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【LoL】流行ってるらしいから見とこ!エアプでも間に合うLJL観戦ガイド|2024 Spring Split

 2024年、リーグ・オブ・レジェンド(以下、LoL)が日本で流行っている。もはやLoLストリーマー界の一大イベントとなった『The k4sen』の人気拡大に端を発し、直近では有名VTuberや他ジャンルのプロゲーマーも立て続けにプレイし始めたことで、LoLに興味を持つ配信視聴者は格段に急増した。この記事を開いたあなたも、きっとその一人だろう。
 新しくLoLに触れたゲーム配信ファンの皆さんに一つ覚えておいてほしいのは、LoLの競技シーンはあらゆるeスポーツタイトルの中でも随一の面白さであり、このゲームが世界一のプレイヤー人口を誇る所以がそこにあるということだ。正直、プレイせずに観戦するだけでもめちゃくちゃ楽しめる。

 そして、まもなくLeague of Legends Japan League(以下、LJL)の新シーズンが開幕する。せっかくなのでこれを機に、世界を目指して戦う国内プロリーグにも目を向けてみてほしい。
 新規プレイヤーの方はもちろん、エアプの方にも楽しんでもらえるよう、この記事ではLoL観戦の予備知識と、LJLのチームや見どころを紹介したい。これさえ読んでおけば「俺はLoLわかんないのにDiscord鯖のみんながLoL観戦し始めて気まずい」なんてことは避けられるはずだ。


LoL観戦知識 超入門編

 LoLというゲームは「なんか5人で協力して敵陣をぶっ壊すバトル」くらいの認識でとりあえずは十分だ。LoLの世界は果てしなく奥が深く、細かな要素を挙げればキリがないが、ここでは試合を楽しむ上で必要な知識を限界まで最小限に絞って紹介する。

試合開始まで

 ゲームが始まる前に、両チームがその1戦における使用キャラ・使用禁止キャラをお互いに指名していくドラフトを行う。両チームは毎試合、マップの左下から右上に攻めるブルーサイドとその逆のレッドサイドに分かれるが、ドラフトはブルーサイドが先攻。
 強キャラの奪い合いや味方とのコンボ、敵との相性など、深い戦略性と駆け引きが存在するものの、最初は使うキャラを順番に選んでいるとだけわかっていればOK。

観戦カメラとマップ

 ゲーム内に移ると隅々に大量の数字やアイコンが並んでいるが、一旦は全部スルー。まずは画面で動いているプレイヤーたちがマップのどこにいるのかを把握しよう。注目すべきは、画面右下のミニマップだ。

 試合中に視点があちこち切り替わって何が起きているのかよくわからない……というのは、エアプeスポーツ観戦あるあるのひとつだろう。特にLoLは広いマップの各所でアクションが起こるため、画面の切り替わりが激しくなることもしばしば。
 初めのうちは、カメラが急に切り替わったと思ったらミニマップで白い枠を探して映っている地点を確認する癖をつけるといい。慣れてくると見覚えのある景色が増えて、すぐにマップ全体を識別できるようになる。
 そして、「今はマップのこの辺で戦いが起きてるっぽい」とだけ状況が掴めるようになれば、画面内の細かな情報はよくわからないままでも、なんとなく盛り上がれるようになる。

盛り上がりポイント

 観戦中は、とにかく本陣の破壊に直結する何かが起きたら「ナイス!」と叫んで盛り上がっておけばいい。具体的には以下の3つのポイントがある。

  1. 敵プレイヤーをキルしたらナイス!

  2. でっかい建物を破壊したらナイス!

  3. でっかい生物を討伐したらナイス!

 敵を倒せば敵陣を守るヤツが一定時間いなくなる、だからナイス。でっかい建物を壊せばさらに敵の本陣に近づける、だからナイス。でっかい生物を獲れば味方全体にバフがもらえる、だからナイス。
 これを繰り返して、たくさんナイスだった方が勝つ。よりナイスだった側がひっくり返されるようなことがあれば、それはすごい試合なので見られたあなたはラッキーだ。

 そして、これらのポイントがギュッと詰まった最大の見どころが、中盤以降に起こる5vs5の集団戦。高確率で互いにキルが多発し、勝ち残ったチームがオブジェクト(※建物や生物の総称)を獲得して、試合が大きく動く。

 大量のスキルが派手に入り乱れる戦場はまさにカオス。初心者には一見して何が起こっているのか全くわからないが、上級者でもよくわかってなかったりするので大丈夫だ。シンプルに、集団戦は最後に多く生き残ったチームの勝利とだけ理解しておこう。

