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#26 〖高校2年のときに「自分もできるかもしれない」って思った。。〗

第26回目は、『廣瀬智之』さんにお話を伺いました!

個人的に、いまの20・30代の人って、時代の変換期でもがいているところだと思っていて、学校では「問題があって答えを学ぶ」、社会では「問題を見つけて自由に行動する」、といったことを求められて、とても息苦しいんじゃないかと。

先生や親から言われてきたこととは違うことを、いまの大人は押し付けてくるし。「若者で柔軟な頭のはずなんだから頑張れ」っていう言葉で片付けられたりとか。やっぱり、憧れる人・参考になる人っていうのが、身近でいたほうがやりやすい人も多くいるんだと思い、このインタビュー活動を行っています。

本日も、素敵なご縁に感謝し、このインタビュー内容をお届けします。

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社会をつくっていくのは人なので、ひとりひとりの意識が変わっていかないと難しい。

2019年2月に、Tomoshi Bito(トモシビト)っていう会社を起業して、その会社を運営・経営していっているんですけれど、起業なんて結局手段でしかなくて、ぼくがやりたいとずっと言っていることは『誰もが社会に当事者意識を持てるような社会をつくろう』です。

日本って社会課題・政治問題とか社会で起こっていることに対して、解決するために参加する人の割合って世界で見たときにすごく少ない状態にあるんです。投票率しかり、エシカル商品とか環境を破壊しない商品を買おうとかの選択もそうですし、寄付や署名活動とか。ぼくもソーシャルビジネス(社会課題を解決するためのビジネス)をやっているんですけれど、ソーシャルやNPOなどの市場規模なども、どこを切り取ってもすごく(世界各国と比べると)相対的に低い状態があります。

気候変動・貧困問題などいろんな問題の当事者と関わる機会が、これまでのぼくの人生にはあったので、その問題を本質的に解決しようと思ったら、一部の人たちががんばって声を上げていてもなかなか難しくて、やっぱりこの社会をつくっていくのは人なので、ひとりひとりの意識が変わっていかないと難しいんじゃないかなと思って、そこをどう解決できるかという部分にチャレンジしています。



ひとりひとりが考えて・行動をしてっていう、そこの力を引き伸ばしていかないと今の時代はダメだ。

(日本において社会問題に参加しない要因は)いろいろあるんですよ。ぼくなりの解釈ですけれど、いちばん根底にあるのは『教育』なんじゃないかなと思っています。2020年から学習指導要領とかも変わり始めてきていて、これからいい方向に向かっていくのかなと。

いままでの日本の教育を一概に否定したいわけではないですが、戦後の高度経済成長をがんばろうとしていた頃にあった教育スタイルをずっと引き継がれていて、答えのあるものを画一的に教えて、みんなと同じ方向に向かっていこうっていう。でも本当は、ひとりひとりが考えて・行動をしてっていう、そこの力を引き伸ばしていかないと今の時代はダメだと思っています。

その部分が弱い教育スタイルを今も続けてしまっているがゆえに、そもそも主体性を育まない環境で育った子たちが大人になって「じゃあ自分が動いていい社会を創っていこう」となるかといったら、やっぱりそれは難しいと思っています。

実際に、日本財団の18歳意識調査というのがあって、「自分で国や社会を変えられるか?」の質問に「そう思います」って答えた割合が18.3%で、9か国で行われた中で(日本は)群を抜いて低いというデータもあります。

根本的な部分は、教育が担っているんじゃないかなと思っていますね。話し出すと山ほど出てくるので、いったんここらへんで切っておきます(笑)

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社会派インフルエンサーが増えていけば、もっと関心・当事者意識を持つ人が増えるんじゃないかと思っています。

ぼくらは大きく分けて2つの事業をやっています。ひとつが、『教育事業』をやっています。ビジネスとしてやっているため、どうしても私立学校さんだけなんですけれど、学校の総合学習の時間を使って、子どもたちがテーマを決めて、自分たちでフィールドワークに行って、社会問題を解決する方法・プランをつくってもらい、そのプレゼンまでするというプログラムを提供しています。

もうひとつが、社会的な発信者を増やしていく日本初の『社会派インフルエンサークリエイター事務所』をやっています。端的にいうと、社会版吉本とか社会派のUUUMみたいなイメージです。社会的なことを発信して、かつそれを影響力を持ってやっていくような社会派インフルエンサーを増やしていこう、という事業をしています。

2020年に立ち上がったばかりなので、本当はアカデミーなどの養成事業もやりたいのですが、いまは活躍中のインフルエンサー約200名がRICEに登録してもらっていて、その人たちと一緒にエシカル商品や社会課題解決につながる商品・サービスを提供している企業さんのPR案件を、ぼくらが営業して受注して、社会派インフルエンサーに(受注した)仕事を提供して、その一部の収益をぼくたちも頂くという事業です。



始まったばかりで、マクロ視点で見ると影響はまだまだ出ていないとは思います。ただ、発信している人(社会派インフルエンサー)のまわりやフォローしている人には、少なからず情報は届いているので、きっかけは与えられている。実は発信って、情報を届けるまわりの人たちに影響を与えられるんですけれど、RICEでぼくらがいちばん大切にしているのは、発信する人に対しての影響を見ています。

人って発信することに対して深く考えるし、自分の意見がないと言葉にする・発信するとかってできないと思うんです。だから、発信する・言葉にする = 社会課題に対して関心・当事者意識を持つことにつながると思っています。

