、同じ時間を共有できたことを嬉しく思います。

どんな形であれ、この舞台を応援してくれた方々がいなければここまで来ることはできませんでした。

ただいま文ステ

色んなインタビューで言ったけど
シリーズ作品で2度目の出演というのが初めてだったんですね。
同じ役をもう一度演じられるというのが、
これほど嬉しいものだったとは!

個人的にも思い入れがある役で、
黒の時代のとき、実年齢と役の年齢がこれほど離れているのものを演じるのも初めてだったし、
3年前はやり残したと感じたことや単純に出来なかったこともあったので、再度広津さんとして挑戦させてもらえることはありがたかった。

3年ぶりの文ステは、違うのはキャストの顔ぶれだけで、文ステ自体に流れる空気感や、演劇への愛情みたいなものは全く変わっていなくて、ホームに帰ってきたような気持ちでした。


広津さん

広津さんが、僕の大好きな役の1つであることは間違いない。
今回やっと実感したことがある。
広津さんを演じる上で最大の魅力は
「多くを語らない」ことだった。
今更だけど。

黒の時代のときは、この寡黙な初老マフィアの扱い方に僕自身戸惑っていた。
青の時代を経て、彼のこのスタイルこそ役を演じる上での最大のメリットだったんだと気が付けました。

喋らないからこそ腹の底を想像させるし。
紳士的で寡黙だからこそ、コメディパートやアクションパートとのギャップが生まれる。
こんなに万能なキャラクターいないぞ!ていうね。

ほんとに広津さんの懐の広さには大いに助けられたし、僕自身それを楽しませてもらった。
そんな意味でも、広津さんが大好きだし彼には感謝しかないですな。ありがとう。

原作やアニメとは違う広津さんではあるけど、ある意味それぞれがパラレルワールドの別人格のようで、でも同一のキャラクターであり、文豪ストレイドッグスの世界をより楽しむための要素であればいいなと思う次第です。


甘い罠

日替わりについて。
これは、演出家の中屋敷さんからやれと言われたわけでもなく、脚本に(アドリブ)と書いてあるわけでもなく。僕が勝手にやりました。
すみません。

文ステの稽古場ってやっぱり楽しいから、
ああいう余白がある箇所って何かやりたくなるんですな。
そんでやると、共演者やスタッフさんが笑ってくれたりするから。
だから、それを続けていると本番で21個の日替わりネタを用意することになるわけです。

飛んで火に入る夏の虫って感じで
ケラケラ笑って稽古してたら、
毎日本番ギリギリまで日替わりネタに頭を悩ませる受難の日々を手に入れました。アーメン。
締め切り前の作家みたいな気分を味わえたので、良しです。

日替わり自体は本当にスリリングな反面、達成感もあるので、全21個みんな我が子のようにかわいいです。
危なっかしい奴も、ほっこりする奴も。


アクション

身体動かすのは楽しいです。好きだし。
元々アクションを必要とする舞台経験はほぼなくて、ダンスもですけど。
文ステでは体が千切れるくらい動くので、貴重です。
今回はたくさん戦わせてもらったし、異能もいっぱい使ったので最高に楽しかった。
原作やアニメ以上に、広津さんとして戦えたのは役者冥利に尽きるというか、
舞台版ならではだったので幸せでしたね。

わたくし30歳ですけども、広津さんの年齢に追いついた時にも、イケおじアクションができるように頑張りたいと思います。

先代へ向けて

思えば黒の時代は、悔しい思いをたくさんした。裸でサバンナに放り出された気持ちで、右にライオン左にチーター、前後をワニとハイエナに挟まれた臨戦状態で、なんとか生き抜かなきゃ!みたいな精神でした。


そんな四面楚歌な心を見抜かれたんでしょう。
先代の森さんである窪寺さん(デラさん)から、
「タカ、お前みんなを敵だと思ってるだろ」と言われました。
(デラさんは僕のことをタカと呼びます)

それはしんどいぞ、と。
仲間の凄いところを受け入れてけよって。

黒の時代のときは、それがどうにもできなかったから、今回はもっとリラックスして演劇に臨めるようにと思ってた。

そしたらそれができたんですね。
3つ歳をとったからなのか、原因は不明だけど、穏やかな気持ちでやり切れた。

中也とのバトルシーン
「異能の強さが〜」の台詞後のマカコという技は、実は黒の時代でもやってまして。
黒の稽古で初めて覚えて、本番に臨んだもんですから不安で不安で。
毎ステージ開演前に、何十回も練習してた。

「タカ、もう大丈夫だよ!」
「できてるよ」

デラさんに何回も言われてたけど、今回も毎ステージ開演前にやってました。
きっと「やりすぎだよ」って言ってるんだろうなと思いながら、黒の時代からの変わらないルーティンとして。


前回も合わせたら1000回くらいは飛んだかな、どうだろう。
今回は結構納得のいく完成度でしたよって伝えたかったなあ。
「タカ、よくやったな」って言ってくれる気がする。


見ててくれたかな。
煙草吸いながら笑ってっかなあ。


文ステへ

僕には首領が2人いて、そこも少し広津さんに重なる部分がある。
先代とともに作って、新首領と出会った。
これからもポートマフィアの一部として、
文ステの一部として、このシリーズに貢献できたら嬉しいと思う。


文ステの良さは、そこに集う人々で
お客様も含めて
全員が演劇と文豪ストレイドッグスを愛してるのが伝わるから素敵だ。
だから、自然と大きなエネルギーとなって作品に反映されるんだなあと思う。

またこのシリーズに関われるように
また広津さんに出会えるように
精進します。

ではまた。





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