「キルは多く取ったけどオブジェクトは取られた」等の例外ケースも多い。その場合、集団戦の後にトータルでどちらが得をしたのかをキャスター陣が解説してくれたりする。

有利・不利の判別

 観戦画面は常に情報であふれていて、そのどれもが試合の優劣を判断する材料になるが、初見で知っておくべきものは1つだけ。画面上部に表示されているトータルゴールドだ。

 キルやオブジェクトを取るとゴールドが獲得できる。ゴールドを使うと強い装備が手に入って、さらにキルやオブジェクトを取りやすくなる。したがって、試合中に有利・不利が気になったらチームの総ゴールド量を見比べて多い方が優勢と考えておけば概ね間違いない。
 数値の目安としては、差が1000ゴールド程度ならイーブン、3000ゴールドほどで明確に有利、5000ゴールドを超えるとほぼ勝ち確定に近い。

 選手個人の状況が気になる場合は、画面下部のクリープスコア(以下、CS)と呼ばれる数字を対面の選手と見比べるといい。CSについての詳細は割愛するが、基本的にこの数字の多い方が上手く試合を運んでいる。こちらは15CSほどの差があれば明確に有利と言えるだろう。

 隣に表示されるキル/デス/アシスト(以下、KDA)の数値も重要ではあるが、最低限の情報量にこだわる今回は無視しても可としておく(KDAが良い方がCSも多くなりやすいため)。一応、1キル≒15CSに変換できると覚えておくともう少し正確な比較ができる。
 また、キャラ性能によるマッチアップの有利・不利が存在するため「不利対面なのにCSが五分五分なので実質的には上手くいっている」といった例外ケースもある。

 これだけ理解すれば、たとえエアプでも観戦を楽しむ分には万全と言って差し支えない。ゲーム内の用語や細かい仕様などは、出会うごとに少しずつ学んでいくことをおすすめする。もちろん、実際にゲームをプレイしてみたって良い。
 試合を構成する要素が膨大な分、新たな知識を身に着けるたびに前まで気づけなかった見どころが次々と現れて、魅力が際限なく増していくのがこのゲームの醍醐味だ。どんどん面白くなるLoL観戦の世界を、心ゆくまで堪能しよう。

 以上、情報量を絞るため、無視できる部分は極力無視する方針で書いた。「さすがにエアプすぎる」「もうちょっとマトモに用語とか教えてくれ」という方には、LJL公式解説のリクルートさんが書いている以下のnoteをおすすめしておく。情報量がしっかり詰まっていながら、丁寧でわかりやすい。

LJL リーグ概要

 LoLの国際競技シーンには、年に2つの公式世界大会がある。5月に行われるMid-Season Invitational(以下、MSI)と9月~11月に行われるWorld Championship(以下、Worlds)だ。特にWorldsはシーズンの締めくくりとなる最も価値のある大会で、全てのプロチームはWorlds優勝を目指して戦っていると言っていい。
 これに伴い、各国のLoL競技シーンはMSI出場を争うSpring Split(春シーズン)とWorlds出場を争うSummer Split(夏シーズン)に大きく二分される。1月半ばの今がまさに春シーズン開幕の時期で、観戦を始めるにはこれ以上ないタイミングだ。

 日本でLoL観戦を始めるなら、やはりLJLから入るのが最適だろう。お隣のLCK(韓国リーグ。LoL界にて最強)の影響が強く、リスクを排してクリーンに勝利を目指す試合展開が多いため、観戦初心者でもゲーム内容を理解しやすい。
 LJLは、日本国内で唯一のLoL公式大会で、プロ6チームが出場するリーグだ。今年から大会システムが変更され、Pacific Championship Series(以下、PCS)の一員としてAPAC代表を争う形式となった。LJLの上位3チームは台湾・香港・マカオ・オーストラリアと合同のプレイオフに進出し、そこで2位以内(MSIは1位のみ)に入って初めて世界大会への切符を手にすることができる。

 世界から見た日本は、はっきり言って弱小地域。国際大会では最速敗退も当たり前のレベルだ。過去に一度だけWorldsベスト16まで勝ち上がったが、以降は目立った成績を残せずにいる。上記の大会システム変更も言わば業績悪化にともなうリーグ縮小であり、今シーズンは巻き返しのための第一歩と言えるだろう。

 国内での人気も高まる中、将来の明暗を分ける重要なシーズンが始まる。世界の舞台に返り咲く日を信じ、切磋琢磨を続けるLJL選手たちを応援しよう。


LJL チーム紹介

 各チームのロースターと簡単な概要、初めて見る方のための注目選手を1人紹介。チームや選手の評価については極力客観的な記述を心掛けてはいるものの、筆者の私見も多分に含まれることを了承いただきたい。
 なお、並びは昨シーズンのランキング順。【】内はチームタグ。


