襟の居場所

友人とホテルに宿泊した時のこと。

チェックアウトまで一時間前には起きていたのに、なぜかベッドでしゃべりつ続けていたので、ギリギリに慌てて準備をして飛び出した。喫茶店でモーニングを食べながら、またもや喋り続けて、ふっと首のあたりに手をかけた時のこと。
あら?このシャツワンピース、首周りこんなんやっけ?襟なかったのね・・と思いながら、一番上のボタンのあたりに手をかけた。元々シャツはあまり着ないし、着ても一番上のボタンは開けて着るのだが、ふと、ボタンを閉めてみよう・・という気になったのだが閉まりにくい。やっぱりここも肉ついたよなぁ、首周りスッキリしたいよなぁ、と思いながら、なんとか閉めてみようとするが閉まらない。この服、よっぽど首細い人向けなのか、世の中みんなこんなにスッキリ首なのか!と、友と喋りながらも、密かにちょっとショックを受けていた。そして、何気なく、手を首の後ろに持っていったところ・・・・。

首の後ろに襟がいたのである。

文字でこの異様な光景を説明できるか自信がないのだが、シャツワンピースボタンの一番上を閉めたまま、二番目から下のいくつかが開いていて、そこに首が収まっていたのである。要は頭を入れる場所を間違っていて、襟は首を包むこともできず虚しく孤独に閉じていて、首の後ろにぶら下がるしかなかった。なんせ、後ろなので実際の現場は私はみていない。なんか服がおかしいーと振り返って、友人に後ろを見てもらうと、「えええええ?どうなんってんのー?」と言われながらボタンを外してもらい、無事に襟が首元に戻ってきた。

友人曰く、前から見るとちょっと変わった襟周りのデザインやけど、良い感じやったから違和感がなかったらしい。喫茶店の方々だって気付いたとしても、まさか「もしかしたらー頭入れる場所間違ってませんか?」とお客に聞くにはハードル高いだろうし、その日きていたのは、上から下まで柄が入った派手なワンピースで、大阪のおばちゃんのいう「ケッタイな形」の服にも見えただろう。

賢い人なら「少なくともボタン4つ分くらいは上に上がってたわけでしょう?いくらワンピースとはいえ、前だけそんなに上がってたら、気づくでしょう?」と言われそうなので、先に言っておこう。ローーーーーーングワンピースだったの!

服くらいまともに着たい・・。


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