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なぜ私は新宿にデカデカと手書きポスターを出したのか〜初めてポッキーを凍らせたあの日から今日までのこと〜

みなさんはじめまして!

ポッキー担当のポキ子です。
今日は、どうしてもみなさまにお伝えしたいことがあり、特別に「ポキトモ」note編集部にこの場を借りてお話させていただきます。
はじめて書くので拙いところもあるかと思いますが、大目に見てもらえると嬉しいです。

早速ですが、みなさん、ポッキーを凍らせて食べたこと、ありますか?

聞き方を変えましょう。

みなさん、ポッキーを冷凍庫に入れたこと、ありますか?

わたしは、江崎グリコに入社するまでは夏にチョコは食べない人間でした。(ポッキー担当者としていかがなものかと言われればそれまでなのですが・・・お恥ずかしい限りです。)

夏はチョコを買わないし、冬はお菓子ボックスにそのまま入れておけば良いし、ポッキーはおろか、お菓子を冷凍庫に入れるという行為をすることは2020年の夏までありませんでした。

そう、忘れもしない、2020年6月29日までは。

そして、わたしが初めてポッキーを冷凍庫に入れたあの日から、記念すべき(約)1年後の今日。

凍らせたポッキーの魅力をできるだけ多くの皆さんに知っていただきたい一心で、こんな大きなポスターを書かせていただきました。

はい、文字通り、

書かせていただきました。

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※駅係員へのお問い合わせはご遠慮ください

今回は、わたしの運命が変わったあの日、2020年6月29日から、今日、こうして新宿駅にポスターを掲出するまでのお話をさせていただければと思います。

***

遅くなりましたが、簡単な自己紹介をさせてください。
わたしは江崎グリコ入社3年目の社員です。
ポッキーの担当になってもうすぐ丸1年が経過しようとしています。
入社当初は、別のチョコレートブランドのサブ担当として配属されていました。

そして約1年前、6月中旬。上司から異動を告げられました。

「驚くかも知れんが、ポキ子は7月からポッキー担当になります。」

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あの日の衝撃は忘れられません。

だって、やっと入社1年目が終わったところでした。
やっと仕事に慣れてきて、やりたい仕事もできてきて、さあこれから!と意気込んでいました。

最初の面談で先輩に言われた「3年目にはブランドのメイン担当を目指してほしい」の言葉。
最初は何のことやら、全く実感が湧きませんでした。

でも、初めて企画したキャンペーンが終わって、振り返りをして、ここが良くなかったな、次はこんなキャンペーンを企画しようかな、と思うようになったり、初めて自分が味づくりから携わりながら企画した商品の発売が決まったり、少しずつ、大きなプロジェクトを任されるようになったり、自分の意見が求められるようになったりして、
やっと、「3年目でブランドのメイン担当になりたい」が自分の口で言えるようになっていました。

そんな頃のことでした。

異動が告げられたのはZoomで2年目研修を受講している真っ只中。
講師から「入社2年目、みなさんはどうなりたいですか?」と聞かれ、異動の話を聞いた直後の私は、

今さっきまで思い描いていたなりたい姿が抹消されました!

と叫びながらモニターに向かってマウスを投げたくなるのを必死でこらえました。
なんで今、わたし?という思いで頭がいっぱいでした。

引継ぎの準備はちゃんと行いました。
2年目駆け出しとはいえ社会人。仕事はしっかりします。でも、心の中は「まだやり残したことしかない、引き継ぎなんてしたくない」と未練タラタラでした。
それから数日後のある日、ポッキー担当の先輩からメールが届きます。

「ポキ子ちゃん、7月からポッキーチームでよろしくね!今日、もうすぐ発売の夏のキャンペーン品が届いたので、ポキ子ちゃんの分を置いておきます。良かったら、今度出社するときに持って帰ってね。冷蔵庫じゃなくて、冷凍庫に入れて、凍らせて食べてみてね。」


先輩からの温かいメールに優しさを感じ、心遣いを嬉しく思いつつも、
まだ前の仕事やチームに未練タラタラのわたしは、今までの日々に想いを馳せ、寂しさと何とも言えない喪失感を感じていました。

