痛い音楽好きなので毎年「年間ベスト」を作ってしまう話

自分の記録として残しておきたい「年間ベスト」

いまだに本屋に行って雑誌を立ち読みしては定期的に買っているという私。小説とか文庫本は一切買わないのに雑誌は全然買っちゃう。もう脳みそがそういうタイプの人なんだと思っている。

そんな人間なんで、音楽雑誌や音楽メディアが出しているあまたの「年間ベスト」的なものがすごい好きでして。
あれも結局「本屋大賞」とか「芥川賞」「直木賞」の類と同じで、普段音楽聴いてない人間に対して「今年はこれが良かったですよ」と紹介するようなもんだと思ってるんですが、
（だとしたらレコ大とかグラミー賞とか音楽系アワードを引き合いに出すべきかもしれんが）
特に最近は「関ジャム」みたいな番組でも「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」とかやってるから、自分なりにも出してみたくなるじゃないですか。

そういうことやってるヤツは「痛い音楽好き」認定されがちなんですけど(笑)、1年で区切って出してみるのは記録として面白いと思うんですよね。
実際「ネットの音楽オタクが選んだ●●年のマイベスト」なんていうのを毎年律儀に集計して出してくれてる人がいて、これがなかなか興味深いんですよ。
特に邦楽に関しては、この手の“クリティック”には上がってこないようなバンド、アーティストが結構普通に入ってくるし、評論家やライター史観では見えないユーザーのリアルが見えてくる。
（まあ「音楽オタク」ではなくていかにも「音楽好きなオタク」が選びそうなものも多いんだけど）

自分の「年間ベスト」を（自戒を込めて）振り返ってみる

で、自分がいつからそういうの出してたかって振り返ってみると、かつてやってたブログに書き始めた2000年代後半っぽい。
（ちゃんと記事書いて上げてた痕跡はTwitterに残ってるけど、リンク先のブログが消し飛んだ今となっては確認できないのが悲しい）
とは言え当時は学生だから金もないし、新譜もタワレコやらHMVやらの試聴機荒らして聴きまくってたような感じだったから、
そもそものサンプルが少ない少ない…。そんなレベルでよく恥ずかしげもなく出してたなとゾッとしてしまう。

試しにTwitterで過去に挙げてる年間ベスト探してみたらこんな感じだった。一応各部門(笑)1位の作品に収録されている曲の動画も併せて。

■2015年

●邦楽
①cero『Obscure Ride』
②PIZZICATO ONE『わたくしの二十世紀』
③VIDEOTAPE MUSIC『世界各国の夜』
④SAKEROCK『SAYONARA』
⑤RM Jazz Legacy『RM Jazz Legacy』
⑥北園みなみ『Never Let Me Go』
⑦lyrical school『SPOT』
⑧5lack『夢から覚め。』
⑨清竜人25『Propose』
⑩SHISHAMO『SHISHAMO2』

●洋楽
①Alabama Shakes『Sound & Color』
②D'Angero & the Vanguard『Black Messiah』
③Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』
④Sufjan Stevens『Carrie & Lowell』
⑤Ryan Adams『1989』
⑥Joanna Newsom『Diver』
⑦ Keith Richards『Crosseyed Heart』
⑧Jon Spencer Blues Explosion 『Freedom Tower～No Wave Dance Party 2015～』
⑨ Godspeed You! Black Emperor『Asunder, Sweet and Other Distress』
⑩ Aphex Twin『Computer Controlled Acorstic Instruments pt2 EP』

■2016年

●邦楽（ロック）
①坂本慎太郎『できれば愛を』
②岡村靖幸『幸福』
③METAFIVE『META』
④bonobos『23区』
⑤UA『JaPo』
⑥サニーデイサービス『Dance to you』
⑦OGRE YOU ASSHOLE『ハンドルを放す前に』
⑧Predawn『Absence』
⑨青葉市子『マホロボシヤ』
⑩Pictured Resort『All Vacation Song』
次点：BUCK-TICK『アトム未来派No.9』

●邦楽（ポップ、その他）
①大瀧詠一『DEBUT AGAIN』
②宇多田ヒカル『Fantome』
③Negicco『ティー・フォー・スリー』
④aiko『May Dream』
⑤Tweedees『The Second Time Around』
⑥CRAZY KEN BAND『HONG KONG TAXIー香港的士ー』
⑦水曜日のカンパネラ『UMA』
⑧古内東子『Toko Furuuchi with 10Legend』
⑨lyrical school『Guidebook』
⑩BABYMETAL『METAL RESISTANCE』
次点：鷺巣詩郎『シン・ゴジラ 音楽集』

●洋楽
①The Rolling Stones『Blue & Lonesome』
②David Bowie『★』
③Bon Iver『22, A Million』
④A Tribe Called Quest『We Got It From Here… Thank You 4 Your Service』
⑤Last Shadow Puppets『Everything You're Come To Expect』
⑥Frank Ocean『Bounce』
⑦James Blake『The Colour In Anything』
⑧Wilco『Schmilco』
⑨The Loch Ness Mouse『S.T.』
⑩Robert Glasper『Artscience』
次点：Red Hot Chili Peppers『The Getaway』

