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【前編】雨風太陽・高橋博之×ココホレジャパン・浅井克俊—「合理と非合理の両立 数字だけでない価値をどう残すか」

2024年4月、雨風太陽はニホン継業バンクを運営し、地方事業の継業支援を行うココホレジャパンと資本業務提携を締結しました。

「都市と地方をかきまぜる」のミッションのもと、地域と多様に関わるサービスを展開してきた雨風太陽と、地域の中小企業・小規模事業者の後継者を全国から募集してマッチングを行うココホレジャパンが協力し、「継業」を起点に地域の活性化を目指します。

今回雨風太陽代表の高橋と、ココホレジャパンの浅井代表が対談を行いました。今回の業務提携に至るまでの経緯を始め、両者から見た地方の価値や課題、そして地方、そこにある文化や生業を持続させていく上で何が必要かなどが語られました。

▼対談者プロフィール

高橋博之
1974年、岩手県花巻市生まれ。青山学院大卒。 代議士秘書等を経て、2006年岩手県議会議員に初当選。翌年の選挙では2期連続のトップ当選。震災後、復興の最前線に立つため岩手県知事選に出馬するも次点で落選、政界引退。2013年NPO法人東北開墾を立ち上げ、地方の生産者と都市の消費者をつなぐ、世界初の食べもの付き情報誌「東北食べる通信」を創刊し、編集長に就任。2015年当社設立、代表取締役に就任。

浅井克俊
広告代理店経て、2003年タワーレコードに入社。コーポレイトボイス「NO MUSIC, NO LIFE.」ポスターシリーズの制作やブランドマネジメント、セールやキャンペーンの企画プロデュース、タイアップ、ライブイベントの企画運営などに携わる。販促企画部部長、ライブ事業部部長を経て、2012年に岡山県に移住。翌年にココホレジャパン設立。

—両社のサービスについて

高橋博之氏(以下、高橋):過疎、そして東京一極集中。これまでずっと問題だと言われ続けていて、これがいまだに全く解決できていないですよね。都市と地方の分断が、我が国は非常に激しい。当社はその分断を埋めるべく「都市と地方をかきまぜる」をミッションとしてやっております。

都市か地方か、その2者択一にしてしまうと、どうしても都市に来る人達が増えてしまう。都市と地方の境界線を、できるだけなくしていくと。都市にいながらにして地方に主体的に関わりを持つ人たちを関係人口と命名して、今この関係人口を増やすことを目指して取り組んでいるところです。

2050年には日本人が1億人を切ると言われています。つまり2000万人がぽこっといなくなってしまうということ。その2000万人が都市と地方を往来しているような、関係人口になってるような社会になれば、都市も地方も、今よりも豊かになれる、そんな風に思って事業として取り組んでいるところであります。

浅井克俊氏(以下、浅井):現在日本の中小企業が330~340万社ぐらいあると言われてる中で、2025年には経営者の約6割が70歳以上になり、その半数の約120万人が後継者未定で廃業する可能性があるという結果が出ています。つまり2025年には大廃業時代がやってくると言われています。

先ほど博之さんから「都市と地方をかきまぜる」って話がありましたけど、その起点になっているのって恐らく地域産業で、そういうところがあるから関わる人がいると思うんですけど。その地域産業に後継者が見つからずに廃業していったら、そもそも関わる人自体も減っていくことになると思っています。

地方は人口を都市部に流出している分、地域内で担い手を探そうと思っても、そもそも若い人がいないっていうのが根本的な問題です。なので地域外から意欲のある人達に来てもらう仕組みをどう作るのか、我々が目指しているところはここです。考え方としては、空き家バンクっていうのを各自治体が持って、その空き家の活用みたいなことをやってると思いますけど、事業継承版空き家バンクということで、自治体ごとに後継者がいらっしゃらない地域の高齢者を探して、地域外の方をマッチングしていただくプラットホームを運営しています。

—現状の「地方が抱える課題」とは?

