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スタッフの小論文で振り返る社内勉強会③|ポケマル大学 #5 山崎・清水・中山

今年の1月から新しく始まった一次産業に関する社内勉強会「ポケマル大学」ですが、さまざまな講師・ゲストをお迎えしながら6月までに全10回を終えました。そして、その学びを振り返るため、期末試験として小論文をスタッフに書いてもらいました。

今回は、その小論文を4回にわたって紹介していくコーナーの3回目です!ポケマル大学でスタッフがどんなことを学び、考えたのかを振り返りたいと思います。

全10回の講義の内容と小論文を紹介した前回までのnoteはこちらから

点と点と線とポケマル|山崎梨紗@経営管理

プロフィール写真_山崎梨紗

「えっこんなこと学校の授業で習ったっけ・・?」

というのが今回、社内で『ポケマル大学』という一次生産についての研修を受講して毎回思った感想でした。

政府米とヤミ米という、何とも終戦直後の雰囲気を持つ名前のお米が、つい最近まであったことをみなさんご存知ですか?
食糧庁があったことは覚えてますか?
お魚が獲れてから、どれだけの数の流通を挟んで食卓に来ているかご存知ですか?
日本で売っている木のおもちゃの自給率が数%しかないってことは?

私は、恥ずかしながら日本の一次産業についてほぼ何も知りませんでした。
普通の家庭に育って普通の幼稚園と義務教育を終えて(何なら両親は教師でした)、高校と大学を出て社会人になって30歳を越えた。
そんな普通にいいオトナである私が、一次生産について何も知らない。
はたしてこれは、たまたまなのでしょうか?

『ポケマル大学』は、農業、漁業、林業について歴史、現在、課題を学ぶお勉強の会とそれぞれの分野の生産者さんにゲスト講師に来ていただいて実際のお話を聴く会とで、バランスよく構成されていました。
そして弊社の誇る農経ガールズたちが研修の企画、準備、当日の案内役まで勤めてくれたのですが、本当によく知ってるんだな、学んでるんだな・・と尊敬の気持ちを抱く一方で、「そうか・・日本では農業系に進学した人たちしか一次産業について詳しく知らないんだな・・」ともやもやした気持ちを抱いていました。
「もしかして故意に隠されてたのかな?」と邪念が湧くくらいに。

遡れば幼稚園や小学校低学年で、トマトやじゃがいもを育てて収穫する体験をしたように思います(今は娘が同じ道を辿っています)。
小学校中学年くらいでは稲作体験。高学年になると自分たちで栽培した野菜での調理実習。
でも、それが何になったんだろう・・・?

思うに人間というのは、ある行動や現象を一度「点として」体験したくらいでは記憶に残らないんですよね。
記憶に残るのは、以前体験したある「点」が、他の行動を体験した時の「点」とつながって「線」となったときです。
一度トマトを育てたくらいでは「わーよかったね!」という薄い記憶が「点」として残るくらいで、そのあと食卓に出てきたトマトとは、そのままでは結びつかない。
いわば両者は「点」と「点」のままです。

私はポケットマルシェに所属する人間なのであえて産直ECでの購買に当てはめて考えると、
一度、EC上で売っているトマトを買ったくらいじゃ「わーおいしいね!」で終わってしまい、その後記憶には残らないんですよね。
たとえそこに生産者の情報が載っていても、それは大規模スーパーで売っている【顔の見える野菜】シリーズで、パッケージに●●さんと書かれている野菜を買う時と同じ感じ。
買うときにチラリとは確認しますけど、そこには何の感情も生まれないんです。
そこから何か、プラスアルファがないと。点を線につなげるような経験がないと。

私は、子ども(学生)時代においてそれは教育だと考えます。
たとえば授業で稲作体験をします。そうしたらそれと組み合わせて日本のお米の歴史をしっかり教える。お米農家さんを呼んで話を聴く(できれば規模やタイプが違う人を複数)、また生産現場訪問をする。
興味がない子もいるかもしれません。でも、興味を持つ子もいるかもしれません。
「こんなに手がかかったのに、これだけしか収穫できないの・・?」という松阪桃李くんの自給自足CMがありますが、あれを体験するイメージですね。

