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日本の広告は死んだのか? 広告のコンテンツ化

 キューピーマヨネーズの野菜の美しさを前面に押し出した広告や、モルツのコマーシャルを見て、シンプルでとても美しいと思った。それからPARCOのCMは、今の広告よりも先進的な気すらした。  本当に素晴らしかったので、YouTubeであらゆる80年代の広告を見てみた。その結果すべてのコマーシャルが美しいと言うわけではないとした。たとえばここ洋服の青山の広告はひどいものので、ワードアートで作ったようなできだった。 
ただ、80年代の美しいシーエムは、圧倒的力強さで商品を売ると言うより概念を売るような映像があり、西武百貨店は「不思議大好き」という素敵な言葉があった。 
 2017年の現在、私が美しいと思うコマーシャル映像は確かにある。例えばパナソニックの 洗濯機のシーエム パフュームが泡をテーマに歌って踊り最後に泡洗浄という、売りの機能を一瞬見せるという大変シンプルで何回も聞きたくなるようなMVとCMが合わさったものだ。ただ、80年代の広告と異なり製品の機能を全面に押し出したテーマに過ぎない。おいしい生活や不思議大好きと異なり、 生活の視点や価値観を揺さぶるようなテーマは、全く感じない。 
おそらく、テーマ性という意味では、80年代から現在にかけて日本の広告は退化しているように思う。2017年に見つけたテーマ性のあるものは、強いていうならコカコーラ社の家族でテレビを見ながらコカコーラを飲むハピネスキャンペーンぐらいだった。 
 一方で80年代になかった広告が2007年ごろから徐々に始まった。例えば、白い犬のお父さんが話題を呼んだドラマ風CM「白戸家」や、現在流れているAUの三太郎シリーズのようにCMだけどその映像が楽しめる広告自体のコンテンツ化が進んでいるように思う。昔の広告と異なり、テレビや新聞だけにとらわれず、インターネットで続きを見たり、カラオケでAUのCMソング 海の歌を歌ったりと、CMをわざわざ見て歌って楽しむ時代に変化したように思う。また、2010年のカンヌ広告祭金賞を受賞したdocomoの広告「森の木琴」は、今でもYouTubeで、再生数が伸びていて80年代と比べて極端に1つのコマーシャルの寿命が、伸びていることがわかる。 
 今回わかったことをまとめると、80年代と比べてキャッチコピーやテーマ性という意味では、現在退化しているように私も思ったが、現在の広告は昔と比べて広告自体がコンテンツ化しているため、一部のCMでは、世界観や物語さえ伝わってくるものもあり、広告寿命が極端に伸びている。 
 そのため、今後はさらに、テレビCMの60秒の世界にとらわれることなく再び見たいと思わせられる作品を製作する機会が増えるため、映像や世界観を重視するようになるのではないかと考えた。
 

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