【バックギャモン】第1回マカオオープンのあれこれ(7)

前回 【バックギャモン】第1回マカオオープンのあれこれ(7)

9.メイン3日目(1)

前日の夜はよく覚えていないのですが、1時くらいに時計を見た気はするのでそこまでは起きていたのだと思います。次に時計を見たのは朝5時ころ。目が覚めた私は気持ち悪さを覚えて胃液しか残っていないのに嘔吐してしまいました。自分の置かれている状況がわからなさ過ぎて気持ち悪くなったのかもしれません。メインベスト4は今まで2回ありますが、1回目はオンライン王位戦だったのでそこまででもありませんでした。2回目は昨年の王位戦でベスト8でMochyに勝ってのベスト4進出だったのですがベスト8からは同日の試合だったので気持ち悪さを感じる暇もなかった感じです。ところが今回は入賞確定のベスト4でしかも国際大会、こんな状況は初めてだったので訳が分からなくなりすぎたということなのかもしれません。それでも朝8時ころになると落ち着きを取り戻して結局は食事をしているのですからわからないものです。
※チェックイン時に5日分500MOPを先に払っているので軽くでも食べないともったいない。いつもより量は少ないとは言え食べられたのでヨシ。

3日目も11時スタート。ここからは残り4人の1敗勢で純粋なトーナメントという形になります。

R8 vs David Wells(イギリス)

こちらもジャイアンツに名を連ねるDavid Wellsさん。当然ジャイアンツなのですから強いです。とはいえここまで来たら条件は一緒、やれることは全部やる、それだけです。

ポジション1 白 斎藤 2-1/11 緑 Wells 白のキューブアクションは?

結論から言えばこの局面は80点のダブル。ちゃんと腕は振れていたようです。「国際大会の準決勝」とはいえ、その場の雰囲気にのまれて手が縮こまるのはまずいです。王位戦のベスト4ではそれが敗因になったのでそれに比べればかなりいいプレイができていたはずです。
ここを取って4-1となるものの2ゲームで6点取られて4-7と不利になります。

ポジション2 白 斎藤 4-7/11 緑 Wells 白のキューブアクションは?

自陣は4か所埋まっているが援軍が全くない、しかし相手は何もできていない。これはいわゆる「勝率が低くギャモン率が高い」という状態です。このスコアなら喜んで行けるので全く時間を使わずにダブル。解析は190点のダブルと言っているのでちゃんとダブルを打てています。やるべきことはできていたようです。当然試合中は気づいていないのですが、リズムはかなり良かった模様。後から見れば「これだよこれ」という感じです。このゲームは2点取って6-7。さらに2ゲーム進んだ7-9の第11ゲーム、この試合最大の分岐が訪れます。

ポジション3 白 斎藤 7-9/11 黒 Wells 黒の31は?

この31を見た瞬間「4ポイントにアンカーを取られる。しばらくダブルを打てる展開にはならない」と考えました。このスコアのダブルは早いと言いますがそれはギャモンがあるときの話で、ギャモンがない2点を取るためのキューブはいつもより価値が高いとはいえ若干うまみが減ってしまいます。4ポイントアンカーを取ることで相当ダブルができなくなる、少なくともバックマンを逃げ出さなければ話にならないという状況なわけですが、この31をWellsさんは考えだします。私はノータイムでアンカーに決めてしまうのでその違いはさすがと思いました。が、実際の指し手はインナー5ポイントのメイク。確かにこのメイクはアンリミテッドであれば微差ながらベストですがこのスコアは私が「魅惑のスコア」と呼んでいる4away-2away。4away側はダブルギャモンの価値が高すぎるため攻めるチャンスがあれば喜んで攻め立てます。したがってここはアンカーを取る一手で5ポイントメイクは220点のブランダーでした。Wellsさんはこのポジションを写真撮っていましたが、おそらく撮るまでもなかったと思うことになったはずです。

ポジション4 白 斎藤 7-9/11 緑 Wells 白のキューブアクションは?