または、社会科では日本の漁業の歴史、現場の様子、流通をしっかり教えるのも良いと思います。
日本と他の国々の資源についての考え方、法律、認証。
どんな方々が実際漁に出ていて、どんな作業を行っているのか。また、どんな流通システムで食卓にやってきているのか。
興味がない子もいるかもしれません。でも、興味を持つ子もいるかもしれません。(二回目)


そんな授業がある学校に通いたかった!いや今からでも娘を通わせたい!!
自分が食べているものの成り立ちも知らずに、知る必要もないから、と思うような人間にはなってほしくない・・・。
※実はそのような授業を受けていて私が完全に忘れているだけかもしれません・・いやそれは私が悪いんですけどそれならそれでできればもっと記憶に残る教育をしてほしかっ・・(ごにょごにょ)

子ども(学生)の頃にそういった一次生産についての教育を受けないで、その人にとっての食べものといえば毎日スーパーに行けばあるもの、またはただ食卓に座っていれば出てくるものという状態で
一次生産の担い手不足って、そりゃ当たり前じゃないですか?
一次生産への無関心、食への無関心って、そりゃ当たり前じゃないですか?
テレビのニュースで、台風のせいで生産現場が被害にあったのを見ても「かわいそうだねー」としか思わずに、次の瞬間には忘れてしまうような人間になってしまいますよ。
SDGsだESGだ言われても、自分の生活は何も変えない人間になってしまいますよ。

今からポケットマルシェができることは、もう子ども時代を終えてしまった人たちに改めて「食への興味・関心」のきっかけを提供すること、
そして今の子どもたちには、「食への興味・関心」を今のうちから呼び起こすような体験を提供すること。

ポケマルは、パッと見は楽しい顔をしたハードコアな事業です。
美味しいものあるよ〜旬のものめずらしいものあるよ〜と歌いながら
それを耳にして「面白そう!」と入ってくれた方を沼に落とす奥の深さを備えています。

アプリで気軽に野菜や果物、お魚やお米を買ったお客さんの中には、その生産者さんとどんどん仲良くなって、生産現場まで遊びに行ってしまう方も数多くいらっしゃいます。
ポケマルは、すっかり冬眠してしまっていた「食への興味・関心」を呼び起こし、それをきっかけに個と個をつなぐ事業でもあるのです。
「一度購入した」という点を点で終わらせず、線まで持っていける機能を備えているのです。

今回の『ポケマル大学』を、湧き上がるもやもやと共に受講した私は、このもやもや燻っている思いをパワーに変えて、日々の自分の役割をがんばろうと思います。
そして自分の生活では、家族と一緒にイチから一次産業のことを積極的に学んでいこう・体験していこうと思います。

それが、私自身の(一次産業のことを知らずに)失われた30数年を供養するために必要なことだから。
そして娘含め、次の世代に日本の一次産業のことをしっかり伝えていきたいから。

そんなところで、ポケマル大学期末試験の小論文を結びたいと思います。合格しますように!

流通におけるポケマルの役割|清水祐希@開発

プロフィール写真_清水

ポケマル大学の中で、農業や漁業などの一次産業における流通を学ぶことができた。既存の農協や漁協などの組合の役割や流通の流れがある中でポケマルの役割として何を果たしていくべきなのかを考えさせられた。今回は特に農業の流通に関して、ポケマルができることは何かを考えた。

 既存の流通は農家の方が組合に納品することが大半を占めている。特に自身から発信をしていない限り、農家の方が生産品を作っていく中でやり取りが組合としかないことになる。それでは、農家の方は組合が持つ情報しか手に入れられないことになり、情報が伝達されにくくなってしまう。インターネットが発達している現代では、情報を直接ネットから取得することもできるが、情報の取捨選択が難しく農家の方が情報を取得する難易度が高いように考える。

