見出し画像

#21 〖ワクワクする選択肢と出会うきっかけを増やしたい。。〗

第21回目は、『豊田陽介』さんから紹介いただいた『松浦朋子』さんにお話を伺いました!

人から見ると、どれだけ「いいな!」って思える生き方をしている人でも、そこに至るまでにいろいろな苦労や葛藤があって、現時点だけを切り取って「羨ましい」と思うのは少し違うんだろうなとよく思います。

今回、インタビューを受けてくださった松浦さんも、他人から見れば、「転職・移住して、自分らしい生き方ができて羨ましい」ってなるのかもしれませんが、自分でいろいろな選択をしている結果です。世の中には、いろんな選択肢があって、いろんな生き方をしている人がたくさんいるけれども、最終的にはその人自身が何を選ぶかです。

でも、そういう選択肢をたくさん体験できる環境づくりも必要で、インタビュー中にあった「タッチポイントの設計」を、ぼくたちもしっかり取り組まなきゃならないことを教えていただきました。

---------------------

Q1.今、どのようなチャレンジをしていますか?

自分にとって面白い場所とか居心地のいいコミュニティとか、そういうのを増やしたい!(中略...)甲子柿に注力してきたけれど、いまは釜石全体の魅力を発信するべく、YouTubeやラジオをしています。

わたしはいま、岩手県釜石市にいて、釜石ローカルベンチャーっていう起業型の地域おこし協力隊になって今年で3年目です。もともと東京で映像・ウェブやPR会社で10年くらい働いていました(会社自体は転々としていましたが)。釜石と東京をつなぐ関係人口プロジェクトの運営側にいて、釜石と東京を行き来するにつれて、当時働いていた会社を辞めてそのまま釜石に移住してきました。

釜石ローカルベンチャーは、テーマがいろいろ決まってるのですが(例えば商店街など)、わたしはフリーテーマで入って、その中で、地域資源・地域の良いところをちゃんと伝えていこう、いわゆるプロモーションをやろうと思っていました。



(釜石に来てからも紆余曲折がいろいろあるんですけれど)釜石に来たときに「釜石の地域資源ってなんだっけ?」というのがあって、この土地の魅力を探すところから始めています。岩手県釜石市って、ラグビー・鉄・魚・海の町と言われているけれど、実際に何が魅力なのかを探していました。(例えば、漁師さんと船に乗ったりとか)

その中で、釜石で特徴のすごくあるものが『甲子柿』という柿なんですよ。それは、もともと渋柿でそのままは食べれないんですけれど、それを1週間石室(石を積んでできた部屋)に入れて、煙で燻製させるんです。そうすると、渋が抜けて甘くなる・見た目もトマトみたいな色になる、っていう柿があるんです。それって他に聞いたことがなくて、「これに特化してやろう」ってなって、釜石1年目はその柿の生産者さんの元でお手伝いをしていました。

甲子柿は期間限定でしか食べることができないもので、旬の時期は(生産者さんの)お手伝いをずっとしていました。生産者のお手伝いをしているうちに、「物が出来ても、売れないことは問題だよね」っていう感じで、シーズンが終わった頃には、毎週どこかのマルシェに出店して、ひたすら売り子をやっていました。売り子といっても、甲子柿のシーズンは終わってしまっているので、その柿を使ったジャムやドレッシングなどの加工品を売っていました。

それをやった結果、「これって生産者が高齢化してきているから、このままだとこれ(甲子柿)自体が終わっちゃうじゃん」って思って、それ自体(生産者がいなくなること)を避けようといろいろ考えて、わたし自身が柿の生産者になることにしました。

もともとクリエィティブ系の業界にずっといたんですけれど、地域資源を深掘りした結果、『柿の生産者』をやろうと思って、柿の畑を先輩生産者といっしょに借りて、始めました。


画像3


去年(2019年)は、柿の生産をやりつつ、プロモーション・販売(マルシェや東京に売りに行ったり)、商品開発をしていました。

2019年はラグビーのワールドカップがあって、人がたくさん来るタイミングだったんですね、ロート製薬さんがPALETASというアイスバーを作っていて、それの地域特別版として、ロート製薬さんと商品開発をしたりとか。とりあえず、わーっと動いてきたっていうのが、いままでです。

(前インタビューの)豊田さんと知り合ったのは、『未来の教室』っていう経済産業省がやっていたプロジェクトがあって、それで東京の人がたくさん釜石にやってきたんですよ。その受け入れ側として、わたしが都会から来る人の受け入れをしたことがきっかけです。