【DFM】DetnationN FocusMe

TOP:🇯🇵 RayFarkyレイファーキー@rayfarky
JG:
🇰🇷 Stealスティール@DFM_steal
MID:
🇰🇷 Ariaアリア@LoLAria00
ADC:
🇯🇵 Yutaponユタポン@yutapongo
SUP:
🇰🇷 Harpハープ@JiYoong_Harp

 リーグ創成期から最前線を走り続けるLJLの常勝軍団。昨年はチーム内にトラブルもあった中、底力を見せつけて前人未到の国内6連覇を成し遂げた。経験豊富なメンバーで固め直した今シーズンは、7連覇はもちろん、国際戦での更なる飛躍を見据えている。

注目選手:Yutapon
 現存するリーグ最古参プレイヤーにして、DFMのバンディエラ。熟達したハンドスキルとゲーム理解度の高さで、誰もがあっと驚くスーパープレイを量産し続ける。VALORANTでレディアント、CS:GOでグローバルエリート、OverwatchでTop500など、他タイトルでも一線級の実績を誇る図抜けたゲームセンスの持ち主。


【SHG】Fukuoka SoftBank HAWKS gaming

TOP:🇯🇵 Eviエビ@ebihuryahurya
JG:
🇰🇷 Forestフォレスト@LoL_F0REST
MID:
🇰🇷 Dasherダッシャー@lol_dasher
ADC:
🇯🇵 Marbleマーブル@marbleclz
SUP:
🇰🇷 Vstaヴィスタ@ohyoseong1

 パ・リーグの強豪球団、福岡ソフトバンクホークスのeスポーツ部門。昨シーズンはDFM相手にも全く引けを取らない大熱戦を繰り広げ、あと一歩のところまで追いつめた。今年も若鷹軍団の名に恥じない強力な選手たちを揃え、絶対王者の牙城を崩しにかかる。

注目選手:Evi
 名実ともに日本最強のトップレーナーでありながら、SNSや動画配信などの発信活動にも精力的なLJLの顔。その活躍は国内だけに留まらず、日本人史上初となるLEC(欧州リーグ)デビューを果たした。LJLに舞い戻った今季は、序盤から圧倒的な力でトップレーンを支配する「えびンモTV」の再演に期待が高まる。


【SG】Sengoku Gaming

TOP:🇯🇵 Kinatuキナツ@Luna_kinatu
JG:
🇰🇷 Ellimエリム@EllimLoL
MID:
🇯🇵 Kakkunカックン@isobekakuzou
MID:
🇰🇷 Jettジェット@jett0723)※リザーブ登録
ADC:
🇯🇵 Yuhiユーヒ@yuhilolz
SUP:
🇰🇷 Gaengゲン@Gaeng_lol

 福岡は天神に拠点を置き、『九州から世界へ』をスローガンに発展を続ける破天荒なチーム。おそらくGaeng選手が日本人枠となる夏に備えた、ミッド2枚体制で新シーズンに挑む。Kinatu選手の古巣としてさらに因縁深くなったSHGとの福岡ダービーにも注目だ。

注目選手:Gaeng
 2021年、世界ベスト16まで勝ち上がった最盛期DFMメンバーの一人。兵役のために惜しまれながらリーグを去ったが、満を持して今シーズンからLJLに復帰する。モチモチのベビーフェイスとは裏腹に攻撃的なプレイスタイルを得意とし、サポートに求められる全ての仕事を高水準で遂行しながらチームの勝ち筋を生み出す。

 スタメン出場できる外国人選手は1チームにつき2名までだが、LJLに長く貢献した選手(3年以上が目安)は日本人枠として登録できるようになる。上記のSteal選手、Dasher選手がこれにあたる。
 Gaeng選手は今年の春でこの条件を満たすと見込まれており、夏にはJett選手を起用したロースターが実現するものと予想される。


【AXC】AXIZ CREST

TOP:🇯🇵 Washidaiワシダイ@lolzenly
JG:
🇰🇷 Cassinカシン@lol_Cassin
MID:
🇯🇵 Eugeoユージオ@AurEugeo
ADC:
🇰🇷 SSolソール@SSol0304
SUP:
🇯🇵 Inoアイノ@Ino_aino41

 日本テレビ傘下のeスポーツチームAXIZが、昨年までのライバルCrest Gamingとパートナーシップを組み、一体となって新たなスタートを切る。才能の光る有望な若手と爆発力のある韓国人キャリーを擁し、逞しい存在感で上位チームを脅かす骨太なチームだ。