6月29日。

運命の日は、そんなころに訪れました。

久しぶりに出社して(※江崎グリコでは在宅勤務を実施しています)いただいたポッキーを受け取り、家に帰って、先輩に言われた通り、冷凍庫に入れました。

たしか、夕食を食べ終わったあとです。
いつもだったらデザート感覚で、きまってアイスの実の白いカフェオレ味を食べるんですが、この日のわたしの家の冷凍庫にはポッキーが鎮座していました。
「まあ、折角先輩に用意していただいたし、感想も伝えないと失礼だし、冷凍庫で凍らせたポッキー、食べてみるか。」
こんな軽い気持ちだったと思います。

ひとくち、パクリ。

衝撃が走りました。

衝撃って言ったって、言ってもポッキーでしょ。
そんな声が聞こえてきそうです。そうですよね、わたしもそう思っていました。でも、違ったんです。

そもそも、わたしは夏にチョコを食べない人間でした。

でも、この会社に入社してからは、開発段階での試食もありますし、勉強もかねて、季節関係なく毎日たくさんのチョコレートを食べています。
こんなことを書いたら怒られてしまうかもしれないのですが、夏場は「食べたい!」とは思えていないこともしばしば。正直、夏のチョコレートって重たいなって感じている人が多いと思うんです。何か口の中すらもベタつく感じがして、そんなときにチョコレートは生理的に求めていない感じがして。

でも、冷凍庫で凍らせたポッキーは違ったんです。

歯で感じる、ひんやりとした口当たり。
噛んだ瞬間、頭に響く、ポッッッキ―――――ン!という軽快な音。
常温の時よりも確かに感じる、カリッ、カリッ、カリッとした食べごたえ。
そして後を追ってひろがってくる、どこか爽やかさも感じるチョコレートの甘み。
こころなしか、気持ちまですっきりするような食後感。

ああ、これだ。と思いました。

好きだ、と思いました。

その日から、わたしの冷凍庫にはポッキーが常備されるようになりました。

色々なポッキーを凍らせてみました。
残念ながら世の中に出回ることのなかった試作品のポッキーもこっそり冷凍して食べました。
たくさん食べ比べましたが、やっぱりお気に入りはポッキーチョコレート。
社内では赤箱と呼ばれています。
みなさんご存知、あの赤い箱のポッキーです。

【立体画像】2袋_ポッキーチョコレート_20200408

一番食べ慣れているはずのポッキーなのですが、冷凍するとまた違った良さがあります。
ここからはあくまで個人の感想ですが、凍ることでまずプレッツェルの硬さが増します。※個人の感想です。
そうすると自然とよく噛むようになるので、一本当たりの口の中での滞在時間が短くなり、すっきり食べられるようになります。※個人の感想です。
今書いていて思いましたが、よく噛むということは満腹中枢の活性化につながりますから、より少量で満腹感を得られるということもあるかもしれません。※個人の感想です。
そうなると、ダイエットにも良いのかもしれないですね、ああ、もっと食べないと・・・※個人の感想です。

そもそも、今思えば凍らせたポッキーは冷凍庫から出した瞬間から素晴らしいんです。

箱もひんやりしていますし、その中の個包装のフィルムがこれまたひんやりしています。
わたしくらいの凍らせポッキー脳になると、その袋に触れるだけで凍らせたポッキーの味わいが脳裏に浮かんでフィーバーしてきます。

せっかくなので、みなさんにぜひ試していただきたいおすすめの食べ方もご紹介します。
冷凍庫で5時間以上凍らせたポッキーを、さっと一袋だけ冷凍庫から取り出します。もう一袋は温度が上がらないよう冷凍庫に入れておきましょう。
もしくは、ご家族や友人に分けてあげるのも良いですね。独り占めにはご注意ください。

