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自分の当たり前は誰かの当たり前とは違う

息子の部活の保護者会で役員をしていた事があった。
その部活では部員はケガに備えてスポーツ保険に入ることになっていた。
入部を希望する子がいたので、
おうちの人に入部届けとスポーツ保険の書類を書いてもらって持ってきてね。
そう伝えて書類を渡した。
しかし、その子のお母さんは、その書類を書く事ができなかった。何度か会って書き方を説明をしたのだが、何度やっても間違いがあり、受付に至らなかった。
入部届けだけなら、言っちゃぁ何だが、別に間違いがあってもいい。
ただ、保険についてはそうはいかなかった。
何度かやりとりをするうち、最後には、
「もういいです。」
そう言われ、お子さんの入部は叶わなかった。
部活に入りたいと何度も見学に来てくれていたお子さんの姿を想うと、
なんとかできなかったのか、と今でも胸の奥が締め付けられる。

この経験は、私の公務員人生においてターニングポイントとなった。

自分の当たり前は誰かの当たり前とは違うのだ。

行政のスタンスは、
『困ってる方、いつでもいらして下さい。いろんな制度ありますよ』だ。
このスタンスに私は何の疑問も持たなかった。これまで、私は必要な情報を自分で収集してきた。そしてそれは当たりだと思っていた。

批判を恐れずに言えば、入部届けくらい誰でも書ける。そう思っていた。

しかし、それは間違いだったのだ。
あのお母さんは、行政の手を必要とする場面で、必要な情報にたどり着けるのだろうか。

この出来事以降、広く配布する文書は、フォントに気を配り、レイアウトを工夫して、言葉を噛み砕いて作成している。

本当は、私の小手先の工夫なんかじゃなく、
困っている人にこちらからリーチする仕組みや、
分かりやすい手続きが必要だと心から思う。

デジタルの力でなんとかならないものか。
河野大臣、よろしくお願いします。


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