でも一方で、政治・社会問題とかを友達や家族とは話せないじゃないですか。自分たちが関わることなのに、気軽に話せないこの風潮みたいなものが、そもそも関心を持ちづらい社会だと思っていて。発信する人(社会派インフルエンサー)が増えていけば、もっと関心・当事者意識を持つ人が増えるんじゃないかと思っています。なので、社会派インフルエンサーのまわりにだけじゃなくて、発信する人自身に対してすごく影響を与えている(事業だ)と思います。

(こちらのイベントは現在終了しています)


そんな人でも、大学に行って世界を大きく変えるようなことができるんだと、そのときはじめて知って、「自分でもできるかもしれない」と。

(こういうテーマに)興味を持ち始めたのは高校生の頃だと思っています。それまでは、「社会を変えられる」とは思っていない側だったので、そんなこと選択肢にすら入っていないという感じだったんです。でも高校のときから考えが変わり始めてきました。

高校2年生のときに、e-EducationというNPO団体の創設者の税所 篤快さんという方がいて、(その当時大学生の)税所さんは、バングラデシュなどの途上国に行くと進学をあきらめている子がいるから、バングラデシュでいちばん有名な先生の授業を撮影させてもらって、それを農村部に持っていったら、農村部でも受験をあきらめなくていいんじゃないか、そんな世界が創れるんじゃないかというのをやり始めたんです。

実際にバングラデシュの東大といわれているダッカ大学の合格者を出し始めた、みたいなのを大学在学中にやっている方で、そのことだけだったら「この人は違う世界の人だな」って感じなんですけれど、その方自身が高校のときまで自称落ちこぼれらしくて、そこから大学行って、そういうことをやり始めたっていう。

その話を聞いて、高校生の自分と高校時代の税所さんだったら、自分の方ができているはずなのに、「(言い方は良くないかもしれませんが)そんな人でも、大学に行って世界を大きく変えるようなことができるんだ」と、そのときはじめて知って、「自分でもできるかもしれない」といい意味で思って、そこからですね。

(タイムスリップして、大学に行くか、行かないかでいったら)行っていたと思います。ただ、学ぶ分野は違っていた、もっと勉強したいことを勉強しに行っていたと思います。いくつかあるんですけれど、ビジネスの専攻はやらずに、映像系やジャーナリズム・メディア、何学部にあたるのかわからないけれど社会運動・政治運動などの歴史・生い立ちをもっと勉強したいなと思うので、そういう分野を選ぶと思いますね。


草の根活動的な社会変革のほうが、世の中・社会はいままでたくさん変わってきてるんじゃないかなって。

ほとんどの人が公立学校で、そこが変わっていかないととは思っていたのですけれど、いま思っているのは、世の中の物事って変わっていく順序があるんだなと。いきなり公立学校から変わっていくというのは、基本的にないんじゃないかなと思うんですよ。

元々ぼくは「社会を変える・仕組みを変える」みたいなイノベーションを起こす人がバーンと出てくるのかなぁと思っていたんです。そのやり方ももちろんあるけれど、変えようとしている人は世の中にめちゃくちゃいてて、その人たちの積み重ねでちょっとずつ変わっていって、どこかでティッピング・ポイントがあってどこかで社会が変わる。そんな草の根活動的な社会変革のほうが、世の中・社会はいままでたくさん変わってきてるんじゃないかなって、いまは思っています。

いきなり公立学校から変えていくのは難しいと思うんですけれど、変わりやすい私立学校で実績を出すとか、あとは公立学校にいる先生たちのひとりでもいいから想いを持っている人がちょっとずつ増えていくっていう、そのプロセスこそが大切なんじゃないかなと思います。

なので、ちょっと問題意識を持って変えようと思う人たちを少しずつ増やして、その人たちと連帯してやっていくことが大切なのかなって。


家族・友達といれること、自然があることっていう、本質的な幸せを気づけるような社会になればいいなって。

国でいうとスウェーデンやデンマークなど北欧の国(自分で行ったことがなくて自分事では語れないんですけれど)は投票率も8割超えていたりするし、社会の創り方は知りたいなっていうのがすごくあって、なので行ってみたいという思いがあります。(すごく歴史がある国なので)アメリカの社会運動がどう起こっているのか、その分野で気になっている教授さんとかもいるので、そういうことを学びたいという気持ちもすごくあります。

一方で、1年くらいフィジーに住んでいた時期があって、フィジーの人たちってここ数年でメディアによく取り上げられるようになったんですけれど、世界幸福度ランキングで3回ほど世界1位を取っている国で。フィジーって、物が全然豊かではないんですけれど、ひとりひとりの幸福度がまったく日本とは違っていて、なぜフィジーの人たちが幸せかといったら、すごく本質的なところで幸せを感じている人たちだと、ぼくは思っています。

それが何かというと、(フィジーだけではないですが)家族・友達といれること、自然があることっていう、本質的な人間の営みに対して心からすごく幸せを感じることができる人たちだなって。国は変われど、人間の本質ってそこにあるんじゃないのかなと思っているので、そこを抜きにして、人の幸せはないと思っています。

技術や物質の豊かさだけを盲目的に求めていくような社会・経済が続いていくと、地球も人も壊れてっていうところに近づいているというのが、現在だと思っています。そういうことを考えると、本質的な部分で幸せを気づけるような社会になればいいなっていう思いがあるので、フィジーのような国も参考になる国だなと。

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(インタビュー風景:左下が廣瀬さん)


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(廣瀬智之 2020年10月7日)


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