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年男二人 inよみうりランド

2023年ももうすぐ終わりですが、今年の正月の話をします。

元旦、卯年生まれは入場料無料だったので、年男のA君とよみうりランドに行った。ランドでは謎解きラリーをやっていた。スマホを駆使しないと解けない謎もあり難解であったが、僕らは力を合わせ、時に間違い、時に笑い合い、謎を解き明かしていった。

最後のキーワードを受付の人に告げると「おめでとうございます」と言って5円チョコをくれた。そして「もしよかったら」と更なる謎が書かれた紙が手渡された。「extra stageだ!」とA君が言った。

さらに難解な謎に苦しみながらも何とか最後の謎まで辿り着いた頃にはタイムリミットの16時までもう1時間を切っていた。

「二対の兎が交わる所に金塊を隠す」

この謎だけはいくら考えてもわからなかった。そこで僕らは最後の謎が書かれた看板の近くのベンチに座り、そこで謎を解いた人の後をつけることにした。少ししてカップルが来て看板を読むと2分とかからず移動し始めたので「嘘だろ?」と言いながら後をつけた。あまりにもすぐ移動したので、A君は「キレて帰るのかもしれないよ」と言っていたが、その二人は園内のある建物に入っていった。暗い部屋の隅に宝箱が置かれていた。中には目が眩むような金塊(引換券)がザクザク入っていた。引換券を再び受付に持っていくと今度は金塊チョコがもらえた。これで園内に散りばめられた謎は全て解き明かされた。気がつけば辺りは暗くなり始めていた。年男(数え年36歳)でも時を忘れ、こんなに楽しめるなら俺らまだまだ若い、そう思えた。

最後に写真を撮ってくれるサービスをしていたので、少し躊躇するA君に「せっかくだから」と言って2S写真を撮ってもらった。カメラマンは「うーん、笑顔がないな」と言って、よくビレバンに売っている逆さ吊りされた鳥のおもちゃを出して「ブーーーッ」と音を鳴らした。僕らが少し笑った瞬間にシャッターが押された。

タダで写真まで撮ってもらえて今日は神回だねと言いながら出来上がった写真を見ると、そこには紛れもない年男(数え年36歳)が二人、ニヤついて映っていた。二人とも言葉を失った。今の今まであんなに楽しかったのに写真一枚で現実を知ってしまったのだ。今日一日この写真の二人がはしゃぎ回って謎を解いていたかと思うと戦慄した。まるで浦島太郎が玉手箱を開けた時のような喪失感があった。

僕らはこうべを垂れてランドから駅までの道を歩いた。この写真は自分で持っていたくないし、A君にも持っていてほしくないと告げ、写真を処分することにした。処分方法を話しながら歩いていると、神社があり人々が初詣に集まっていた。何となく行ってみるとお焚き上げをしていた。そこで僕は「この写真、ここで焚き上げてもらおうか」と言った。A君も一時は賛成したが、正月早々、自分の写真を焼くのはあまりにも縁起が悪い気がしたので、焼かずに神社を出た。駅に着くまで色々話し合って、結局土に還すことに決まった。ただ埋めるのもつまらないのでタイムカプセルにした。

5年後、40歳になったら掘り起こしに来ようと約束して僕らは帰路についた。

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