【3.11から、能登とつながる】ポケマルユーザーからの応援を胸に「今年の秋も能登栗を皆さんに届ける」—石川県穴水町・東井栗園さん
雨風太陽は、2011年3月11日に起こった東日本大震災をきっかけに生まれました。
東北3県を中心に多大な被害をもたらした天災は都市と地方の分断を浮き彫りにし、その大きな社会課題を解決するために私達は挑戦を続けています。
そして2024年1月1日、能登半島地震が発生。石川県能登地方を最大震度7の地震が襲いました。
高橋は発災直後に現地入りをし、当社はこの度の震災に対して炊き出し支援プロジェクト、そして応援商品・炊き出し応援チケットの販売を実施しました。
そして今年も、私達の原点である3月11日を迎えました。
今回は3月11日よりポケマル公式noteにて、当社代表の高橋と生産者が震災と復旧・復興を語る連載企画を開始します。復旧・復興に取り組む石川県の生産者の声と、炊き出し支援に駆けつけた生産者の声をご紹介し、被災地の現状、生産現場のリアルをお伝えしていきます。
これからも当社は「生産者と消費者」「つくるとたべる」「都市と地方」の分断をつなぎ、かきまぜ、その境目をなくすことで、地方の持続可能性に貢献していきます。
お話を伺ったのは、石川県穴水町・東井栗園さん
石川県穴水町で栗園を営む東井さんご家族。お正月の団欒の最中に地震が発生し、ご家族全員が無事ではあったものの、自宅の半分が津波の被害を受けました。今回応援商品の出品をしてくださったのは「ポケマルユーザーさんからの温かい声で、家族が少しでも前向きな気持ちになれたら」という思いからでした。
いつも通りのお正月が一変。津波で自宅は大規模半壊に
帰省された息子さんご家族と、いつも通りのお正月を過ごすはずだった1月1日。東井さんは自宅で大きな揺れを感じました。
ご家族は標高の高い場所にある栗園へと避難。海に釣りに出かけていたという三男の克仁（かつひと）さんとは連絡が取れず、ご家族は不安な時間を過ごしましたが、その日の夜にはご家族全員の無事を確認しました。
翌日自宅に帰ってみると、津波が来た痕跡がしっかりと残っていました。家の中は泥だらけ、海から流れてきたありとあらゆるものが散乱していました。
目の前が海の入江という東井さんの自宅は津波の被害を大きく受け、現在も水回りを中心に使用できない状態です。被害を免れたエリアでなんとか生活を送り、お風呂や食事のために避難所へ行くことも多くなっています。
東井さんに今一番不安に思っていることを伺うと「生活をする場所のこと、家のこと」とお話ししてくれました。
家の半分にあたる部分が津波の被害を受けてしまい、大規模半壊の状態に。代々受け継がれてきたという自宅は、古い部分は築100年ほど。慣れ親しんだ我が家は、今後建て替えをする方向で進んでいます。仮設住宅の申し込みはしてはいるものの、いつ完成するのか、入居できるのかはわからない状況です。
応援商品を通してユーザーから届いたのは、たくさんの温かいメッセージ
今回、東井栗園さんはポケマル上で応援商品を出品。ポケマルユーザーは本商品の購入を通して、金銭面で生産者さんを応援することができます。東井さんは家族の精神的なケアに繋がればという思いから、出品を決めてくださったそう。
「1月4日に応援商品を始めますっていうご案内をいただいたと思います。それを拝見してぜひ参加したいと思ってカスタマーサポートの方にご連絡をさせていただきました。
金銭的な支援っていうのはもちろんありましたが、一番は精神的な部分が大きくて。ポケマルは普段からお客さんとの距離が近くて、これまでに温かいコメントをたくさんいただいています。そういう温度感を持ったお客さんの声が届いたら、家族が少しでも前を向けるんじゃないかなって思いました」
最終的には600件を超える購入があり、ユーザーの方々からは「ご家族様、お身体にお気をつけて下さい。落ち着いてから、こちらの栗を買える日が来ることを祈っています」「一時的な応援ではなく、応援こそ継続していければと考えています」「何もできませんが、一日でも早く笑顔で暮らす日常が来ますように祈ってます」等、心のこもったメッセージが多数寄せられました。
「こちらの身体も心もすごく気遣ってくれたのがすごく身に染みて、すごく温かい気持ちになりました」とお話ししてくれた東井さん。毎年栗園に足を運んでくれるお客さんがSNSを見て、ポケマルから応援商品を購入してくれたことも印象的だったと言います。集まった寄付はEC販売の強化のために真空パック機、氷温庫といった機材の購入などに利用する予定だそう。
東井さんは「震災発生から2ヶ月以上が経つ今も、地震が起こったのがつい昨日のような感じで、地域の方々もみんな心の整理がついていない感じ」と言います。これまで通りの生活を送ることがままならない状況の中でも、遅れが出ていた栗の剪定作業をスタートさせました。
ポケマルの投稿ページには東井さんの現在の心境、ご支援いただいた皆さんへの感謝の思いが綴られています。
この度は本当にたくさんの方々からのお気持ち、それから心温まるお言葉、家族一同感謝申し上げます。
またメッセージやコミュニティ投稿へのお返事ができておりませんことご容赦ください。
私たちの避難生活も多くの方のご支援、お力添えにより少し落ち着いてまいりました。
幸いにも当栗園の被害はほとんどなく、栗の木はいつも通り、むしろ清々しく沢山の新芽が空に向かって力強く伸びています。
これだけの地震のなかでこれほど翻弄させられているのはきっと人間だけで、いかに化弱く、また壮大なエネルギーをもった地球自然のなかで生かされていることを実感しています。
幸いにも私たちが住む穴水町は、珠洲市や輪島市程ではありませんでした。より深刻な輪島市や珠洲市の栗農家でもう諦めざるを得ない方もいると聞きました。頑張りたくても頑張れない状況になってしまった。
大変ありがたいことに私たちは栗のお世話ができる。その喜びを感じながら今日も剪定作業をしてきました。
皆様からのお気持ち、お言葉に家族一同たくさんの勇気と活力を頂いております。だから今年の秋も必ず能登栗を皆さんへお届けする！それが私たちにできる恩返しだと思っております。
能登の復興には長い時間が必要となります。
今は道路も家もインフラも、すべてがぐちゃぐちゃです。
ですがまたあの素朴で自然豊かな能登の景色を、見られる日を夢見て。
“能登は優しや土までも”
皆さんが安心して能登へ、そして東井栗園で栗拾いができる日を、能登栗をお届けできる日を、心待ちにしています。
またこちらで状況などご報告させて頂けますと幸いです。
この度は沢山の方からの応援、お気持ち本当にありがとうございました。
東井栗園スタッフ一同
ユーザーさんから届いたエールの1つ1つが、東井さんご家族のところにちゃんと届いています。収穫の秋、東井さんの栗園でたくましく育った栗が皆さんのもとに届くことを、心から祈っています。
（取材・執筆：PR 西宮）
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