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#25 〖自分でやっているから、言葉に重みが出る。。〗

第25回目は、『久川誠太朗』さんにお話を伺いました!

「いろんな人の正義・考え方・価値観を、もっと知ることができると、自分の世界が広がる」という点をぼくたちは信じて、このインタビュー活動を継続しています。このインタビューを受けてくださる方に共通する部分は、いろんな人に会いに行くという視点です。

「自分がまだ何をするかわからない」「したいことがまだ見つからない」というたくさんの人に、このインタビューで触れることができたいろいろな考え方・価値観を、届けていく活動も並行して実施しなければと再確認できました。

本日も、素敵なご縁に感謝し、このインタビュー内容をお届けします。

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『原料の可能性を広げていくブランド』です。

いま会社が2期目で、つくっているものは洋服です。『原料から追っていく洋服』ということで、どこの原料で・どこの編み屋さんで作られていてというのを全部見えるようにしたプロダクトを作っています。ぼくらは服をつくっているからアパレルブランドと思われがちなんですけれど、アパレルブランドというよりは、マテリアルブランドとみなさんに伝えるようにしています。『原料の可能性を広げていくブランド』という風に思っています。

(こちらのクラウドファンディングは終了しています)

ひとつ考えるきっかけをぼくらが創っていきたいなと思って、活動をしています。

いま香水もつくっているんですが、香水がどうやってつくられているのか・どういう原料から香りができているのかということがわかるような。いま世の中にあるものは、なかなかどうやってつくられたかわかるものが少ないじゃないですか。

ぼくの実家は農家で、原料をつくっている現場の近くにいました。食べ物を大事にする考え方が(そこで)自然と身についたという部分もあって、食べ物だけじゃない製品も(つくられる)背景を可視化する、いろんなものを見えるようにすることで、モノに対する価値を変えるではないですけれど、ひとつ考えるきっかけをぼくらが創っていきたいなと思って、活動をしています。

「まだ自分のしたいこと見つからないな」ということで、いったん就職をしよう…

会社を立ち上げる前は、3年くらいフリーランスでWEB広告の運用などをやっていました。元々、新卒で1年ほどIT系のスタートアップ企業で働いていました。

学生の頃から起業したいなという思いはあって、そのときからいろいろ動いてはいたのですが、「まだ自分のしたいこと見つからないな」ということで、いったん就職をしようとなりました。いろいろ学べるところはどこかなと考えたときに、小さいところで何でもしないといけない場所のほうが、短い期間ならいいだろうということで、IT系のスタートアップ企業で1年働きました。そこで学んだことを活かして、WEB広告の運用をやっていました。

本当は、そのタイミングで起業したかったのですが、まだ自分のしたいこと見つかっていなかったので、(見つかるまで)食いつなげることをしていこうということで、3年くらい(フリーランスで)やっていました。

『考えてから発信できる人たち』を増やしていくことで、より良い未来になっていく。

『モノがどうやってつくられているのか』を見せていきたい。そうすることで、他のモノを手に取るときにも、「これはなんでこの値段なんだろう?」とか「これって、こういうことだから(値段が)高いんだよね」とか。体に良いもの・環境に良いものを絶対に選ばないとダメだよねという感じというよりは、”選択するためのきっかけ”をつくりたいんです。お客さん・人が考えるきっかけを。

そこで『考える』ことを増やしていくことで、(他人から)言ってきたことに対して、安易にそのまま受け取るのではなくて、「こういう風に言ったから、(相手も)こう言ってきたのかな」と、一度(自分のなかで)考えてから発信できる人たちを増やすことにつながり、より良い未来になっていくんじゃないのかなって思っています。

(こういう考え方になったきっかけとして)実家が農家だったこともですが、アメリカに1年留学したときにやったサーフィンがけっこう大きかったです。サーフィンって、自然の中で・波が立たないとできないスポーツなので、(サーフィンが)ずっと続けられるようにするためには、自然のことも考えていかないといけないし、こんな楽しいスポーツを未来にも残していきたいと考えるようになって、いまの活動をしていきたいと思うようになりました。

『見える』が必要というよりも、『考えるきっかけがない』のが問題だと思っています。それは、『見えることで、考えるきっかけが創られる』んじゃないかなとぼくは思っています。なので、(モノづくりの)透明化が大事だと考えています。

いろんな人の正義・考え方・価値観を、もっと知ることができると、自分の世界が広がる

(今の状態で20歳に戻ったとしたら)いろんな人に会うと思います。最近、SDGsということも言われたりしていますが、「そういうことに取り組んでいない企業は悪だ」みたいな流れになっている部分があって、それはぼくの中でおかしいなと思うところがあります。それは、取り組まなきゃいけない課題ではあると思うのですが、(取り組んでいる人たちの中に)それが良いと思って、やっているわけではない人もいると思うんです。いろんな人の正義・考え方・価値観を、もっと知ることができると、自分の世界が広がると感じています。

