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#14 〖恩送り、ペイ・フォワード〗

第14回目は、『Yiga Allan(アラン)』さんから紹介いただいた『Alinine Richard Ngosi(アリ)』さんにお話を伺いました!

インタビューの企画自体にもとても応援してくださっていました。当初は、日本とアメリカで時差があるからどうだろうという心配もしていただいていたみたいですが、インタビュー最後には引き受けてよかったという風にも言ってくださっていました。

(ぼくは特にそうなのですが)日本という環境をベースにいろいろな国の人たちを見てしまいます。チャレンジしている人に国という分類はきっとなくて、「どんな人たちを幸せにしたいのか」「どんなふうに自己表現したいのか」という部分はフラットであって、どこの国・文化の中で実現したいかというところで、手段が少しずつ変わって来るだけなんだろうなというふうに、このインタビューで感じました。

また、偏見や先入観があること自体は避けられないにしても、いろんな世界の人に触れていくことを避けてはいけないとも感じ、このインタビューが日本から飛び出ているというのも、いい流れだなぁと。

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Q1.今、どのようなチャレンジをしていますか?

先入観がなく、(誰でも)平等に活躍できるような環境を、整えられるような取り組みをがんばっています。

わたしは、Malawi(マラウイ共和国)出身です。海外留学して、(日本の)どこにいても黒人が少ない中、早稲田大学にいって、そのまま日本で就職しました。

日々やることに対して最大限に力を発揮して、そういう先入観(アフリカ人といえば○○だといったような)を取り除こうと真剣に取り組んでいました。一般的に社会では、外国人は日本人の倍以上のアウトプットを出さないと中々認めてもらえないという印象があったので、日々そういうことを考えながら、やってました。

会社の中でいろいろな課題に取り組む中で、いろんなことを勉強しながら、(会社に)貢献できているかなと。「なんかアリさんは違うなぁ」と言われるけども、ぼくが違うということではなくて、いろいろな能力を持っている人がいるんだよという風に思っています。



Q2.今チャレンジしていることがどのような未来をつくっていきますか?

その国にいなくても、どんな国でも活躍できるチャンスがあって、そういう風に活躍したい人たちが、どこにいて・どんなスキルをもっているかが、誰からでも見えて・アクセスできるようになればな、と思います。

こういう未来があったらいいなと思うことは、日本にいなくても日本の仕事がしたいという人がたくさんいるので、まずはそのような人を育てたい。そして、そういった人たちのスキルを見える化して、だれでも(その人たちに)アクセスできる環境になっていけばいいなと。

新しいチャレンジをするときに、必要なスキルやノウハウを持っている人はどこかにいるけれども、それがどこにいるかわからないだけで。

特に自分はマラウィから来ていて、自分の国は貧しい国で、50年前の日本とほとんど一緒な感じ。日本は、技術をたくさん使って先進国になっていった。一方で、マラウィはまだ技術が発展していっていないけれど、そこに住んでいる人を育成して、マラウィにいながらも他の国で活躍できるチャンスがあれば、国としても成長していける。そういうことを目指してがんばっていきたいです。

日本で約8年仕事をして、いまは出向でアメリカにいます。アメリカでもいろいろ仕事をさせてもらいながら、日本とアメリカの違いだったり、各国の(発展途上国も含めた)別の国に対する考え方が良くないなと思っています。どこにいても、自分はマイノリティという扱いで、もっとがんばらないと認めてもらえないという環境の中で、そういうことをなくしていかないといけないなという強い思いがあります。

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Q3.二十歳に戻れたら、その未来に向かって何をしますか?

『受けた恩をしっかり返せる』ように、奨学金制度をマラウィで実現できるよう動いていきたい。

奨学金制度をつくれるように、いろいろな企業に働きかけると思います。経済が悪くても、教育の基盤ができていれば、どんな環境でも活躍できる。教育を受けるために、奨学金を整えたい。その奨学金も、若い年代から、貧しい家庭であっても教育をしっかり受けることが出来るようにしたい。

小学校から大学にいく中で、キャリア相談などを実施しながら、(奨学金で教育を受ける)そういう人たちを育てていくことで、その次に『ペイフォワード』という心が芽生えて、『自分たちが受けてきたことを次の世代に恩返し』して活動の繰り返しになっていく。

じぶん自身も、高校の時にある方から日本に留学できる奨学金をもらったんです。いろいろ大変で、人生でいちばんつらい時期だったのですが、諦めることなく、国の代表者なんだという気持ちでがんばれた。過去にがんばってきた自分を振り返ってみると、同じこと(奨学金を若い人にわたす)をじぶんがやらないとダメなんだと。いま、それをどうやって実現するか考えています。それをやっていくことは、自分の人生の宿命だと思っています。

いま20代に戻れるんだったら、もっと早く実現できるんだろうなと思います。ここまでくるのに相当時間がかかっているので。

『受けた恩をしっかり返す』ということが大事だと思っています。


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Q4.(ご紹介してくださる)素敵な人を教えてください。

父親を除くと義理の父親ですね。わたしが日本に留学したときに、はじめて出会いました。博士号を取って、日本の会社に入って、自分自身が歩んできた道と近いので、いろいろ人生相談を多くしてきた。

彼自身もいろいろ大変だった思うのですが、日本の会社で仕事をしながらも、宮城県でボランティアのお手伝いをしたり、周りの人たちがアフリカの人たちとより親しめるように、(特に留学生を中心に)いろいろな知識の共有などができるような活動をしていた。

そういう部分も含めて、頼っていました。自分自身がやりたいことに近いし、同じ苦労をしてきている先輩として人生相談をさせてもらっていました。


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(インタビュー風景、左下:アリさん)

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アリさんインタビューありがとうございました!


インタビューを受けて、IG-FARMメンバーの感想です。

(ishihara)
「日本にいなくても、日本の仕事がしたい」
グローバル化が進んでいる世の中ですが、その国の仕事をするのに、その国にいなくてもいいんだと気付かされました。選択肢がもっと広がればさらなる可能性が生まれるのかなと思いました。国境、人種、経済、教育、さまざまな壁があるなかで、人の先入観が1番の壁になるのかなと思いました。
どんな人だってどんな所でも活躍していい、する権利があるはずなのに、それがただの先入観で可能性が閉ざされてしまっているならとても悲しいことだと思います。先入観を持つことは仕方ないですが、そこからどう意識を変えていけるかがこの先とても重要になってくるのではないかなと思います。

(fujinuma)
"Pay it back"(恩返し)だと自分と相手の2人で完結してしまうけれど、"Pay it forward"(恩送り)だと、自分が受けた恩や感謝の気持ちが世界中に拡散していく..."Pay it forward"をモットーにしている私には、アリさんの1つひとつの言葉がとても共感できました。そして、私も大学院で奨学金にお世話になった1人です。あの時、奨学金を借りてを進学することを選んでいなかったら、今の自分は無いと思っているくらい、とても貴重な学びの場でした。アリさんのインタビューを終えて、少しマラウィについて調べてみました。マラウィは人口増加が激しく、現在の人口の半分(850万人、大阪府の人口とほぼ同じ)が18歳未満とのこと、、そりゃマラウィの将来を担う若手の育成が急がれるはずです。もちろん日本もマラウィに対して政府開発援助(ODA)も行っています(詳細はこちらから)。『先日インタビューさせて頂いた新家さん(後ほど記事公開)と何か出来ないかなぁ...?』『このインタビュー企画も"Pay it forward"の精神を反映していきたいなぁ。。』そんなことを思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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Alinine Richard Ngosi(アリ) (2020/7/20)



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