国際ロボット展iREX2023の感想 Festo cobotについて
11月29日から12月2日まで行われた国際ロボット展に行ってきました。
印象としては産業用ロボットがほとんどの展示会になったなというところでした。一番の目的であったFesto cobotに触れることができたので個人的には大満足です。
Festo cobotについて
https://www.festo.com/jp/ja/e/festonituite/yan-jiu-kai-fa/festonoxie-dong-robotuto-id_1379474/
FestoとはドイツのFA(ファクトリーオートメーション)機器メーカーであり、エアシリンダーなどの空圧機器を製造販売をしている企業です。シェアはSMCに次いで世界第2位です。
そのFestoが開発したロボットアームがFesto cobotです。
Festo cobotの特徴は世界発の空気圧駆動協働ロボットアームです。
Festo cobotの技術的優位性
空気圧駆動の欠点として制御の難しさがあります。
電動のロボットアームでは繰り返し精度の誤差が悪くても0.1mm以下で動作させ続けることが可能です。ピッキングや組み立てなどの製造業でロボットアームを使用する場合繰り返し精度は不可欠です。Festo cobotの繰り返し誤差は数ミリ以下とのことで電動には及ばないものの十分な精度を達成しています。
空気圧駆動での高精度制御を達成した秘訣はピエゾバルブにあります。詳しくはFestoの製品ページに添付されているファイルを読んでいただければと思います。
制御性は電動を超えることはありませんが、空気圧駆動のメリットとして軽いことと原価が安く済むことが挙げられます。
販売額は発表されていませんが、総重量は17kgと軽くなっています。
ロボット展の感想
前置きが長くなりましたがここからが感想となります。
まず、今回の国際ロボット展で一番感じたことを正直に言わせて頂くと
「ところでロボットを家庭で動かせる日はいつになるんだろう」
という思いでした。
1970,80年代にかけて日本はロボット大国といわれるほどロボットを製造してきました。そのロボットとは製造業に使われる産業用のロボットアームがほとんどであり、自動車や半導体などの機械電気電子製品を作るための工場の一部の機械でした。
私はロボットの役割は人間の暮らしを豊かにすることであると考えています。上記の働きでも間接的に豊かさを作り出しているとは承知しています。しかし現代の課題として大量生産大量消費の社会からの脱却が求められているとも感じます。その課題解決にこそロボットを活用しなければ社会もロボットも共倒れしてしまうのではないかと危惧します。今回の展示会でオリエンタルモーターと山洋電機の「ロボット自体をユーザーに作ってもらうという形」のビジネススタイルを進めているのは大変良い兆候だと思います。
それでも使用場所の想定は工場になっていました。まだまだロボットの一般普及は遠いかなと思う中、Festoの開発しているロボットアーム「Festo cobot」の異色さは世の中を変える可能性を秘めていると感じました。
Festo cobotには世の中を変える可能性がある
なぜ、他のロボットアームとの大きな違いが駆動源だけであるFesto cobotが世の中を変える力があるかというと
「今までになかったから」
この一言に尽きると思います。
電動で動くロボットも優秀です。家庭に導入して家事をさせようと思えばできてしまうでしょう。ではなぜ普及していないかというと市場の違いです。
一般的な産業用ロボットは企業が購入する(B to B)ため高い価値を載せることに意味があり、安く作る意味が大きくありません。また、銅などを多く使用しているため原材料費的にも安く取り引きができないのです。それに比べて空気圧駆動を選択することで原材料の制限から解放されます。ほんとうに安く作ろうと思えば安く作れてしまうのです。一般家庭などに普及させる場合はB to Cの形となるので安く作る必要があります。しかし安く作るということは利益率が悪いため企業としては採算が合わなくなります。現にFesto cobotも販売を実現するのは厳しいという話です、、、。
ロボットと共生する社会を目指すなら
最後に飛躍した話となりますが、ドラえもんやSTAR WARSのようなSF世界のようにロボットを目指すなら個々人が持てる役に立つロボットを生み出す必要があります。それらを生み出すには実装実験が欠かせません。しかし、現状実装に向いているロボットは少ないです。そんな中、空気圧駆動のロボットには人と共生できるポテンシャルがあります。
Festoの開発したcobotに詰め込まれた技術が埋もれることなく社会に浸透することを願って終わります。(あるいは私自身が普及の活路を見出すべく活動していくか、、)長くまとまりのない文章になってしまいました。
ご高閲ありがとうございました。
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