【スクラップノート】何時からイベントCGはスチルと呼ばれるようになったの?
tl dr; わからないけど、おそらく、最初から。
インターネッツをいつものように放浪していたら、ちょっと前に少し気になるお話があった。曰く、以下のような話である。
確かに、私の中でも、一枚絵のことは、「イベントCG」、あるいはその略称としての「CG」という呼称が先にあり、スチルという言葉は外来語の感覚がある。
ということで、軽く調べてみると、以下のような記事に遭遇した。
まぁ、だいたい感じていたり知っていたりした方は感じていたり知っていたと思うし、元々の疑問文もここらの話があるのですが、『スチル』との表現は乙女ゲー・BLゲーからここらは輸入されたようで。
Note内でも、例えば古き良きヲタクのpeetaroさんとかは、今でもイベントCGって言葉を使われていますが、新しき悪しヲタクのにゃるらはスチル呼びです。
エロゲメーカーだと、例えばニトロプラスは「続・殺戮のジャンゴ」ビジュアルファンブックで『全スチル&原画』との表現を使っている一方、老舗アリスソフトはBlogで一度足りともスチル表現を使ってなかったり。
よりマクロな話はどうかな~、とGoogle Trendを見てみたら、こんな感じに。
もちろん、スチルは映画のスチルフォトや、ブロマイドのスチル写真なども含むので、よりヒット件数が多いのは当たり前とはいえ、増加率と減少率はトレンドとして、見る価値はあり。
少なくとも、イベントCGの表現の衰退は確かなようです。
元の考察や昨今の人々ならわかっていると思いますが、最早イベントCGは両儀式でも殺せないものになってしまったようで、昨今のヴィジュアルノベルやソシャゲの一枚絵(そういやこの表現は『イラスト』に取り込まれず、未だに一部ギリギリ生きてますね。コーンウォール語に対するゲーリック語くらいの生存率ですが)は、イベントスチル、もしくはスチル呼ばわりが大半です。
最早、イベントCGなんて言葉を使うのは、古のヲタクくんくらいなのでしょうね、どぅふふ(古のヲタクの鳴き声
さて、ここまでが、ベースラインの話。知っていることを知っているよね、知っていることは正しいよね、と確かめる行為。
では、と興味は一方の乙女ゲーの文化に移って。
「じゃあ一枚目は、そちらの文脈で何時から『スチル』と呼ばれたの?」
とりあえず、こういうのは、古いところから始めて、徐々に言葉が見つかるまで下るのが遠回りな近道なので、
乙女ゲームの始祖、といえば、やはり、初代『アンジェリーク』。こちらをとりあえず調べてみます。
私が知ってる中で、生存している一番古いアンジェリークを扱っているサイト、Ever Greenさんのアンジェリーク攻略記事を除いてみると……
…既に『スチル』の用語の使用がありますね。Ever Greenさんはサイトトップを見る限り、since.2003.11.28なので、おそらく、2004-5年頃には既にスチルの表現が使われていたそうで……いや、これだいぶ前から使われてるやつじゃん。
とりあえず、2003年でこれなら、2002年は?と、2002年発売のGBA版アンジェリークの記述を見てみると……
えっ!?本当にこんな古くからあるの?と、なり、更に遡り、とりあえず見つけられるメディアを漁っていく。すると、1999年出版の、【アンジェリーク天空の鎮魂歌メモリアルブック】にも…
99年でこれということは、だいぶ古そうな表現です。
ただ、最初から自称していたというわけではなく、SFCのゲームの説明書をアーカイブされている『げーむのせつめいしょ』の初代アンジェリークの説明書には、スチルの言葉は出てきません。(一番近くて、『イラスト/由羅カイリ』のイラスト表現)
決定的なことは言えないっぽいが、おそらく95年のアンジェリーク発売から、99年のアンジェリーク天空の鎮魂歌メモリアルブック発売の四年間の間にスチル表現は乙女ゲーム界隈にて一般化したようで。一応、この間にはアンジェリークSpecial、アンジェリークヴォイスファンタジーとアンジェリークデュエットがあるものの、前二作移植で、デュエットは98年と、メモリアルブックとそう変わらず、あまり絞り込みに貢献はしないかな、と。
一方で、こちらのノベルゲーム全体での入れ替わりは、ノイズが激しいとはいえ、2009/2010年頃より入れ替わり始めたと考えられる。
藁→笑→w→草の言語変化と異なり、スチルとイベントCGは十年から二十年ほど共存していた。
コミケのジャンルコード的には、人気ジャンルは東方、ヘタリアと、あまり強い結びつきはなさそうな一方、関係ありそうなソシャゲ系の興亡は早くても2010年代中盤(例えば、FGOなどは2015年7月30日)なので特定作品の広まりと共に爆発的に広まった、という形ではなさそう。
おそらく、一番ありえそうな仮説は、2010年代のギャルゲー・エロゲームーブメントの衰退と時同じくして、『イベントCG』という用語は死滅して行った一方、乙女ゲーム文化については、そのような衰退を受けたなかった為(個人的にはPS→PS2→PSP→PSVITA時代の乙女ゲームの一つの最盛期ともいうべき文化については何時か書きたいと考えている)、用語が使用され続けた。そして、2010年代後半に、ソシャゲが一枚絵のイラストをかつてのノベルゲームのように収録するようになった時、生き残った言語が広まった、という形かな、と。
そんな感じの研究ノート。強固な結論ではなく、そこそこの裏付けがある仮説程度みたいに。
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