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#SXSW Pitchレポート(2019 その2 / Enterprise and Smart Data)

山本 健太

前記事に引き続き、ピッチイベントの登壇企業紹介です。自社の事業領域と近いので、個人的になかなか興味深いセッションでした。

Geospiza

様々なデータを収集・統合し、災害時の救援活動を最適化するビッグデータプラットフォームを提供する米シアトルの企業です。自然災害(洪水、地震)、テロ行為、停電といった大規模災害の発生時には、非常に多くのデータを同時に扱う必要があります。Geospizaは行政や企業に対し、ソーシャルリスニングや人口統計データ、被害データといったデータを統合して最も支援を必要としている人・地域を特定し、意思決定のサポートとなる情報を瞬時に提供することができるそうです。すでに米国内のいくつかの行政と契約を結んでおり、試験運用を開始しているとのこと。

Molecula

pilosaというオープンソースのシステムをベースに、AIデータ分析プラットフォームを提供している企業。pilosaのマネージドサービスをMoleculaという名前で売り始めたという形で、社名も元々pilosaだったのをMoleculaに改名したそうです。OSS界隈の新陳代謝はプロジェクトによって様々ですが、マネタイズの難しさを垣間見た気がしますね。
彼らのミッションは、データサイエンスに必要な煩雑なデータ操作を自動化し、サイエンティストが本来の分析に集中できるようにすること。競合相手として、implyROCKSETの二社を挙げていました。

NOVO

法人向けの銀行口座を迅速かつ簡単に開設・利用できるサービス。中小企業の、会社設立や各種活動にかかる障壁を取り払うことを目的としています。(日本と同じく)米国のほとんどの銀行は、サービスが画一的であるにもかかわらず各社でUIがバラバラで使いづらく、複雑になってしまっているそうです。通常、法人口座を扱う際ユーザーは銀行に出向いて煩雑な申請処理をしなくてはいけませんが、NOVOではオンラインの統一的なモバイルUIで簡単に銀行口座の設立手続きが出来て、迅速に開設ができます。

Q. ビジネスモデルは?
A. デビットカード等のトランザクションから手数料を取る。また、口座開設の成果報酬を銀行から受け取る。

Q. どうやって利用者を広げる?
A. ターゲティング広告と、オーガニック流入。会社設立に興味があるセグメントに広告を打っている。

Q. カスタマーサービスは、顧客-銀行間に任せるのか?
A. いや、カスタマーサービスもNOVOが行う。顧客の問い合わせをNOVOが受けて、NOVOが銀行に問い合わせる。

Q. NOVAのパートナー銀行ではない銀行を希望されたらどうするのか?
A. 利便性の面で他社より優れているため、NOVOを使ってもらうように促す(乗り換えてもらう)

https://banknovo.com/

OSANO

PrivacyMonitorという、各企業が提示する規約のプライバシー条項を要約してビジュアライズし、ユーザーが明示的に判断できるよう助けるサービスを提供している企業。近年、ユーザーは1人あたり100以上のオンラインアカウントを持っているのが当たり前ですが、一方で利用規約をちゃんと読んでいる人はほとんどいないのが現状。本サービスでは、読みづらい利用規約の内容を共通要素で抜粋することで単純化し、データの主権を個人が取り戻すことを目的としているそうです。

Q. ビジネスモデルは??
A. 導入企業からfeeを取る。ユーザー利益のあるソリューションなので、企業は導入を検討してくれる。

Q. そもそもユーザーはプライバシー問題をそこまで気にしていないのでは?
A. そうかもしれない。だが例えば、規約を単純化することでユーザーフォームを簡略化できるなどの直接的なメリットもある。(もう少し中長期的には)このソリューションでユーザーの態度も企業の態度も、少しずつ変わっていく。それが世界を変えていくと思っている。

TransferFi

"LONG-RANGE, SAFE & EFFICIENT WIRELESS POWER NETWORK"ということで、「遠隔無線電源供給」を実現するシンガポール企業。親機から25m以内の子機に対してケーブル不要で電源供給が可能であり、従来の配線や電池交換がいらなくなることでメンテナンス等のコストを半減させることができるそうです。ユースケースとしてはIoT機器の利用を主に想定しており、各箇所の温度センサーに一括で電源供給する、等といった活用を考えているとのこと。人体への悪影響もないことを確認済みだそうです。
個人的には一番未来を感じたプロダクトだったのですが、Interactive Innovation Awards Finalistsのほうでも同じような企業の展示を見かけたので、わりと当たり前になってきている技術なのでしょうか?あるいはこれからもっと普及していくのでしょうか。いずれにしても、工場センシングなどIoT文脈でエッジデバイスが増えていくにつれて、ますます需要が増えていくサービスになるだろうと感じました。


テーマが大きいので「AIでいい感じのBIできます!」的なのを勝手に想像していたのですが、各社非常に具体的な課題に対するソリューションになっていて、それでいてニッチではないスケーラブルな事業領域を定義できているのはさすがといったところでした。

アワードはGeospizaが受賞しました。


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山本 健太
CIO/Co-founder of primeNumber Inc. // データ活用やデータ基盤構築の伴走支援サービスを提供しています