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スタッフの小論文で振り返る社内勉強会①|ポケマル大学 #3 瀬戸本・生田

今年の1月から新しく始まった一次産業に関する社内勉強会「ポケマル大学」ですが、さまざまな講師・ゲストをお迎えしながら6月までに全10回を終えました。そして、その学びを振り返るため、参加したポケマルメンバーに期末試験として小論文を書いてもらいました。

これからnoteで4回にわたって、その小論文を紹介しながら、ポケマル大学で私たちがどんなことを学び、考えたのかを振り返りたいと思います。

ポケマル大学とは?という方は、こちらをぜひご覧ください。

ポケマル大学の講義の内容は?

小論文を紹介する前に、10回の講義でどんなことを学んだのかを簡単に振り返ります。

ポケマル大学は、大学で農業経済を専攻している/していたスタッフの石川凜と私、岸本華果が企画・運営し、茨城県で有機農業を営む久松達央さんと青森県で水産業に携わる野呂英樹さんのお二人(ポケマルの登録生産者さんでもあります!)に講師をお願いしていました。石川と岸本が統計や資料を用いて概論的な話をする回と、講師・ゲストをお招きして現場のリアルな話を聞く回を設けて、マクロとミクロの両方の視点から一次産業について学びました。業務外ではありましたが、有志でたくさん集まり、みんなであれこれと議論をしました。

■第1回 一次産業概論(石川・岸本)
一次産業の産出額や従事者数などの統計や、政策の方針から一次産業全体を俯瞰しました。

■第2回 農業記者が見る産直EC(講師:久松達央さん、ゲスト:吉田忠則さん)
日経新聞記者の吉田忠則さんをお招きし、講師の久松さんのファシリテーションのもと、ポケマルを含む産直ECをどのように見ていらっしゃるかを伺いました。

#2吉田さん3

■第3回 漁業生産(石川・岸本)
日本漁業の歴史や資源管理、漁協について学びました。

■第4回 漁業生産(講師:野呂英樹さん)
迫力ある写真や動画を見せていただきながら、実際の漁の様子についてお話を伺いました。

#4野呂さん

■第5回 漁業流通(石川・岸本)
水産物の流通経路や価格構造、消費の動向やエコラベルについて学びました。

■第6回 漁業流通(講師:野呂英樹さん)
水産物の流通業者や、モノとお金の流れ、漁協の役割などについて、リアルなお話を聞かせていただきました。

■第7回 農業生産・流通(講師:久松達央さん、ゲスト:黒瀬友基さん)
秋田県大潟村のお米農家であり、自前で直販をされている黒瀬友基さんをお招きしました。講師の久松さんのファシリテーションのもと、自前でされている直販の仕組みや、会員との関係性構築の工夫、産直ECに期待すること・課題だと思うことなどについてお話を伺いました。

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■第8回 農業生産(石川・岸本)
お米を中心に、日本の農業・農政の歴史について学びました。

■第9回 農業流通(石川・岸本)
市場流通と農協について学びました。

■第10回 林業(講師:久松達央さん、ゲスト:青木亮輔さん)
東京都檜原村で林業を営む東京チェンソーズの青木亮輔さんをお招きし、講師の久松さんのファシリテーションのもと、林業の生産・流通・販売についてお話を伺いました。

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以上が全10回の講義内容でした。ここからは、スタッフの小論文を紹介していきます。

知っているのに理解できていなかったことの衝撃| 瀬戸本美里@データ

プロフィール写真_瀬戸本

ポケマル大学を開催していただきありがとうございました。
すべて受講することはできなかったのですが、参加し、話を聞かせてもらう中で、なぜ知らないんだろうと思うことが非常に多かったたため、その気持ちをまとめました。

産業構造の高度化が進んでいる日本では、第一次産業の割合が減少していること、小売業界の発展や貿易摩擦の影響のこと、食料の自給率はどれくらいかということは、ポケマル大学に参加する前から学校の授業を通じて知っていたはずでした。
ところが、いざポケマル大学に参加してみると、別に今までの人生で学業をさぼったわけではないのですが、それにしても知らないことが多く衝撃的でした。

