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我、弥太郎ノ亜種ナリ〈日々の100〉

このような、モノについて書いて遊んでいる人ならきっと一度は手に取ったことはあるであろうこの本。

元・暮しの手帖編集長である、松浦弥太郎さんの名著である。友人に紹介してもらって読んだのだが、とにかくモノを描写する表現力が群を抜いている。形式とか様式とか小難しいことではなく、「私とこの道具はこういう関係なんですよ」と簡潔に書いている。一見簡単そうに書いてあるが、あそこまでブラッシュアップをした上で、言いたいことを完結にまとめ上げるのは容易ではない。とにかく、初めて読んだ時には驚いたものである。

そんな文章に惹かれて、あれよあれよという内に、彼の本が僕の本棚の一角を占める結果となった。

このNOTEでモノについて書いているのも、つまりは弥太郎さんのマネである。つまり、亜種でしかない。

「模倣なくして、創造なし」

誰かが言った使い古された言葉だが、初めは誰かのマネであると思う。しかし、それを繰り返すことで自分の武器と弱点を知ることができる。芸術界の師弟関係や「見稽古」なども正にその類いであろう。

ただ、亜種であってもbotになっては絶対にいけない。

最近、「手塚治虫が今の時代に存命だったら…」というテーマの元、AIに新作を書かせたという話題がある。賛否両論あるようだが、個人的にはとても面白いと思う。だが、どこまでいっても著者名に「手塚治虫」とだけ書かれることは決して無い。

つまりはそういうことだと、僕は思っている。

故ニ我、弥太郎ノ亜種ナリ。

まずは貴方のマネをします。

さて、次はなにを書こうかな。

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