(挑戦なのかわからないけれど)これまで甲子柿に注力してきたけれど、2020年は、釜石って人が魅力って言われていることもあり、釜石で挑戦している人にスポットをあてた、YouTubeのチャンネルを釜石ローカルベンチャーの事務局としてやっています。これ自体は生放送で、隔週月曜日のオンラインイベントをそのままYouTubeに映しアーカイブしているって感じです。あとは、個人的にですが、友人といっしょにnoteを使って、ラジオ配信をしたりもしています。



「選択肢をつくる」「人が面白いと思えるものを増やす」、いろんな人がこんな生き方もあるんだよっていうのもそうだし、自分にとって面白い場所とか居心地のいいコミュニティとか、そういうのを増やしたいなって思っているのがベースでいろいろ取り組んでいます。


Q2.今チャレンジしていることがどのような未来をつくっていきますか?

その人が『その人らしくいられるような仲間や場所』にたどり着く、という未来が、理想だなと思ってます。

ダイバーシティ(多様性があること)を大事したいなと思っています。

いろいろな選択肢があることを自分でわかっていて、それらの選択肢を自分で選び取れる状態にある。そして、自分が自分らしくいられる仲間や場所が、ちゃんとあるといいなっていうことが、あれば理想だなと思います。

(最近、ひとりひとりが個人主義になっているような気がする、どう思う?)個人主義は終わると思う。

例えば、コロナで外出できなくて、オンラインが広まったりとかしたけれど、(個人的に)やたらとオンライン飲み会したがるなと思ったわけですよ、それってみんなめっちゃつながりたいって思っているってことじゃん、って。

今まではそんなことはなかったのに、コロナがきっかけで、人とつながりたいと思ったのかな。(みんなが)つながりたいって思っているんだったら、個人主義じゃなくて、つながればいいじゃんって。

わたしも東京で働いたからわかるんだけれど、東京での仕事のスタイルって競争型、自分たちが利益を出すとか・勝ち抜いていくとか、上に伸びる感じ。個人が上にびゅーんって伸びていく仕事の仕方だなと思っていて、わたしはそれに対して疑問を覚えていて、個人が上にいくというか、横とのつながりがあって伸びていくものもあるよね、って。

たぶんそうなっていくんじゃないかなって思ったりもします、今後。

根拠のない話なんだけど、肌感でそう思います。



Q3.二十歳に戻れたら、その未来に向かって何をしますか?

20歳に戻ったら、めっちゃ旅に出たいなって思う。国内も海外も。

(旅に出る目的は)いろんな人に会う!

けっこう、このインタビューを受けている人って、そういう思考を持っているんじゃないかなって思うんですが、いろんな人に会って、自分の視野・価値観を広げるっていうのは、内的なものだけじゃ無理だと思うんですよ。

人って、自分にとって予測不可能なことをいっぱい起こしてくる、「腹立つなぁ」とか。映画見てて「腹が立つ」ことはないけれど、人と関わることで「腹立つわ、なんでそんなこと言うの」っていうのがあって、それは人との関係性でしか起きないから、「いろんな人にいっぱい会いなさい」って。


(オフトーク:プロボノ活動が、ひとつめのきっかけ)

東京でずっと仕事をしていたときに、「わたしって何のために働いているんだろうか」と思った。会社にいて、部署間同士仲良くすればいいのに、そうじゃなかったりして、わたしは板挟みみたいな感じがあったんです。お互い手と手を握り合ってやればいいとすごく思っていて、「何のために働いているんだろう」→「自分のためだな」→「自分のためにこんなこと(自分がダメだと思うものを提案)やってるの?」→「もうちょっと人のために考えられるようにならなきゃ」って。

そのときに、プロボノ(会社員やっている人が自分たちの専門的な知識を使ってボランティアをする)活動を始めて、NPOとかの支援だったりをやったときに「わたしはもうちょっとこういうことをしていきたいな」と。



(オフトーク:『課題解決型』よりも『ワクワク創出型』で社会が動けば)

きっかけのふたつめは、前職で釜石に来たこと。みっつめのきっかけは、釜石に移住したことなんだけど、そこはまだ(わたしのなかで)言語化できなくて。とはいえ、東京の競争消費社会でずっと来て、その働き方に嫌気がさしたときに、いろんなタイミングがいろいろ重なって、考え方が変わってきているなという感じです。