経済的、政治的に起きたことを知っているレベルで、そこにかかわる人たちの生活や人レベルの影響まはわかっていなかったのだと理解しました。
消費者目線にはなってしまいますが、スーパーは消費者には便利な反面、規格内の食品が求められ、規格外食品の廃棄につながり得ること、収穫してから消費者が購入するまでの流通の流れがここまで複雑であることを知りました。
バケツで稲を作る授業を経験していても、実際に水田で稲を育てるのが天候・自然災害の影響を受けてどれだけ大変なのか理解できていませんでしたなるべく国産の食品を買おうとしていても、ラベルにある魚介類の産地は船舶の国籍で決まっている(※領海外の場合)ことは知らず、また、船で漁に出ることは想像しているよりも危険であることも想像しきれていませんでした。

他にも気づきがありましたが、共通して気づいたことは、子供のころからスーパーが身近で、大体同じ大きさの食品・予算内の金額の食品を買うことが当たり前だった自分は、学校の授業で知ったくらいでは一次産業について理解ができていなかったということです。

しかし、今回のポケマル大学を通じて、理解できていないことが多くあると知ることができました。ポケマル大学の内容に関することや、もやもやを感じたことを、気になってさらに調べていくという行動が、「知ること」によってできるようになってきたと思います。知ることは、考えて行動することにつながる筈なので、一歩前進できたのではないかと思います。

世の中には自分と同じように、起こったことやその影響を知識として知っているが、実際のところどうなのかを理解しきれていない人がたくさんいそうだなと思っています。
これだけ簡単に情報が取得できる社会になったのに知らないことがあるのは、教育に責任があるとかスーパーに問題があるとかそういう話ではなく、自身を振り返ってみると、食べることに興味がないから、きっかけがないというのが一つの理由だと思うのです。
私がそうだったように、何かしらのきっかけがあれば、知識を得るだけではなく理解する人が増え、食を通して第一次産業について考える人も増えてくれるのではないかと思います。

ポケマルはそのきっかけのひとつになりえる筈なので、ライトに雑学紹介のような形で情報を提供していくなど、消費者側の好奇心を刺激するきっかけの提供ができないかと考えています。

「知る」ことで世界が広がり、社会が変わる|生田志帆@生産者CS

プロフィール写真_生田志帆

ポケマル大学の受講後は、いつも「知らないことが多すぎる」ということを強く強く感じ、もやもやすることが多かった。
もやもやの正体は色々あるのだろうけれど、きっと、そもそも自身が知らなかったこと、まだまだ知らないことがあること、そして、知らないがゆえに創りたい社会を創っていなかったことだと思った。

だからこそ、ポケマル大学を通じて、まず「知る」ということの入り口に立つことができて、そして、「知る」ことの可能性に気づくことができてよかった。

ポケマル大学では、マクロなことについて「知る」ことが多かったが、ポケマルのミッションである「個と個をつなぐ」ということも、消費者は生産者を、生産者は消費者を、また、生産者同士、消費者同士が繋がり、「知る」を重ねていくことだと思った。

同時に、例えば現在の農業の現状について、漁業の現状について、水産資源管理について、市場流通について、など、マクロのことも知っていくことで、ポケマルを通じて知った「個」の立場や境遇を知り、その「個」のうしろに広がる社会構造や社会全体に関心が向かうのではないか、自分が対峙する「個」から見える世界がより広がるのではないかとも思った。

社会全体に関心が向かうことで、ポケマルに関する購買行動だけではなくて、ポケマルに直接的には関わらない購買行動も変わるのではないだろうか。
ひとりひとりの、ひとつひとつの購買行動が変わっていくとが、社会が少しずつ変化していくことではないだろうか。
そうした社会は、ポケマルの「ポケマルらしさ」がより受け入れられて、より輝く社会のように思うし、自分が誰かに生かされていて、また、自分も誰かを生かしている喜びとしあわせに気づくことができる社会のように思う。

ポケマルでは日々、個と個のつながりが生まれている。
他者を「知る」ということが生まれている。
個と個のつながりに加えて、その個の背後に広がる社会全体にも目を向けたくなるような「知る」についても発信したり、そんな一緒に「知る」を深めていく仲間をつくるポケマルになっていきたいと思う。

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ポケマル大学とは?という方は、こちらをぜひご覧ください。


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