自分とは全然違う生き方をしてきて、そこからこういう考え方になっているというのが、絶対に(人それぞれ)ある。そこを知ることで、自分の人生に活かしていけると思って、いろんな人に会いに行くというのが一番かなと思います。いろんなジャンルの人に、ですね。好きな人だけじゃなくて、嫌い・苦手だなと思う人にも会ってみるということをしていきたいなと思いますね。

自分の目で見て・咀嚼して・発信することを大事にしたいので、これからもずっと『現場にいる』ということは心掛けたい。

透明性を大事にする点で、心掛けている部分は『現場に自ら行く』ことです。実際に現場に行くことで、ネット上だけでは見えない現場の苦労だったりとか、「なぜ現場がそういうことをやっているのか」だとかを、自分の目で見て・咀嚼して・発信することを大事にしたいので、これからもずっと『現場にいる』ということは心掛けたいなって思います。なので、いま現場に行きやすいという観点で、国内メインのモノでつくる、という考え方につながっています。

原料から追うとなったときに、(例えば)コットンの生産農家の顔が見えるとかほぼ無い、というところから動き始めていて。でも、そういうこと(原料から追う)を言い続けていたら、日本の紡績工場さんが、アメリカのひとつの生産農家さんと独占契約をしているコットンが見つかりました。なので、そこの糸を使って、編みや生地とかも作ってもらうことになりました。

ぼくはなので、いちばん奥のところから探していくという感じで、まず原料探しから始めて、そこからそれを使ってくれる所を探していくという(プロセスです)。アパレルは特にこれ(原料を見つけるというの)が難しいと感じました。なので、そうなるとぼくらが描く未来に遠回りになるのではないかなと思い、『香り』というものを"もうひとつの解"としてやっていこうと考えている途中です。

人と違うことをやるってなったら、それだけ大変なことが多いけど、それができたときはめちゃくちゃ気持ちいい感じになれるんじゃないかなと。

(ぼくはファッションは素人なんですけれど)現場から考える服作りとなると、アプローチが変わってくると思うので、ぜんぜん違うものができると思います。(現場に)はじめて行ったときに、編み物と織り物の違いすらもわかっていなかったので、そこから原料を学び始めて、ウールが夏場は優れている素材なんだなとか、全然知らなかったことをいろいろ学ぶことができました。なので、『現場に行く』ことを(どんな分野でも)大事にしたほうがいいと思います。そして、生産する方・人に対してリスペクトすることを絶対に忘れてはいけないなとも思います。そういう現場の方は、モノづくりに対してリスペクトを持って接すると、めちゃくちゃ優しいので、優しすぎて胃が痛くなるくらい(笑)。「ここまでしてもらっていいのか」くらいになっちゃうときもあります。

まだ僕も勉強が足りない部分が多いんですけれど、情熱というか人と同じことをするのはあまり好きではないので、マイノリティをカッコイイと思う人間。人と違うことをやるってなったら、それだけ大変なことが多いし、教科書みたいなものもないので、それができたときはめちゃくちゃ気持ちいい感じになれるんじゃないかなと、心に秘めてずっと頑張っているという感じですね。それが情熱なのかはわからないけれど。情熱的だとはよく言われます(笑)

(インタビュー風景:右上が久川さん)

自分でやっているということで、言葉に重みが出るかなと。

コットンがどういう感じでできるのかが知らなかったので、コットンの種を紡績工場さん・日本で栽培されている農家さんから直接仕入れさせてもらって、2種類のコットンを実家の畑で育てています。

コットンって水がたくさん使うという話を聞いたりしていて、(染色などの工程も全部含めて)Tシャツ1枚つくるのに2700リットルの水が必要になるとか、実際にどれだけ水がかかるんだろうというのを、経験してみたらわかるかなと。

小規模なので参考になるかはわからないですけれど、日本でオーガニック栽培はほとんど水がいらないなぁっていうのが、ひとつ新しい経験でしたね。あとは、オーガニックで育てるのがどれだけ大変なのかというのが、草がボーボーになるし(笑)、毎週実家に帰って草むしりしないと全然間に合わないくらいあるので、そういう労力などもわかりました。

オーガニックコットンが高いのは当たり前だなというのを思ったりとか、そういうのをリアルに感じることができたのでよかったです。自分でやっているということで、言葉に重みが出るかなと。

もうすぐコットンボールができるかな、という感じです。

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(久川 誠太朗 2020年9月28日)

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