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彼氏にプレゼントする長財布が欲しいというオーダー

家具、革財布、金継ぎなど、いろんな創作活動をしています。
PLYLISTの小尾口です。

今回の記事は誕生日のプレゼントにとオーダーをいただいた
長財布の打ち合わせから制作までを紹介したいと思います。

打ち合わせ

今回オーダーをいただいた方は東京に住んでいらっしゃる方です。
大学時代の友人です。
直接会って打ち合わせというのも難しいので
InstagramのDMのみのやり取りで打ち合わせをしました。

どんな革がいいか
まず色の希望を聞いたところ、こげ茶色か紺色が希望ということだったので、
在庫の革の写真を送って見てもらいました。
どうやらイメージ的にブルーのほうが合ったようで、ブルーの革に決まりました。

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あと、全体的なイメージとしては
スリムな長財布がいいということだったので、
カードの枚数やお札、小銭入れの収納がどの程度必要か聞きました。
あと、鍵をお財布に入れているということだったので
鍵を入れることも想定してデザインしました。

要望を聞いて、僕がスケッチをして
その写真を送ってイメージのすり合わせをしました。
最初のスケッチだと、カードの収納が少ないということだったので、
さらに2枚カードの収納を追加してOKをもらいました。

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あと、今回のオーダーは刻印も入れて欲しいと言う要望がありました。
PLYLISTは特殊なオーダーにも対応してるというのが自慢です。
例えば、刻印がその代表例です。
今回の刻印は文字ということだったので、それほど特殊ではありませんが、
お客様がデザインされた模様とかも刻印することができます。
刻印については、この記事後半でもう少し詳しくお話しようかと思います。

制作

今回のお財布はすべて青の革を使用しました。
ちなみに、今回使用した革は
ベジタブルタンニンなめしのイタリアンレザーです。
プルアップレザーという、曲げたりすると繊維の中でオイルが移動し、色が白くなるという特徴のある革です。

長財布はパーツが多いです。
ということは型紙も多いです。
オーダーメイドなので、図面を描いて型紙を作るところから始まります。

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カードのポケットはパーツが何枚も重なるため、
見た目が厚ぼったくならないよう、縫い合わせるところを薄くしています。
僕は機械を持っていないため、すべて手作業で革包丁と呼ばれる刃物を使って薄くしています。

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お財布は革以外の材料も使います。
例えば、芯材。これは型くずれ防止のために内側に貼ります。

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刻印は「M.N.N」というアルファベットを入れてくださいとのことでした。
くっきりきれいに入りました。

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PLYLISTは全て手縫いで仕上げています。
作品のクオリティは縫い目で結構変わります。
縫い穴をきれいにまっすぐあけるのがとても大事です。
これが簡単そうで難しいんです。

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ひと目ひと目、丁寧に縫っていきます。
手縫いのいいところは、パーツの重なりや革の厚みに応じて、引き締め具合を調整できるところ。
あと、糸の撚りも強めながら縫えるところですね。
糸の強度が上がってほつれにくくなります。

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縫い合わせたら革の断面(コバといいます)を整えます。
どうしても革が重なる部分は段差ができてしまうので、
僕は小さな鉋を使って段差がなくなるまで削っています。
この小さな鉋が、かわいらしいんです。

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鉋できれいに断面を整えたらエッジを丸くしていきます。
これも見栄えをよくするための重要な工程です。

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そしたら断面をやすりがけしていきます。

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断面の段差もきれいになくなり、きれいになりました。

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革のコバに染料を染み込ませていきます。
今回は黒く染めます。

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こんな感じ。
ここからやすりがけしては染めてという工程を繰り返します。

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この工程の繰り返しが地味ですがコバの美しさを決める重要なところです。

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やすりがけしては染める。

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最後はコバを磨いて、

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ワックスをすりこんで、熱して染み込ませてコバの強度を高めると同時に艶を出していきます。

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艶っと仕上がりました。

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完成

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僕はこの革の絶妙なブルーの色がとても好きです。
あと、強すぎないほどよいシボ感もいいですね。

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コバ(断面)もきれいに仕上がりました。

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開いた様子はこんな感じです。

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刻印もきれいに入っています。

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ファスナーはYKK EXCELLAというYKKのファスナーのなかでも別格の高級感のあるものを使用しています。
ムシとかエレメントと呼ばれる嚙み合わさる部分のパーツも磨かれており、
その光沢と嚙み合わせの精度の高さがすばらしいです。
使っていてとても気持ちがいいです。
ぜひ一度、手に取って動かしてみてほしいです。

