ちょっとしたメモ

 ミュンヘンのTOSTから返信が来た。ちょっと考古学チックな面白い考察ができたので書き留めておく。多分部活のブログにも書くけど、その草案ってことで。
 現在航空部では曳航が終わってウィンチ側に落ちた曳航索とエンドセット(パラシュートと端索)を回収する際、リトマンがエンドセットを曳航索から外して荷台に乗せ、曳航索をリトのアームから垂れ下がったワイヤーに引っ掛けて引きなおしている。ピスト側についたらどうするのかと言えば、そこで策を外して、わざわざ外したパラシュートを付けなおしている。これのせいでグラウンドワークの余計な手間が増え、しかも迅速な運営のために曳航索の二倍の数のパラシュートを必要とし、それにかかわるリスク(一時的にでもパラがついてない曳航索ができる・パラが捻じれる可能性が増える)も増大している。SKYKLAUNCH社のHPではパラを外さずにリトリブすることを強く推奨している。この謎を解くため、私はアマゾンの奥地に……ではなく、もう一つの大手であり、現在使用しているパラの製造者(たぶん)であるTOST社にメールをした。一晩経って、返信は以下のようなものであった。
「基本的に問題はないが、パラを引きずってしまうと寿命が減る。1~2mの高さであれば、曳航索の抵抗により引きずられることはない。あるいはパラの下端をリトリブに引っ掛けてくれ」
 このことが示唆しているのは、どの会社のパラシュートであっても地面を引きずらなければ問題がないということ、どちらの会社もある程度の高さがあれば曳航索の抵抗でパラシュートが地面につく可能性は低いと考えていること、さらにどちらの会社も「外さないこと」を前提に考えているということだ。ではどうして今妻沼の大学航空部はパラを外してリトリブしているのだろうか。
 まず一つ目が、使っているパラが大きめのものであるということ。安全上、離脱後の機体がかぶってしまうリスクを減らすため、曳航索に着けるパラは小さければ小さいほど良い。ダイニーマ索であれば、開いたときの直径が1,2mもあれば充分である。今航空部で使っているパラは明らかにそれよりも大きい。恐らくだが鋼索用だ。パラが大きければその分引きずってしまうリスクが大きくなる。だがこれだけであれば理由にならない。鋼索用のパラでもSKYLAUNCH社は外さないことを推奨している。
 二つ目が、リトリブカーが、アームから余計なワイヤーを通して曳航索に繋がっているということ。アーム(剛体)に直接ついているのであれば、1~2mの高さでも問題がないのだろう。しかし曳航索がつながっているのは、貧弱な(まあ、直径2㎜はあるが)ワイヤーである。これのせいで、決して平坦とは言えない妻沼の滑走路をリトが爆走したときにパラが地面についてしまうリスクを上げているのではなかろうか。恐らく最初の設計ではワイヤーは使わない設計だったのだろう。だがそれではフックをかける箇所の地上高が2mオーバーとなり、低身長絶対殺すリトになってしまう。あのケーブルは多分応急処置的な何か。
 三つめが、パラの材質である。現在は殆どがナイロン製になっているが、一部は綿製である。ほんの少しでもパラが地面について濡れてしまうリスクを避けるつもりだったのかもしれない。
 いずれにせよ、今となってはパラをわざわざ毎回外してリトリブする必要性はなくなったと考えていい。パラが大きいことだけが懸念事項だが、恐らく引きずってしまうことは無いはず。現在東大が所有しているパラは三つ。折角なのでダイニーマ用の小さなパラを一つ買い足して、リトリブからパラを外さない方式に改め、パラ四つ体制で運営したらどうだろうか。そうすればわざわざ他校から借りなくて済む。まあこれは機材係でその辺の折衝をすることになるであろう私の仕事を減らしたい私利私欲もあるのだが。

 心配なのは法政リトである。軽トラで荷台が低く、したがってアームの位置も低い。あれだと引きずってしまうかもしれない。余計なお世話か。

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