アンカーを取ると思っていた私は5ポイントメイクを見て足を止めます。守るべきところを守らなかったのですから、スコア的にも考えて厳しく攻めたいところ。よってダブルを打ちます。実際この局面は70点の微差ながらダブルが最善の局面であり、アンカーを取っていればここでのダブルはありませんから、ダブルを受けたということは5ポイントメイクは誤りであったとWellsさんほどの人であれば気づいたと思います(基本的にはダブルされない手があるならそのほうがいい)。ここでちゃんと立ち止まってダブルを打てたのは非常に良かったですね。実戦はテイクから、ギャモンとはいかなかったものの2点取ってDMPへ。と、ここでブレイクを入れることにします。R3以上に時間もゲーム数もかかっている試合、しかも準決勝、息詰まる展開に思わず休憩をはさみたくなったのです。再開前にWellsさんとセトルの話をし(景山さんが間に入ってくれた。ありがとうございます)、最終ゲームは中盤までじりじりした展開でしたが最後は出目ですべてを解決し11-9で勝利します。

激闘の後、近づいてきた景山さんに勝利を伝えた瞬間感極まってしまいました。「まだ準決勝ですよ」と笑顔で言われたのを覚えています。本当に自分の今の状況がわからなくなってテラスへ出ます。肌寒いマカオの昼下がり、今回のために買った新品のシャツを羽織ることにします。決勝のために用意したわけではないのですが結果的にはそういう形になったわけで、それはそれでよかったかな。

13時を回り、こちらはダブルスの決勝を迎える小倉さんと、お昼を求めがてら軽くフィッシャーマンズワーフを散策。

コロッセオもある。1Fには店が入っています。コロッセオから南に道があり両側に店が並ぶという構造です。この日はミスフィリピン?ミスマカオ?の数名がPRか何かで来ていましたね。日曜日ということもあって人も多かった。ちょっと天気は悪いですが雨は降らなかったのでよし。
お昼はRIOの店先でピザとサンドウィッチです。

本日のおまけ。「セトル話」について。
マネーラウンド(勝てば賞金がもらえる試合)かその先になると相手と賞金分配についてどうするかという話し合い、セトルが行われることがあります。私がやった(受けたものを含む)セトル話は、
●R6 松浦さんと「勝者が次にByeを引いた場合に限り1000HKDを敗者に払う」の取り決めを試合前に(このころには賞金額が発表されていたので金額も決められた)。
●R8 Wellsさんと「先に進んだ(多くもらった)者が差額の20%を払う」という取り決めを、DMPの前に。
試合中のセトルというのもあるんですね。やったことなかったから意外と言えば意外。結構あるという話は後から聞いたけど、タイミングが難しそう。そういうのを含めて、来住野さんがまた面白いセトルやっていた話を聞いたんですがここには書きにくいなぁ(書いていいかどうかも含め)。気になる人は本人に聞いてみてください(あとは来住野さんにお任せしますw)。
ちなみにR7とR9(決勝)ではやっていません。R7では「入賞していることが確定しているので十分」だったし、決勝では「それだけで十分」だったことと「先のセトルもあって変なセトルをすると余計に損する可能性がある」ので。R8でもこちらからセトル話を持ち込んではいません。でもWellsさんのセトル方法はいいな。使う機会ないかもしれないけど覚えておこう。

さて、今回のマカオオープン、目玉の1つは「決勝」です。

動画でも紹介された通り、マカオの歴史的建造物、盧家屋敷で行われます。それだけでも貴重な体験です(日本選手権も同じようなことやったら面白そう。近場だと泉岳寺とか。貸してくれるかなぁ?)。散策から戻ると盧家屋敷で行われているSJPの決勝が解説されていました。中盤に差し掛かったころ、ダブルス決勝進出の小倉さん藤岡さんも盧家屋敷に向かって出発していきました。いよいよ自分のファイナルも近づいてきました。ファイナルについては次回書くことにします。

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