■2017年

●邦楽
①CHAI『PINK』
②VIDEOTAPEMUSIC『ON THE AIR』
③PUMPEE『MODERN TIMES』
④D.A.N.『TEMPEST』
⑤Cornelius『Mellow Waves』
⑥bonobos『FOLK CITY FOLK.ep』
⑦小沢健二『流動体について』
⑧MONDO GROSSO『何度でも新しく生まれる』
⑨Nona Reeves『Mission』
⑩細野晴臣『Vu Ja De』
次点：野宮真貴『野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。〜Wonderful Summer〜』

●洋楽（※Twitterには記載がなかったので当時の記憶を頼りに）
①Kendrick Lamar『DAMN.』
②St. Vincent『Masseduction』
③Kamasi Washington『Harmony Of Difference』
④Thundercat『Drunk』
⑤Queens of the Stone Age『Villains』
⑥Dirty Projectors『Dirty Projectors』
⑦Real Estate『In Mind』
⑧The Horrors『V』
⑨BECK『Colors』
⑩Noel Gallagher's High Flying Birds『Who Built the Moon?』

■2018年

●邦楽（アルバム）
①KID FRESINO『ai qing』
②cero『POLY LIFE MULTI SOUL』
③ENDRECHERI『HYBRID FUNK』
④D.A.N.『Sonatine』
⑤折坂悠太『平成』
⑥mabanua『Blurred』
⑦GOMA & The Jungle Rhythm Section『STARTING OVER』
⑧小袋成彬『分離派の夏』
⑨核P-MODEL『回＝回』
⑩ブダモンク『Movin' Scent』
次点：V.A.『アダムとイヴの林檎』

●邦楽（シングル・EP）
①おとぼけビ～バ～『あなたわたし抱いたあとよめのめし』
②KICK THE CAN CREW『住所（Feat.岡村靖幸）』
③スカート『遠い春』
④Okada Takuro『The Beach EP』
⑤椎名林檎と宮本浩次『獣ゆく細道』
⑥米津玄師『Lemon』
⑦OGRE YOU ASSHOLE『動物的／人間的』
⑧柴田聡子『ワンコロメーター』
⑨The Birthday『The Answer』
⑩DA PUMP『USA』
次点：ミツメ『セダン』

●洋楽
①Tom Misch『Geography』
②Kamasi Washington『Heaven and Earth』
③Rhye『Blood』
④Arktic Monkeys『Tranquility Base Hotel & Casino』
⑤Gleta Van Fleet『Anthem of The Peaceful Army』
⑥Chris Dave & the Drumhedz『Chris Dave ＆ the Drumhedz』
⑦Paul McCartney『Egypt Station』
⑧Dirty Projectors『Lamp Lit Prose』
⑨Prince『Piano & A Microphone』
⑩Alfonzo『Alfonzo』（※再発）
別枠：Childish Gambino『This Is America』

■2019年

●邦楽（アルバム）
①大瀧詠一『NIAGARA CONCERT '83』
②KOHH『Untitled』
③ミツメ『Ghost』
④OGRE YOU ASSHOLE『新しい人』
⑤小沢健二『So Kakkoii 宇宙』
⑥Ovall『Ovall』
⑦スカート『トワイライト』
⑧カネコアヤノ『燦々』
⑨KODAMA AND DUB STATION BAND『かすかなきぼう』
⑩Shing02『246911』
次点：never young beach『STORY』

●邦楽（シングル・EP）
①田島ハルコ『￥70 Rings』
②折坂悠太『朝顔』
③君島大空『遠視のコントラルト』
④坂本慎太郎『小舟』
⑤Cornelius『サウナ好きすぎ』
⑥岡村靖幸さらにライムスター『マクガフィン』
⑦D.A.N.『AechemeaⅠ』
⑧Friday Night Plans, JJJ, STUTS『PRISM』
⑨おとぼけビ～バ～『呼ばんといて喪女』
⑩吉幾三『TSUGARU』

●洋楽
①Brittany Howard『Jamie』
②FKJ『Ylang Ylang EP』
③Billie Eirish『WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO？』
④Solange『When I Get Home』
⑤Lizzo『Cuz I Love You』
⑥Kim Gordon『No Home Record』
⑦James Blake『Assume From』
⑧Loyle Carner『Not Waving, But Drowing』
⑨Tash Sultana『Flow State』
⑩Foals『Everything Not Saved Will Be Lost - Pt.2』
番外：Beyonce『Homecoming：The Live Album』

