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お前の罪を自白しろ

映画の感想です。
結論から先に言うと、もう一度観たい。

宣伝のストーリーからこの内容を想像するのは難しかったかな、主演の中島健人さんが「社会派映画として構えて観る必要は無い」と宣伝していたのが一番合ってた気がする。政治家一家とか題名のインパクトの強さでバイアスがかかったかもしれない。

もう一つ言えるのは、誘拐事件についてもそこに着目して観る必要が無かったということ。(理由は別として)犯人とか知って観ても問題無いかと。それより、このあらすじを通して何を描くかという、テレビの2時間ドラマではなく映画である醍醐味がそこにあった。

多くの人が思っていたと思うけど、キャスト発表と誘拐事件ストーリー(だと思ってる)時点で犯人はわかっていましたよね。
だから、この人犯人だよね、ほらもう怪しい事言ってるし、何か探ってるし、とか思いながら観てたし、ほらやっぱりそうじゃん、ってなったの。

で。
チラホラん?と思う所はあったものの、総じてこの映画の伝えたい所は全然そんなとこじゃないんだわとハッと気付いたのが、チラッと時計を見たところラスト10分くらいで(遅いのは私の察しが悪いせい)、そういうことかと思うと最初から見返したくなったわけです。犯人当てれば良い話じゃないんだわ。宣伝の仕方よぉ。。←人のせい

思えば、人間的に、父親は実に父親であり、長男は実に長男で、次男は実に次男らしく、長女は絵に描いたような末っ子長女で、長女の夫のマスオさんぶりなリアル、家族としてどこにも違和感が無かった。小さな子供の心の動きというか子役の演技がもはや演技に見えないところ。あの子役凄いな。
一つはそんな家族の話でもあると思う。

それぞれの行動、考え方、急に鳥肌立てられた次男の野心にも、子を見る父の姿にも納得がいく。犯人の立場になったって、それぞれの政治家の立場だって、警察も、マスコミも、誰の気持ちもわかるわぁ、と思う描き方。
そういったそれぞれの話でもあると思う。

多少ネタバレになるけれど、人生とは少しのボタンのかけ違いで狂ってしまう事もあるし、思わぬ所で誰かの人生をどん底に落としている事もある。
それをサイコ的に描くのではなく、ちゃんと傷となって人の心に投影されるからじんわり響いてくる。
そんな社会を描いている話でもあると思う。

あとマスコミの女性ね。昨今話題のトンデモ女性記者が脳裏に浮かんでしまうからキモチワカラナイ側の人だと思い込んで見ちゃってた自分のバイアスが残念で。ジャーナリストとしてあるべき姿だと考えると、もう一度見返したい理由の一つでもあります。

タイムリミットにヒリヒリするわけでもなく、ドタバタの救出劇があるわけでもなくて、1時間くらいで一度頭の中に「政治家、誘拐と絡むわりに地味じゃない?」なんて浮かんだけど、こういうストーリーとして伝えたいんだなと思うとその描き方に納得。
そうかー、そうかぁ、、と最後に胸の収まりが佳き。
だからそういうヒリヒリ作品だと思って観ちゃうと物足りなさを感じるかもしれない。違うのよ、24みたいな話じゃないのよ。ネタバレせずにお伝えする語彙力が足りないわ。

兎にも角にも、あぁやっぱり映画って良いな、と思った作品でした。
やっぱりね、ストーリーが面白く分かりやすい作品が売れがちな中、いや勿論それはあったし面白かったけど、映画としての良さを感じる作品だな、と。テレビではなく映画館で観るにふさわしいな、と。

長々とお読みいただきありがとうございました。
あくまで個人の感想です。

サムネは、公開日に観に行ったら入場者特典で貰えたカード。裏側には数字で素敵なメッセージがありました。



関係ないけど、バッドランズの兄弟が住んでそうなシーンあったな…

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