注目選手:Eugeo
 2019年の新人発掘イベントScouting Groundsにて頭角を現し、成長を続けている和製ミッドのホープ。プレイヤーネームの元ネタにも名前負けしない爽やか好青年だ。21歳という若さながら既にプロデビューから約3年半が経過し、下積みも十分。選手として中堅の域に差し掛かり、もうひとつ上の結果が求められる。


【BCT】Burning Core Toyama

TOP:🇯🇵 tol2トルツー@tol_2_
JG:
🇰🇷 ELイエル@BCELlol
MID:
🇰🇷 Joolジュール@Jool1230
ADC:
🇯🇵 HowLaハウラ@HowLa2003
SUP:
🇯🇵 Charleyチャーリー@LOLCharlieN

 昨年秋に富山県滑川市に拠点を移し、まちづくり活動に取り組んでいる地域密着型のチーム。今季はアカデミーリーグ出身のルーキーが多く、経験値では明確に劣る。ノーマークゆえに予測不能な飛び道具を活かし、なりふり構わず勝利をもぎ取りたいところだ。

注目選手:HowLa
 昨年のアカデミーリーグを制したキャリーの一角。日本サーバーでランキング1位に登り詰めたこともある有言実行の努力家で、「いずれWorldsで優勝する男」を自称している。若手ADCとしては一足早く目覚ましい活躍を見せているMarble選手の存在がある中、先輩たちに追い付け追い越せの精神でどこまで渡り合えるか。


【V3】V3 Esports

TOP:🇰🇷 TaNaタナ@TaNalol_
JG:
🇯🇵 HRKヒロキ@krhLOL
MID:
🇯🇵 Aceeエース@mugita1125
ADC:
🇰🇷 Biniビニ@GeonbinH
SUP:
🇯🇵 Hetelヘテル@heteel

 eスポーツ学科を持つ専門学校と密接な提携を組み、アカデミーからの選手起用を特徴とする育成重視のチーム。昨年までは外国人選手を起用せず5JP編成で奮闘していた唯一のチームだったが、ついに方針転換を決めた。日本代表をも勝ち取ったかつての輝きを取り戻すべく、頼もしい助っ人を迎えて再起をかける。

注目選手:HRK
 手練れの韓国人選手が多いポジションで、リーグ唯一となった日本人。名前の表記は「Fuma no KTR」に倣ったという、HIPHOP好きの今風な若手だ。アカデミー時代は積極的な攻めの姿勢で鳴らしていたが、昨年は格上を相手に苦しいシーズンを過ごした。2年目となる今季は味方の布陣も盤石になり、司令塔としての本領発揮が見込まれる。


配信情報

 試合の模様はTwitchの「RiotGamesJP」チャンネルにて全試合生配信。

 アーカイブやその他の動画コンテンツはYouTubeの「LoL esports JP」チャンネルにアップロードされる。

 LJLの試合は、週末の夕方~夜に行われる。開幕戦は今週末、1月20日(土)17時に開始予定。スケジュールはLoL esports公式サイトLeaguepediaで確認することができる。当日は一部ストリーマーによるウォッチパーティーも行われることがあるので、合わせて楽しみたい。

 また、忙しくて試合の模様を追えない方は、ハイライト動画を探すのもいいだろう。特に「LJL Highlights! Meanwhile in Japan」は非常に見やすい編集でアップロードも早く、強くおすすめできる。このチャンネルを紹介するためにこの記事を書いたと言っても過言ではない。絶対に登録しておいて損はない。


おわりに

 大変長くなってしまったが、これだけの知識があればLJLを楽しむための土台は完璧。世界一のゲームが世界一たる所以、充実した競技シーンの面白さを存分に味わってほしい。LJLをきっかけに、国際大会や海外リーグに興味の幅を広げてみるのも最高だ。

 最後にひとつ付け加えるとすれば、本配信のチャット欄は見なくていい。みんなで一体感を持って盛り上がれる一方で、心無い人間の吐きかける野次が目立ってしまうというのは、ゲーム配信好きの方ならご存じの通りだろう。
 LoLは他のゲームより岡目八目の性質が顕著で、見る側の粗探しが捗るゲーム性をしていることもあって、残念ながらコメントも荒れやすい。あらかじめ自衛しよう。

 せっかくLoLが流行っているのだから、ここで面白さを知っておかないのはもったいない。初心者でもエアプでも、いざ触れてみれば以外にどうとでもなる。今は「なんか流行りの難しそうなゲーム」でも、いつかは「世界最高のeスポーツ体験」になる。この記事がその一助となっていれば幸いだ。
 では、よき観戦ライフを!

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。面白かった、役に立ったと感じた方はリポスト等で拡散にご協力いただけると幸いです。

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