ギフトラッピング

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PLYLISTではギフトラッピングも承っております。
大切な人へのプレゼントは、ラッピングも特別なレザータグ付き。
PLYLISTの刻印入りです。
レザータグも「しおり」などにお使いいただけます。

PLYLISTの刻印オーダーはおまけ付き

PLYLISTの刻印オーダーは変わったおまけがあります。
それは刻印そのものをもらえる
というおまけです。

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レーザー加工機を使って、毎回お客様のオーダー毎に刻印を制作しています。
そのため、その刻印は1回しか使われることがありません。
しかし、それはとてももったいないと思っています。

なのでお客様に記念に刻印そのものを差し上げています。
樹脂製の刻印は小さいものであれば、ピアスやネックレスに加工することも可能です。
ギフトを贈る人は刻印そのものをアクセサリーとして持ち、
その刻印をいれた作品を大切な人に贈るというのはとてもロマンチックだと思います。

もちろん、お客様自身がアクセサリー等に加工していただいても構いません。
そしてもちろん、アクセサリー以外の使い方だってアリです。

こんなストーリー性のある想いのこもったギフトを贈るというのはいかがでしょうか?


PLYLISTがオーダーメイドのお財布に込める想い

実はまだPLYLISTの長財布に定番商品はありません。
そして、今までオーダーをもらったお財布には
1つとして同じものはありません。
「このお財布ずっと長いこと使っているんだけど、もうさすがにボロボロで買い換えたいんだー。でもなかなか思うようなお財布見つからないんだよねー。」
こんなお客様が多くいらっしゃいます。
PLYLISTでお財布をオーダーしてくださる方は、
モノを大切に扱い、一つのお財布を長く使っている方が多い傾向です。

「思うようなお財布が見つからない」という悩みは皆さん一緒ですが、
「理想のお財布」は皆さん違います。

ここでちょっと話は変わりますが、
PLYLIST(プライリスト)という屋号に込めた想いをお話ししたいと思います。

Ply(プライ)=重ね合わせる、撚り合わせる
Playlist(プレイリスト)=音楽の再生リスト(曲を再生する順番をリスト化したもの)
という二つの単語を組み合わせた造語です。

それぞれの価値観、生き方、理念、ライフスタイルに応じた
素材や技術、デザイン、アイデアの組み合わせリストを提案することで、
心から豊かな生活を送るために、少しでも役に立ちたい
そんな想いからこの名前を決めました。

お客様に寄り添いながら、
ワクワクするような組み合わせだったり、
ほっこりするような組み合わせだったり、
いろんな組み合わせを考えましょう。
そして、音楽のように
その人にとってかけがえのない存在になるものを
そして、
暮らしと心を少しでも豊かにしてくれるものを
つくれるように、私はなりたいです。


PLYLISTという屋号は
お客様にできるかぎり寄り添ったものづくりをしたい
という想いが前提としてあります。

「なんか思うようなお財布が見つからない」
そんな人と一緒に、理想のお財布を見つけるお手伝いをさせていただくことが
PLYLISTのやりがいであったり、幸せだったりします。
職人や、お店に相談するというイメージよりも
友達とか知り合いに相談するような感覚でいてもらいたいです。
僕はあくまで理想のお財布を見つける旅の伴走者として
使う人の相談にのって
理想の形に近づけるお手伝いをする人
みたいなイメージです。

たかがお財布、と思われるかもしれませんが、
毎日使うものだからこそ、
一人一人の使い方も違うし、
こだわりがうまれやすいものだと思います。

毎日使うものだからこそ、素材にもかなりこだわっています。
質の高い革を使い、
質の高いファスナーを使い、
使う人の使い方に合わせた機能性を持ったものにしたい。
そういう想いがPLYLISTのものづくりにはあります。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
僕の作品やオーダーのものはSNSにも投稿しています。
制作風景や日常まで、基本毎日アップしています。
もし気になる方いらっしゃいましたら、ぜひフォローしていただけるととてもうれしいです。


よろしければサポートしていただけるととてもうれしいです。製作活動に必要な道具に充てさせていただきます。