浅井:僕は横浜生まれで岡山に移住をして、地方の課題って色々あるけれど、全ての根幹に担い手不足というのがあると感じました。そこの抜本的な解決をどうするのかっていうのはずっと考えているところです。

高橋:僕は第一産業がフィールドですけど、そもそも担い手がいないっていうことがやっぱり根本的な課題になっていますね。地方の商いっていうのはこれまで血縁でやってきたわけですが、これだけ選択の自由が当たり前になっている時代だからこそ農業・漁業をやりたいって人を繋げられるように、そこはやっぱり解放していった方がいいと思っています。血縁で繋げない以上、その価値に共感してくれる人が継いでいくということしかないですよね。

浅井:例えば従業員が40人いれば、その40人のうちの誰かが事業を継いでくれるかもしれない。事業が小規模であればあるほど、譲る先の選択肢もものすごく少ないんですよね。その選択肢を増やすための仕組みづくりが重要かなと思っています。

高橋:世界的にも地方から若い人が吸収されて、地方がどんどん縮小しているという大きな流れがあって、その先頭に日本はいますけど。やっぱ都市っていうのは費用対効果の最大化が重視されていて、できるだけ安く、たくさんのものを、間に人が入るとコストだと言われてそこが省かれて、言わば人と人の繋がりが非常に見えにくい。そういう都市に住む人にとって、地方にある自然や人との関わり、継続してきた生業だとかは、生きるリアリティを取り戻せる現場だと思うんですよね。

非合理と合理の両方がないと社会が成り立たない。合理だけになってしまうと、みんな都会に行って機械的な生き方をしまうっていう。最終的に地方が抱える課題は、都市の課題になると思っています。

浅井:「コピペの街」論みたいなのがあるじゃないですか。昨日ちょうど地方で事業者さんの話を聞いていて、80年くらい続いているお店があったんだけど、息子が東京で就職をしたのでもう事業を辞めると。でもやっぱり残す努力をしなきゃいけないんだって思ったという風に言っていて。事業を続けることが一番の地域貢献だからって話していたんですね。

あとその方が言っていたのが、昔は東京でも池袋、渋谷、新宿あたりもそれぞれ違っていたけど、今どこに行っても同じような感じになってるって。結局地方もそうなってしまうと個性を失っていってしまう。地域の事業を通して地域性を残していくことがすごく重要だと思っているから、今回お声がけさせていただいた、と。それを聞いて、まさにそうだなと思いましたね。

結局どこも同じように、駅前に商業ビルがあって、チェーン店があって、そうなってしまうと地方に暮らす意味がどんどんなくなってしまう。みんな東京がいいじゃんって話になっちゃいますよね。地方でお店をやって非合理かもしれないけど、でもやっぱり地方っていうのはそうやってできていると思うので、僕らとしてはどういう物差しを作って、そこの価値を認めるのかなってのは常に悩んでいるところです。

高橋:やっぱ地方が都市に依存したままで、地方ならではの豊かさを追い求められるかっていうと構造的に難しいので、やっぱそれを変えなきゃいけないと。そうなった時に僕は「人材のシェア」っていうのを提案したい。これまでは人的リソースを都会に集中させることが合理的だったけども、人口減少社会においては都市と地方が同時に人材を使っていくっていう。2拠点居住とかそういう話なんですけど、別に移住じゃないにしても、副業であってもいいし、いろんな形で関わっていく人が増えていけばと思ってます。

浅井関わりしろをどう作れるかっていうのはずっと考えていることだし、応援したい、残したいって思ってくれる人が多いということは社会性が高いっていうことだと思うので。そこをどう可視化して、関わりしろに対して応援できるような仕組みを実装するかっていうのは今後大事になってくるな、と。

・・・

両者ともに、地方が抱える課題の根本には「担い手不足」があると考えていて、そこにどう人々が関わっていくかという選択肢を増やすことの重要性が語られました。後編では2社が業務提携に至るまでの背景、そこから期待できる成果、そして現在思い描いている理想的な日本の未来についてお話ししています。

続きは【後編】雨風太陽・高橋博之×ココホレジャパン・浅井克俊—「合理と非合理の両立 数字だけでない価値をどう残すか」

(執筆:PR 西宮)


【お知らせ】雨風太陽とココホレジャパンが「かかわりやすいまちランキング2024」を発表しました。

1,718の基礎自治体と特別区に対して、関係人口創出の取り組みに関する独自調査を実施し、その調査結果をもとに、いまもっともかかわりやすい自治体を明らかにする「かかわりやすいまちランキング2024」を発表しました。


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