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生産者さんからみなさんへ 〜自然環境の変化と向き合う #カナリアの声 〜 vol.8 ぶどう農家・育種家の林慎悟さんより

年々深刻化している気候変動。みなさんは、何か環境の変化を感じているでしょうか?

私たちの食べものをつくってくれている生産者さんたちは、自然と向き合う中で日々環境の変化を感じ、また、すでに生産活動において様々な影響を受けています。

そんな生産者さんたちの状況を、少しでもみなさんに知ってもらいたい。そして、私たちにできることを一緒に考えていきたい。

ポケマルでは、自然環境の変化に直面する生産者さんたちの声をお手紙の形にして、連載形式でご紹介していきます。自然からの警告を「炭鉱のカナリア」のように私たちに伝えてくれている生産者さんの声を、まずは知ることから、一緒にはじめませんか?

岡山県岡山市でぶどうの栽培と品種改良を行っている林慎悟です。

自然環境の変化は10年ほど前から感じていて、特にこの4〜5年は非常に大きな変化を実感しています。たとえば、雨が降る期間と量について、極端な変化が多々見られるようになりました。以前であれば1日かけて降っていた量の雨が今は1時間で降ったり、1週間に1回は降っていた雨が半月や1ヶ月の間降らなかったり、そうかと思えばずっと降り続けたりする。そういうことが近年顕著に起きています。

変化が極端だと、タイミングの予測や技術によって備えるということが難しいです。昔に比べて収穫のタイミングなどは読みづらくなっています。また、高温の影響で日焼けや褐変、着色不良などの発生回数がここ数年増えています。

とはいえ、こうした自然環境の変化に対して既存の品種を合わせるのはなかなか難しいことです。暑さが苦手な人に対して、暑いところで仕事を頑張れと言っても、パフォーマンスが落ちてしまうのと同じです。

それなら、暑さが得意な人を当て込むように暑さが得意な品種を作ることで、生産者の助けになれればという想いが、僕の品種改良の根底にはあります。実際、いい品種があれば紹介してほしいという声を他のぶどう農家からもらっています。

一方で、技術で解決しきれない部分については、消費者のみなさんの理解が重要だと考えています。そのための取り組みの一つとして、「おかやま葡萄酒園」を立ち上げ、耕作放棄地にワイン用の葡萄を植えて、管理までを一般の人に担ってもらう取り組みを始めました。

今までは単発の体験イベントを開催していましたが、昔よりも生産と消費の距離が開いているからか、それだけでは消費者のみなさんの理解につながらないなと感じました。なので、「おかやま葡萄酒園」のような場を通じて継続的に関係性を持つことで、自然環境の変化や農業の大変さ、その中にある楽しさを感じてもらえたらと思っています。生産者と消費者がコミュニケーションをする場をどんどんつくっていきたいと思っています。

自然環境の変化に技術だけで対応するのは難しいということ、消費者の理解が必要であるということを、生産者さんはよくお話しされます。

自然との接点が少ない私たちは、自然環境の変化を自分ごととして捉えることがなかなか難しいかもしれません。でも、生産者さんを通して、変化について知ること、理解すること、心を寄せることはできると思います。

生産現場の変化は、やがて私たちの食卓の変化にもつながります。生産者さんの「カナリアの声」が、みなさんの食に対するあり方や暮らしそのものについて、改めて考えるきっかけになれば何よりです。

まだまだ知られていない、生産現場の変化のお話。生産者さんの「カナリアの声」を、ぜひ周りの方にも届けてください。


▼今回お話をお聞きした生産者さん
林慎悟|林ぶどう研究所|岡山県岡山市

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