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大切なものは足元にある。「ちいきのあるものさがし」をする—伊豆沼農産・佐藤裕美さん

「あの震災で都会の脆さに気付き、改めて食の重要性を実感した」

地域食材を使って、地域資源を活かし、地域の人々と共に。その思いに共感し、第一次産業の世界に足を踏み入れた佐藤裕美さん。東北・宮城県から都市と地方を繋ぐべく、活動されています。

第一次産業の世界に。3.11をきっかけに東北へ

大学卒業後は東京都内の企業に就職し、都心で生活をしていた佐藤さん。
生まれ育った故郷でもある東北に帰ることを決意したきっかけは、2011年3月11日に起きた東日本大震災でした。

震災当時、スーパーから食料が消え、食べ物が手に入らない状況を経験し、華やかで豊かに見える都市部の脆弱性を実感したと言います。このことから生き方を見直すことを決意し、宮城県登米市の伊豆沼農産に転職をしました。学生時代に地域資源を活かしたグリーンツーリズム、エコツーリズムを学んだ経験も、この選択に繋がったと言います。

養豚は伊豆沼農産のメイン事業の1つ

コロナ禍では手作りキットが大人気に。現在は体験プログラムにも注力

佐藤さんの働く伊豆沼農産では、1988年の創業以来「農業を食業に変える」をコンセプトに、農業生産、自社工場での加工業、レストランや直売所での販売業など、農業や畜産といった一次産業を主体に、様々な事業を展開されています。
コロナ禍で生まれた「手作りウインナーキット」は大手旅行雑誌のお取り寄せしてみたいランキング調査で全国1位に。看板商品の1つでもあるウインナーを使って、外出も儘ならず閉塞感を感じていた人々のニーズにこたえる手作りキットは多くの反響を呼びました。

おうちでご当地体験ができる「手づくりウインナーキット」

近年は体験プログラムの提供にも注力し、自社保有の田んぼでの米作りや生物調査、農園での収穫体験、地域の食材を使った料理体験教室などの運営もおこなっています。

ポケマルチャレンジャーアワード2023では最優秀賞に

社会課題の解決に挑戦する生産者を表彰する「ポケマルチャレンジャーアワード」。伊豆沼農産は消費者との交流を生むための取り組みが評価され、今年度の自由テーマ最優秀賞に輝きました。

6月に行われた「ポケマルチャレンジャーアワード2023」の表彰式

6月に開催された弊社主催の「都市と地方の未来会議」ではポケマルチャレンジャーアワードの表彰式を行い、受賞した生産者の方々に取り組みの内容や、思いをお話いただきました。

佐藤さんにもご登壇いただきました

そのステージで佐藤さんは、こんなお話をしてくれました。

これからの私達の生き方、地域の有り様は、実は足元にあるんじゃないかと考えている

伊豆沼農産では"ちいきのあるものさがし"と称して、地元に住むご高齢の方々の暮らしや技を記録し、これを活かした体験プログラムを提供しています。これは地域の高齢者の経験や知恵こそが、都会と地方を繋ぐ鍵であるという思いから。
地域資源を活かし、伝統文化を伝えられるようなプログラムは、都市と地方を繋ぎ、お互いを理解し合うための最初の1歩となり得ます。

そして最終的に目指しているのが、農村の産業化。農村自体を産業化させ、自立できるようなビジネスモデルを作ることが目標だそう。
今後は空き家を活用した宿泊施設の整備を行い、宿泊と既存のプログラムを組み合わせた”生産者に一番近い農泊体験”も開始する予定です。

自分たちがすでに持っているもの、地域にずっと前からあるもの、その価値を理解していることこそが伊豆沼農産の強みではないでしょうか。
「私達の力だけでは限界がある。ぜひ都市部に住む方々にも力を貸していただきたい」とおっしゃっていた佐藤さん。地方を盛り上げていきたいというその思いを、私達もずっと応援していきます。

(執筆:PR 西宮)


▼関連リンク
生産者ページ:佐藤裕美 | 有限会社伊豆沼農産


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