取り出した袋を持ち、指先に心地よい冷たさを感じながら背張りの矢印部分を勢いよく開け、おもむろに2本、ポッキーを取り出します。
2本並べて持って、先から11mm(ポッキーだけに)のところに歯を立てて、スナップを効かせて手をひねりながら、勢いよく2本同時にポキッとかじる。
そうすることで、ベスト・オブ・ポッキ――――ン(当担当者比)を感じることができます。

あの運命の日、今思い返せば、突然の異動に対する憂鬱な気持ちもなくなっていました。

そうだ、前のチームに未練ばかり感じていてもしょうがない、
ポッキーチームに異動になったわたしの使命は、そう。

凍らせたポッキーで日本中を幸せにすること。

先輩がわたしにポッキーを凍らせて食べてみてね、と勧めてくださったおかげで、凍らせたポッキーに出会い、モヤモヤと心にあったわだかまりが吹き飛んだように。

かつてのわたしのような、夏にはチョコを食べないという方に、
ポッキーを冷凍庫に入れたことがないという方に、凍らせポッキーを知ってもらって、食べてもらって、わたしと同じこの衝撃と幸せな気持ちを味わってもらうことこそが、そしてこの幸せの輪を広げていくことこそが、わたしの使命なのではないか?そう確信したのです。

そこからわたしと凍らせたポッキーとの二人三脚の日々が始まりました。

二人三脚

わたしは今年の夏のキャンペーンで、凍らせたポッキーを訴求するべきだと熱く燃えていましたが、
まず同じポッキーチームの人にそれを分かってもらう必要がありました
なぜ凍らせたポッキーを訴求するべきなのか?
お客様にとってどう良いのか?

必死で説明し、凍らせ提案で企画進行することの許可を得ました。

どうしたら凍らせたポッキーの魅力を多くの人に知ってもらえるんだろうか?社内のメンバーの知恵を借り、社外関係者の力を借りながら、たくさん悩み、提案し、時にはうまくいかずに辛酸をなめ、でもめげずに何度も考えました。

雨が降った日も、よく晴れた日も、風の強く吹く日も、寒空に震える日も、
わたしの家の冷凍庫には、いつだってたくさんの凍らせたポッキーがありました。

例えば、呼び名ひとつとっても、冷やしポッキー、フローズンポッキー、冷凍ポッキー、アイスブレイクポッキー・・・
悩んでは相談し、ときにはアンケートを取り、ヒアリングをして、そうしてやっと決まったのが「凍らせポッキー」でした。

そんなこんなで、数か月の企画検討を経て、商品のパッケージデザインも決まり、いよいよ、どうやって届けるか?を考える段階になりました。

パケ6種

企画の初めからこだわり続けてきたお題。
どうしたらたくさんの人に凍らせポッキーを試していただけるだろうか?
どうしたらこの凍らせポッキーの魅力が伝わるだろうか?
もとい、わたしのこの凍らせポッキーへの想いが伝わるだろうか?
考えていたとき、なぜかふと脳裏をよぎったのです。
中学生のころ密かに憧れていたあの人が言っていた、

「告白されるならやっぱメールじゃなくて、直接か手紙がいいよな」という言葉を。

あの人イラスト

今の中学生はメールではなくLINEやInstagramでしょうか。

でも、やっぱり、時代は変わっても、想いを伝えたいなら、直接か手紙が良いんじゃないか、と思ったのです。
(そういえば、あの人は今どこで何をしているんでしょうか。もしかしたらこのnoteを読んでくれているかもしれませんね。素敵な気づきをありがとう。)


とはいえ、このご時世。そしてわたしはひとり。
いくら頑張っても、 ひとりひとりのお宅に伺って直接語りかけることはできませんし、街頭演説もできません。

そうなれば残る選択肢はひとつ。
手紙を書こう。

せっかく書くなら、もちろん手書きで、想いを込めて1文字1文字丁寧に書こう。

せっかく書くなら、できるだけたくさんの方に読んでいただけるようにしよう。

そう思って、世界一利用客が多いと聞く新宿駅の、大きな大きな広告枠を使って、手書きの手紙を書くことに決めました。

新宿のメトロプロムナード!