 ポケマルでは生産者と消費者が繋がり、直接会話をすることにより良い関係を作っていくことができる。生産者が直接聞く消費者の声を、次の生産品を考える際の方針にすることも可能なのではないかと考える。
 また、ポケマル上での売買によってデータが蓄積されていることもあり、ただの販売プラットフォームとして利用してもらうのではなく、生産者に情報を提供するプラットフォームとしての役割を担うことが可能ではないか。

 ポケマルを利用することで得られる付加価値をより提供できるよう精進します。

「社会の答えになる」とは一体なんなのか。ポケマル大学から問うてみる。|中山拓哉@生産者CS

プロフィール写真_中山拓哉

先日の全体会議でポケットマルシェの行動指針が発表された。その指針の一つが「社会の答えになる」というものだ。その指針を体現する一つの取り組みがまさにこの社内勉強会だったのではないかと思っている。

「複雑なものを複雑なまま捉える」ことを一つの柱に据えたポケマル大学は、日々の業務に集中しすぎて視野が狭まりがちな私に俯瞰的な視点を持たせてくれるよい機会となった(多分他のみんなも同じように思っていると思う)。

参加をしながら一貫して感じたことは、一次産業の問題を二項対立で考えがちであるという点だ。

典型的な例をあげるとするならば「市場流通」と「産直(市場外)流通」。メディアなどでは「市場流通を駆逐する産直流通」とか「JA vs 産直EC」といったように対比で論じられることがあるし、我々もつい「どちらが良いのか」という視点で論じがちだが、それは全く以て正しくはない。

多分、いやきっと、どちらか白黒付けられるものではないのだ。ここについてはいくつかの視点から論じることができそうだ。

まず1点目に、流通の目的をどこに置くかで答えが異なるからだ。例えば「出荷量を捌く」ことや「効率的な物流を行う」ことが主たる目的だと、(一般的に)市場流通の方に軍配が上がる。逆に「生産者が自らのこだわりを最終消費者まで届ける」とか「販売価格の安定性」ということが主たる目的であるとするならば(消費者への直販をメインとする)産直流通のほうがきっと理にかなっているだろう。

2点目に、そもそも2つの流通は「右か左かしか道がないときにどちらを選ぶか」的な究極の二択ではない(つまりそもそも2つの概念が対立していない)という点だ。市場出荷をしながら、産直出荷を行ってもなんら問題ないし、寧ろ多くの生産者がそのような出荷形態を取り始めているのではないか。

ではなぜ、人は二項対立的に物事を論ずるのか。それは(多分)ものごとを簡単にしたいという考えが働くからだ。対立させて物事を考えれば、他方を言い負かせば他方が生き残る。それだけなので実に簡単だ。

特に一次産業のように他産業に比べると長年にわたり大きな変化が生じなかった産業だったからこそ、ここ数十年の間に一気に流通形態や生産方法が大きく変化してきたからこそ、そのように論じられたのかもしれない。

流通の二項対立以外にも、二項対立的議論は他にもある。
「生産者」と「消費者」、「農薬」と「無農薬」、「都市」と「地方」などなど挙げるとキリがない。

私たちは、それらのどちらが良いのかを問い続ける無意味で空虚な時間を捨て去るべきだ。ということをポケマル大学でお話しいただいた様々な講師の皆さんから教わった気がする。少なくとも、野呂さんや黒瀬さん、久松さんはそんな目線で一次産業を見ていなかった。

今後もポケマルメンバーは全員、目先のやるべきことだけに目を奪われることなく、俯瞰的に物事を考え部分最適ではなく全体最適とは何かを問い続けたい。

最後に、企画をしてくれた凜ちゃん、華果ちゃん、ポケマル大学を企画運営してくれてありがとうございました。

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ポケマル大学とは?という方は、こちらをぜひご覧ください。


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