■2020年

●邦楽（アルバム）
①Shohei Tagkagi Parallela Botanica『Triptych』
②GEZAN『狂』
③藤井風『HELP EVER HURT NEVER』
④Moment Joon『Passport & Garcon』
⑤岡田拓郎『Morning Sun』
⑥くるり『thaw』
⑦Pizzicato One『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』
⑧CRAZY KEN BAND『NOW』
⑨ナツ・サマー『HAYAMA NIGHTS』
⑩流線形／一十三十一『Talio』

●邦楽（シングル・EP）
①坂本慎太郎『ツバメの季節に／歴史をいじらないで』
②crystal-z『Sai no Kawara』
③KID FRESINO『No Sun』
④CHAI『Donuts Mind If I Do』
⑤赤い公園『オレンジ／pray』
⑥Shun Maruno『TOKYO ALARM feat.原島“ど真ん中”宙芳&GAPPER』
⑦電気グルーヴ『Set You Free』
⑧UA『北の宿から』
⑨VIDEOTAPEMUSIC『Spring Fever』
⑩Rainych『Say So（Japanese Version）』

●洋楽
①Tom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』
②Fleet Foxes『Shore』
③Mac Miller『Circles』
④Moses Sumney『græ』
⑤BLACKPINK『THE ALBUM』
⑥Jonsi『Shiver』
⑦The Flaming Rips『American Head』
⑧Vulfpeck『The Joy Of Music, The Job Of Real Estate』
⑨Nate Mercereau『Joy Techniques』
⑩Marcus King『El Dorado』

■2021年

●邦楽
①D.A.N.『NO MOON』
②ROTH BART BARON『無限のHAKU』
③折坂悠太『心理』
④arauchi yu『Sisei』
⑤東京事変『音楽』
⑥Buffalo Daughter『We Are The Times』
⑦ミツメ『Ⅳ』
⑧カネコアヤノ『よすが』
⑨KID FRESINO『20, Stop It.』
⑩GRAPEVINE『新しい果実』
次点：V.A.『What a Wonderful World with Original Love?』

●洋楽
①Adele『30』
②Hiatus Kaiyorte『Mood Valiant』
③Moses Somney『Live From Blackalachia』
④St.Vincent『Daddy's Home』
⑤Kings of Convenience『Peace Or Love』
⑥Prince『Welcome 2 America』
⑦Caetano Veloso『Meu Coco』
⑧Lil Nas X『MONTERO』
⑨Courtney Barnet『Things Take Time, Take Time』
⑩Billy Ilish『Happier Than Ever』
別枠：Brian Wilson『At My Piano』

■2022年

●邦楽
①佐野元春 & THE COYOTE BAND『今、何処』
②七尾旅人『Long Voyage』
③宇多田ヒカル『BADモード』
④坂本慎太郎『物語のように』
⑤幾何学模様『Kumoyo Island』
⑥羊文学『our hope』
⑦岡田拓郎『Betsu no Jikan』
⑧ドレスコーズ『戀愛大全』
⑨HAINO KEIJI & THE HARDY ROCKS『きみはぼくの めの「前」にいるのか すぐ「隣」にいるのか』
⑩おとぼけビ～バ～『Super Champon』

●洋楽
①FKJ『VINCENT』
②Kendric Lamar『Mr.Morale & The Big Stepper』
③The Fearless Flyers『The Fearless Flyers Ⅲ」
④Beyonce『RENAISSANCE』
⑤Arctic Monkeys『The Car』
⑥Tank and The Bangas『Red Balloon』
⑦Kibrom Birhane『Here and There』
⑧Jack White『Fear Of The Dawn』
⑨Mamas Gun『Cure The Jones』
⑩The Weekend『Dawn FM』

そんな感じ。途中イキって邦楽だけ『MUSIC MAGAZINE』みたいにジャンル分けてみたり、シングルとアルバム分けてみたりしてて我ながら「イタいな」と思いますが、
それだけ「ランキングに入れたい」と思うような良い作品が多かったってことなんだと思いたいです。

今思うと「なんでこんなん入れたんかな」と思うものも無いわけではないですが（きっとライブ見てよかったから音源を年間ベストに入れたいと思ったんでしょう）、
一方で2019年の洋楽編なんかは、今見ても驚くほど女性アーティストばかりの並びになっているのが面白い。
折からの「ポリコレ風」に吹かれたこともゼロではないけど(笑)、それほど2010年代終盤はロックバンドが元気なかったのかなと思ったり。

あとは邦楽における「一度いいと思ったアーティストは次回作でも入れがち」という自分の傾向が可視化されるのは結構恥ずい。
自分でも「名前で選んでないか？」と自問自答することは結構あって、それで弾いてるものもあるにはあるんですけど、
とにかく坂本慎太郎、OGRE YOU ASSHOLE、岡田拓郎、KID FRESINO、D.A.N.あたりは全部入れてるじゃんっていう(笑)。まあ好きだし全部良いからしゃあない。

ということで、ここまで長々と語ってきましたので、次回は2023年の個人的年間ベストについてつらつらと語っていきたいと思います。