この3年のなかでも変化は起きています。

個人的には、地域の課題ってめちゃくちゃあるから、課題解決型ってしんどいよなって思っている。

それよりかは、人にとってのワクワクを増やすほうがいいなって。(もともとそういう思考の人間なんだけど)人にとってのワクワクを増やす・創る・届けることの方がいいなと。人にとっての幸せはひとつじゃない、っていう考えがあるから、多くの人が楽しめることが増えるといいなと思います。

釜石に来た理由って、当時東京にいたときモヤモヤしていて、働き方とか環境を変えたいなみたいなのがって、釜石で会った人がキラキラして見えた。地方でやっている人たちがキラキラして見えて、それがいいなと思って来ました。

その中でも、"地域で仕事を創ること" と "地域で仕事をすること" っていうのは違うなと思っていて。東京で会社員やっていて、コロナの影響でリモートワークになっていて、長野の軽井沢で仕事をしてもいいわけですよね。それって、"地域で仕事をする" ことだと思うんですよ。

"地域で仕事を創ること" って、例えば地域の物を売っていくとかって、また違う話。何が個人にとっていいかは、人によって違う。過疎地域を活性化して、ビジネスとして成長させるぞっていう気合いのある人がいて、それがやりがいで幸せになるのはいいんだけど、それってすごく時間がかかる。

それよりかは、東京にいながら、ちょっとずつ地方と関わりながら、何かを起こしていくってやり方でもいいじゃんとかね。その人にとっての幸せはその人が決めるわけで、まわりがこれだ・あれだっていうわけではないから。

人それぞれ(考え方は)違うから、(個々人が)もっとワクワクすることで、社会がいい方向に動いていったら、幸せですよね。


画像3


Q4.(ご紹介してくださる)素敵な人を教えてください。

陸前高田市で活動をしている岡田さんを紹介したいと思います。

(岡田さんとは)誰かと何かのきっかけでつながって、いっしょに事業をやろうかみたいなことがあったんだけど、結局むにゃむにゃーってなって、結局事業をいっしょにしなかったという関係(笑)


(オフトーク:ワクワクする選択肢とのタッチポイント設計)

自分らしく生きればいい、選択肢がたくさんあるから好きなものを選べばいい、(なければ)選択肢を創っていけばいい、と思うんですが。社会の一般常識が、ワクワクする選択肢を遮ることもあるのかなと。
ワクワクする選択肢がどれだけそばにいたとしても、あとひと押しがないといけないのかなとか、(モヤモヤしている人を)引っ張りあげるきっかけがないといけないなと思っています。(大野)

いまプロモーションの仕事をしているというのは、そこ(ワクワクする選択肢)とのタッチポイント設計をしたいなと思ってやっています。

いろんな広告や映像とか心がウキウキするなにかで、楽しくわーっと見せて、面白そうって参加するってのもいいけど、(そこに)子どもたちが関われる仕掛けを最初から大人が準備してあげて、プログラムとして組み込むことをしたほうがいいんだろうなとも思います。

やってみて、つまらないと思うのはその人の自由だし。個人が選べるポイントがいくつもつくられているのが理想だなとは思う。

地方への移住も同じだなと思っていて、やっぱめんどくさいわ、住民との関係性めんどくさいな、東京だとサラッとしているから、そっちのほうがいいなってなったら、人は戻ればいいから。

ちゃんと自分が足を踏み入れて試してみて、イェスかノーかグレーなのか、自分で意思決定をできることが大事なんじゃないかなと思います。


画像1

(インタビュー風景:上が松浦さん)

---------------------

松浦朋子さんインタビューありがとうございました!

インタビューを受けて、IG-FARMメンバーの感想です。

(ishihara)
一つやったから、次。また一つやったから次。そういう風に色々やっていく中で、次の新たな課題を見つけて、それをまたやっていく。これが出来る松浦さんは、一歩ずつ確実に進んでいく力を持っているんだなと思いました。松浦さんは人が大好きで、"優しい"って一言で言ってしまうと軽いかもしれないですけど、そうなんだろうなって感じました。だから、「人のために考えられるようにならなきゃ」って思ったんだと思うし、人のために何かを頑張っている人ってすごくかっこいいなって思いました。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

---------------------
松浦朋子(2020/8/26)


---------------------

IG-FARMは、随時メンバー募集しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?