ファクトフルネス

人には、様々な思い込みがあって歪んだ世界がみえている。思い込みを排除し、データをみることで正しい世界を見ましょうという本。

分断本能、ネガティブ本能、直接本能など1章から10章までに10の思い込みと、正しい世界の見方が書かれています。

個人的に盲点というか、数字の取扱いに気を付けないといけないなと感じたのは1章の分断本能です。本書では「先進国」と「途上国」という言葉を例に挙げ、言葉の持つ印象から一見隔たりが大きく両者に重なりはないように見えますが、それこそが分断本能によるものと説明されています。実際には、「途上国」は急速に発展しており、平均寿命や乳幼児の死亡率などの数々のデータが、我々のイメージする「途上国」をはるかに上回る姿を示します。また、平均の取扱いについても注意が必要と説いています。例えば、一日当たりの所得がA国は60ドル、B国は20ドルだった場合、両者には3倍もの格差があるため、まったく異なる生活水準をイメージします。しかし、これは「平均」を使って両者を比較したことにより、個々の状況が見えにくくなっているからこそおこる現象です。実際には、一定数が同レベルで重なっている事実を認識しないと誤った世界を想像してしまいます。「平均」は散らばった数字を単純化することで、物事を理解するときに大いに役立ちますが、そのことで見えにくくなっている世界があることを認識しないといけません。

「先進国」「途上国」といった言葉の持つ分断の力の存在に気づくこと。平均によって隠れた数字の存在を認識すること。

言葉にすると簡単ですが、常に意識しておかないとすぐに現代の情報の波に飲まれそうですね。

【参考図書】ファクトフルネス

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