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しんやの餃子世界紀行 Vol.69

「守屋という男」

守屋という男は不思議な男だ。

これと決めるとその他のものを全部ほっそり捨ててどこか遠くへ行こうとする。

守屋という男は不思議な男だ。

昨日まで楽しかったことが明日楽しいとは限らない。

違うと決めたら違う。

良いと決めたものは一生良い。

最近のあいつはモールアートにハマっているらしい。

「どう、しんや。どう?」

出勤した時の会話は最近毎日こうだ。

でも明日にはもうモールアートなんてどうでもよくなってるのかもしれない。

だから僕はいつも、

そうだね

くらいのテンションでしか返さない。

昨日も明日も。
何年前も何年後も。

守屋は今にしか生きることができない。

今楽しいことを邪魔してはいけないのである。

一緒にいるようになってそこそこ経つが、もうしんやの趣味の話をすることもやめた。

なぜならそれは守屋の趣味ではないからだ。

でもなるべく趣味は被らないようにしている。

気がつけば置いていかれるからだ。

守屋という男は不思議な男だ。

嫌な事は嫌だと顔に出す。
口にも出す。

何か言いたいけど我慢している時は少し口を開けて前歯をぎっと噛む。

5秒後に忘れる素振りを見せるけど,永遠に覚えている。

そういう男だ。
守屋という男は。

こういう男だから、好き嫌いははっきり分かれるだろう。

勘違いもされてきたと思う。

ただ守屋直記という男は反骨と反逆の男なのだ。

彼もまた、人と平等に我慢と忍耐の時を経ている。

僕は今の今まで、このかたずっと。

守屋のパーソナルをなるべく触れずに一緒にやってきたつもりだ。

外から見る守屋と中から見る守屋は違う。

そんな当たり前の違いすら、守屋を語る上で邪魔なのだ。

守屋は守屋でしかない。

そんな守屋の側には熱烈なファンがつく。

それはもう、熱烈の熱の量が違う。

人が人を呼び、守屋の側には必ずいつも大切な誰かがいるのだ。

興味本位の先を進む信頼すべき何かがあって、それが守屋の推進力になっている。

僕はあいつのそこに惹かれるのである。

しんやは天才だ。
ただあいつはカリスマなのだ。

天才は努力でカバーできる。

カリスマはそうはいかない。

愚直に守屋は守屋をやってる。
嘘と偽りがない。

このスペックに関してあいつの右に出る者を僕は知らない。

憎たらしい。
そもそも僕は彼より歳上なのだ。

先に歩んだ365日に、彼のそのスペックの入手方法を書いたマニュアルは、少なくとも僕に見つけることはできなかった。

憎たらしい。

そんな守屋ももう31歳になった。

30歳までに東京に返り咲く夢を、少しだけコロナに邪魔されながら彼は達成した。

東京に餃子世界ができてまだ3ヶ月経たず。

すでにファンがファンを呼び、コミュニティとして成立している。

素晴らしいことだ。

そしてその中心にいつもあいつはいるのである。

奇しくも同じ6月を誕生月に持つぼくと彼である。

たった2週間の間だけ、同い年でいられる事が誇らしい。

ちょっと安心する。

人生が並列に進む感覚なのである。

このブログを書くにあたり、

「俺のことはよく書くな」

とずっと言われている。

理由は守屋の中にしかない。

ウニだのすぐ寝るだのサイコパスだの、散々書いてきた僕である。

あれは全て、嘘だ。

厳密に言えば本当なんだけど、僕にあいつを悪く書く事はできない。

少なくとも良く書かないことが精一杯なのだ。

僕は彼より歳上だから、彼の要望はのんだのだ。
それだけの話なのである。

ただ。

この10日間だけは僕は君のことを悪く書くことなんか出来ない。

少なくとも2021年だけを切り取れば、一番近くでずっと守屋を見てきた僕である。

不思議な縁で人事部長までやってしまったけど、僕は君からたくさんのことを学んでいる。

心から思うのだ。
生まれてきてくれてありがとう。

そんな僕のような彼のファンが集まり、餃子世界東京で行われた初めての彼の誕生日を、彼を慕うたくさんのありがとうに溢れた素敵な会になった。

この会が開けること自体、僕にとっても誇りなのである。

ウチの界長は何も間違ってないじゃないか。

君はこれからも、正しい楽しい道を往く。

その都度訪れる面倒事を処理するのは新谷で良いのだ。

少し汚れてるくらいの仕事がよく似合う。

そして守屋にその仕事は絶対にできない。

正しいけど楽しくない。
楽しいけど正しくない。

君はこの道を進んではならないのである。

楽しくないし正しくない道などもってのほかである。

この文章を読んで、あいつは泣くのだろうか。

意外とすぐ泣くからな。

明日はプレゼント買いに行こう。

予約は一件のはずだ。

でも僕は買いに行けないことを知っている。

守屋の予約の管理は絶望的にザルだからだ。

仮にパンパンにお客さんが来ても僕は明日君のことは呼ばないよ。

この余韻は、12時間じゃ消化出来そうにないから。

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