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2月13日(土) ソーシャルPM研究会オリエンテーション開催報告

こんにちは ソーシャルPM研究会 ブログ運営担当の鬼塚です。

2011年3月の東日本大震災発生直後に立ち上がったPMI日本支部の「災害復興支援プログラム」をきっかけに発足した当研究会ですが、近年はメンバーも入れかわり、設立経緯を知るメンバーも数少なくなっています。

今般初の試みとしてオンラインで、研究会会員向けに「ソーシャル・プロジェクト(以降「ソーシャルPM手法」と記します)手法開発の経緯」をテーマにオリエンテーションを開催しました。

講演とワークショップのモデレータは、災害復興支援プログラムに関わり10年間研究会を支えてくださっているPMI日本支部アドバイザーの高橋正憲さんです。

PMI日本支部理事で研究会前代表の藤井新吾さんとの共著の研究報告「ソーシャル・プロジェクトマネジメント:10年間の研究開発」の内容をベースに、災害復興支援プログラムでの経験と困難、なぜ「ソーシャルPM手法」という独自の手法開発が必要と考えたかの経緯、そしてSDGs実現にも大きくかかわる企業の「CSV(共有価値の創造)」実現のための考え方、などについてお話をいただき、2回のブレークアウトルームでは参加者が設定されたテーマから自分でルームを選択し、ざっくばらんに対話しました。

前半は上記のソーシャルPM手法開発の経緯についてです。

災害復興支援プロジェクトで現場に飛び込み、PMIが持つプロジェクトマネジメントのノウハウを適用しようとしても、企業のプロジェクトは違ってなかなかうまくいかなかったことを教訓に、独自の手法の開発に奮闘した経験を語っていただきました。

模索する中でひとつベースとなったのがイリノイ工科大学の「デザイン思考」です。同校教授の著書ヴィジェイ・クーマー氏の「101デザインメソッド」を参考に、現場での体験からコンセプトを作り出すというアプローチをベースに他の手法を組み合わせて応用しながら、「ソーシャルPM手法」と言うフレームワークを確立しました。(下記図参照)

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前半のブレークアウトルームは、上記の3つの解決策から参加者が自分の関心のあるテーマを選び、ルームのファシリテータはワークショップの講師経験者があたり、参加者の意見をシェアしました。

各グループからは、社会課題解決におけるデザイン思考適用への興味や、ステークホルダーマネジメントの難しさ、思いからビジネスモデルへ転換するためには客観的に整理していくことが必要ではないか、などといった感想が出されました。

高橋さんのお話の後半は個人・企業・社会それぞれの視点での社会課題への取り組みのへの提言でした。人生100年時代の個人のパラレルキャリア・セカンドキャリアへの意識や、企業の取り組みとしてのCSVフレームワークの構築、社会価値の評価としての「ソーシャル・インパクト」と社会の能力を表わす「ソーシャル・キャピタル」という考え方、それを達成するための「ロジックモデル」と「BRM(ベネフィットリアライゼーションマネジメント)」のソーシャル手法への適用をお話いただきました。

そして企業がSDGsに取り組むにあたり、顧客開発とソリューション開発を同時にすすめるスタートアップ手法を生み出したことにより、ソーシャルPM手法をさらに発展させて、PMI日本支部のSDGsスタートアップ研究会へ引き継いでいくことができた現在についても語っていただきました。

ブレークアウトルームでは
①個人の社会課題の取り組み ②企業の社会課題への取り組み ③デザイン思考とBRM・SDGs達成 のテーマで対話が行われました。

- 個人の活動はつながりをもち、相手の立場や地域によりそった活動が大切である。
- 企業ではSDGsの経営層の理解と社会価値の定量化の課題がある。
- 具体的にツールの使い方を知りたい。
- デザイン思考はマインドセットであり、理解を深めるためにはゲーミフィケーションがひとつ活用できる。
- PMBOK®ガイドでのリスクマネジメントの考え方は、ソーシャルPM手法の随所に取り込まれている。

などの意見・感想が出されました。

最後に高橋さんはこれまでを経て2020年度からのソーシャルPM研究会の次の時代への期待でしめくくられました。

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この後は、2019年度にソーシャルPMワークショップの講師とファシリテーションを務めた稲葉さん、大久保さんからの経験談を語ってもらいました。
稲葉さんにとってはPMI日本支部内外での幅広い活動の広がりにつながり、大久保さんにとってはこの経験が他の場でも生かせて、成長する機会になったようです。昨年度はコロナ禍で中止となったソーシャルPMのワークショップですが、今年度は4月のキックオフに向けてメンバー募集を開始しています。

以上でオリエンテーションは和やかに終了し、懇親会へと移りました。

事後のアンケートの結果、回答した全員の方に満足していただき、ソーシャルPMの理解を深めることができたようでした。

これから研究会へのエンゲージメントを深め、ソーシャルPM手法のエバンジェリストが増え、社会課題の解決に取り組む人が増えることを期待したいと思います。

                                                                                                                     以上

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