風邪の効用

野口整体の創始者。この本はそのエッセンスが書かれている。

風邪を引くと頭が重い。何も考えたくない。身体もだるくて何をするにも面倒くさい。熱がこもるし、背筋は寒い。咳は出るし痰は絡む。食欲も出てこない。

この風邪の症状を「健康な働き」と野口は考えている。活元運動。季節の変わり目になると、次の季節に備え身体が作り直される。動物たちの毛が生え変わるように。自動車が車検で整備されるように。そのための休止期間が「風邪」ではないかという提言です。

実際、風邪で寝込むと身体が緩む。冬のあいだ縮こまっていた身体が布団の中で液体のように溶ける。無意識に凝り固まっていた筋肉が一斉に痛み出す。「ここをほぐしてくれ」と訴える。野口整体はそれに合わせて身体を緩める方法です。症状と協力して、次の季節への身体を整え直す。

「心の症状」も同じことだと思いました。まあ、無理しているんですよ、日頃。でも、そのままでは「次の季節」を乗り越えられない。身体に力が入らなくなるのは脱力の時期だからです。どこが凝っていて、どこが緩みすぎているか。身体が教えてくれる。

対人関係で無理をしていれば対人関係の症状になる。身体を酷使していれば「身体に注意を向けよ」の症状が出る。その症状の訴えに耳を貸し、力加減の調整をする。症状を消せば終わり、ではありません。

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