スーパープレミアム

聞けば、A4用紙が441枚も入るサイズといいます。
原稿用紙にすると17万6400文字分だそうです。
これなら、わたしのこの想いを伝えるのに申し分ないと、そう思いました。

とはいえ、ここからも大変でした。
わたしのこの凍らせポッキーへの想いを伝えたい、その一心で走り出しましたが、入社3年目、初めての屋外広告の企画。


なかなか提案を通すことができません。

おそらくキャッチコピーだけで100案くらい出したと思います。

例えば、、、

冷凍庫はポッキーのために存在している。

冷凍庫はポッキーのために存在

ポスターにするとこんな感じでしょうか。

冷凍庫はポッキーのために存在している_pocky_shinjuku_poster

ほかにも、
・凍らせポッキーが遺伝子レベルで大好き。
・凍らせポッキーがだいすき。
・凍らせポッキーが大大大大大大好き。
・凍らせポッキーと結婚したい。
・凍らせポッキーと来世でも逢いたい。
・凍らせポッキーは私の婿。
・ポッキーじゃありません、ポッキーンです。
・日本国民すべての冷凍庫にポッキーを。
・みんなで凍らせポッキーを食べる。みんなが幸せになる。私が幸せになる。
・・・

その時の資料がこちら。

PPTスクショ

たくさん出しすぎて、もうこれでいいんじゃない?と考えるのを諦めたくなった日もありました。

でも、すべてはわたしの「凍らせポッキーを一人でも多くの人に試してほしい」というその思いを叶えるため。

社内でも沢山議論をし、ようやく「これでいこう!」と決めたのがこちらです。

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「夏は、凍らせポッキ―――――ンでみんな笑顔になれますように。」

わたしが、あの日凍らせポッキーで憂鬱が晴れたように、みなさんにもこのポッキ――――ンで幸せな気持ちになってほしい、その思いを率直に表現しました。
わたしがどうしても新宿の大きな広告枠を使って出したかった手紙の内容はこんな感じです。
想いのままに、徒然なるままに、凍らせポッキーの魅力を綴ってみました。
是非、じっくり読んでいただけたら嬉しいです。

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主観が入りすぎた気もしますが、もう出してしまったので良しとしましょう。

そして、お気づきの方がいらっしゃるかわからないのですが、実は、右側の写真。あれ、実は、

わたしの家の冷凍庫です。

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凍らせポッキーの魅力に憑りつかれたあの日を境に、わたしの家の冷凍庫はポッキーに侵食され、今では溢れんばかりのポッキーが詰まっています。

いつでも凍らせポッキーが楽しめます。最高の冷凍庫です。

ちなみに、この冷凍庫の写真も試行錯誤しました。
凍らせポッキーのひんやり感を伝えるために、写真から冷気を出せないものか?と思い、ドライアイスを買いに走りました。
ドライアイスを買おうとしたのは初めてだったのですが、ドライアイス、一般的なスーパーなどでは販売されていないんですね。
冷凍食品を買うとつけてもらうことができたのですが、ポッキーを買っても残念ながらドライアイスはつけてもらえないので、代わりにアイスの実を購入し、無事ドライアイスをゲットしました。

まあ、結果的に、わたしのiPhoneではドライアイスの水蒸気を捉えることはできなかったのですが。

そんなこんなで、いかに凍らせポッキーが詰まった、もとい夢の詰まったこの冷凍庫を魅力的に見せるか、にこだわった結果、

カメラロールが冷凍庫の写真でいっぱいになりました。

写真フォルダ1

ここまで6000字以上、わたしが初めてポッキーを冷凍庫に入れたあの日から、今日までのことを思うがままにつらつらと書き連ねてしまいましたが、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。

思い返してみれば、色々なことがありました。
そして、あの運命の日から記念すべき(約)1年後の今日、やっと、こうしてみなさんにお伝えすることができます。

凍らせポッキーが最高であることを。
凍らせポッキーが全人類を幸せにしてくれることを。

ぜひ、今年の夏は、凍らせポッキ―――――ンで笑顔になってくださいね。

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(追伸:あと100個くらいポッキー入れられる大きい冷凍庫のオススメあれば教えてください。)