【結論】M&A後のデータ統合は止めるべき Vol.2完【データ統合の失敗】

データ統合の戦略とは

企業と企業を統合した後、どのデータは統合すると投資対効果があるのか。IT投資の範囲を複数案考えた。それぞれの案の投資対効果を算定した。

データ統合の範囲には、
- 製品データ
- 顧客データ
- 販売データ
- 調達データ
- 製造データ
- 物流データ
- 原価データ
- 会計データ
を考えた。

その結果、今後も毎年 企業を買収する戦略を続けていくには、会計データの統合と得意先データ(顧客データのうち消費者データは除く)の統合のみに絞り込むのが投資対効果が高かった。
これら以外のデータ統合は、投資対効果は限定的だった。

データ統合を見据えたアプリケーション戦術とは


傘下の企業でデータ統合し、1つのアプリケーションで1つのデータベースを使う、というのが一般的なやり方であろう。


しかしながら、そのためには、傘下の企業のデータ項目を合わせて、傘下企業の持つデータを一つにまとめていく必要がある。
データ項目を合わせる、データを一つにまとめるというやり方では、傘下企業内の他のデータもアプリケーションを合わせていくこととなってしまう。会計データと得意先データのみを統合したいのだが、傘下企業内の会計データ以外、得意先データ以外までデータ統合することは投資が大きすぎた。


そこで考えたのは、データの上流と下流で考えると、データ統合したいのは、下流の方であった。
会計データで統合したデータにしたいのは、単体月次決算よりは連結月次決算時なのであった。
得意先データで統合したデータにしたいのは、得意先に商品を販売する時よりも得意先に商品を出荷する時なのであった。
得意先から複数の傘下企業に注文があっても良いが、出荷する時に傘下企業の商品を一つのトラックで配送した方が、傘下企業の物流コストが低減でき、得意先としても便利であった。


データを下流だけ統合するには


データを下流だけ統合するという方式は、2つのExcelをくっつけるイメージである。
データのあるExcelを変換して、もう一つのデータが入ったExcelと紐付ける。 この方式で、上流ではバラバラであったデータが、下流では紐付いたデータとして利用できる。

傘下の企業は、それぞれ単体決算をするが、勘定科目を変換した傘下の企業の会計データを集めて、連結決算をする。
傘下の企業は、それぞれ商品を出荷する前に、得意先データを変換して、出荷データを得意先毎に名寄せすれば、得意先毎にトラックに積み込むことができる。


結論:企業統合後にデータ統合するのは一部で良い

企業と企業を統合した後、どのデータは統合すると投資対効果があるのか。

企業と企業を統合した後、企業はまず短期でコスト削減効果を出せるところに手を打つのが良い。

短期でコスト削減効果を出せる、最低限のデータ統合範囲はどこなのか、データ統合をどのような方式で実現すればIT投資が最小限に抑えられるのか、見極めていくことが重要である。


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