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劇団きのこ牛乳『鬼跡』稽古場日誌①

劇団きのこ牛乳 第13本目公演
『鬼跡』稽古場日誌
「You can't ruin a stew」ひと皿目 初顔合わせ

遡るコト、昨年12月。焦っていた。

10月の公演を病気で降板し、退院したものの、人生的に流れが悪いのに焦っていた。
とにかく流れを変えよう。部屋の模様替えや服を変えたりしたが、気持ち的には変わらず焦っていた。

流れを変えたい。

その頃には5月の公演にベイベーさんからお声をかけて頂き、次の舞台は決まっていたが、この流れの悪さのままベイベーさんに合流するのだけは避けたかった。

なので、動けるようになってから、1月2月に公演するオーディションを受けまくった。
何とか5月前に舞台に立って、流れを切り替えたかった。

だが、そう言う焦りが出るのかなかなか決まらず、余計焦りばかりがつのる。
そんな時期にオーディションサイトで劇団きのこ牛乳さんのオーディションを見つけた。

公演は7月、先の話。正直考えた。
まずは5月の公演に向けて動いている。その先を見据える余裕はその時はなかった。
今を何とかしたい。

だが、何か引っかかった。
感?としか言えない何か。
大きな要因は多分タイトルだった。

『鬼跡』おにあと?きせき?
そのタイトルからはおふざけ感は感じ取れず、真面目な芝居のように当時感じた。
そして、引っかかったらオーディションに送る。コレは徹底していた。とにかく送る。
先の話だったし、その先のコトなんて考える余裕もなかったが、送っていた。

年が明け、オーディションも受ける機会もあったが、なかなかご縁には結びつかず。
とは言え、1つご縁に繋がった。
2月、ゴールデン街劇場にて公演の舞台出演。役もメインでほぼ出ずっぱり。
ほっとしたのもつかの間、主演の病気とヒロインの降板により無期限延期。事実上なくなったにひとしい。

落ち込みはしなかったが、やはり流れの悪さ目立つ。変えたい、流れを変えたい。
また、オーディションには参加出来たが、そのワークショップオーディションがしょうもないものが多かったのも、流れが悪いと印象付ける要因だった。
そんな中で、劇団きのこ牛乳さんのオーディションからも参加出来ると通知が来た。

ワークショップオーディションの流れも悪い。焦りもある。そんな流れの中だったので、先の話のオーディション、あまり気にも止めてなかった。

そんな中、ベイベーさんから5月公演「不幸探偵」の出演者情報を頂いた。
その出演者の中に、劇団きのこ牛乳主催千草さんの名前があった。

オーディションを受ける劇団の主催さんと共演できる。
正直びっくりした。その時はまだきのこ牛乳さんのオーディションを受ける前だった。
先に共演するコトを知り、その後オーディション。どうしたもんか、とも思ったが共演は一旦置いといて、しっかりオーディション受けようと思った。

きのこ牛乳さんのオーディション当日。6名の参加者。
そしてオーディションを仕切るのは主催千草さんではなく、劇団ラビッシュよりお呼びした外部の作演出家根間健太郎さんだった。
13本目公演は根間健太郎さんの作演出家で行うとのコトだった。

根間さん、声は小さいが、しっかりとした言葉でオーディションを進めていく。
色々な役者表現の技法を示しながら、根間さんの演出家としての想いをオーディションメンバーに示しているようにも思えた。それが嬉しかった。
しょうもないワークショップオーディションが多く、演出家がどういう風に演出するのか、演出家が何を考えてるのかすら示さないワークショップオーディションが多い中、根間さんの、きのこ牛乳さんのオーディションは得るものが多かった。その1番は、演出家さんの想いが知れたコトだった。
意義のあるオーディションを久しぶりに受けられて、ご縁があるなしは関係なかった。価値のある時間を過ごせて満足だった。

その後、劇団きのこ牛乳さんからご連絡があり、7月公演『鬼跡』に参加出来るご縁を頂いた。正直ご縁は無いものと思っていたので驚いたが、また舞台に立てる機会を頂いたのは嬉しかった。

結局1月2月舞台に立てるご縁は無かったものの、その後オーディションを経て出演のご縁を頂いたもののベイベーさんの稽古期間と重なりご辞退したのを含めて、7つオーディション受けて3つご縁があったのはいい流れだと考えて、気持ちを切り替えて「不幸探偵」に望んだ。

劇団きのこ牛乳主催千草さん。
「不幸探偵」ではBチームのディーテ役でした。

慣れないアクションを必死に稽古している千草さんからは刺激を沢山貰いました。
此方と共演出来るのはやはり「ご縁」なのだろう、そう思った。
昨年オーディションに応募して、オーディション参加させてもらって、『鬼跡』に参加出来るご縁もらって、共演出来るご縁もらって、また共演出来る。

「ご縁」以外何ものでもない。

そしてありがたいコトに、作演出家の根間健太郎さんの作品を観劇出来る機会もあった。
今年4月、劇団ラビッシュの東京凱旋公演。
劇団ラビッシュは普段静岡で活動している団体さんなのだが、東京で公演するとのコト。しかも『鬼跡』を公演する東中野のラフト(アトリエ劇場)でもあったので、アトリエ劇場の雰囲気も見れて一石二鳥だった。

作演出家の根間さんの作品はしっかりとした日本演劇の会話劇だった。
ルームシェアしていたの3人の若者のルームシェア最後の日、との内容だった。
言葉のチョイス、会話の間、キャラクター、作風から根間健太郎の作品がしっかり観て取れた。
どの作品も会話があれば会話劇なのだが、特に主要メンバーの会話には根間さんのこだわりが感じられた。
ストーリーや流れ、ラストまでいい作品だった。
この人の作品に参加出来る。先品が観れてその作品が良くて、改めて参加出来る喜びと覚悟を受け取れた。

初顔合わせ当日。
ゴールデンウィークの公演後あっという間だった。
若干の緊張を含みつつ、会場へ。
1人本日まで公演に参加している方がおり全員集合とは行かなかったが、その日の参加者が揃い自己紹介後、作演出の根間さんから作品の解説が入る。

作品の解説、語られない裏設定。
各キャラクターの説明。キャラクター、作品への想い。演出家根間健太郎がとつとつと、そして力強く話していく。つい、話を書きとめる。
まだ全体の1部だが、余計な笑いもない。無駄に誇張した言葉もない。シンプルな台本の中に、様々に入り組む人間模様が早くも垣間見れる。
この先が楽しみで仕方がない。

読み合わせ。
ある程度キャラクターの説明はあったが、各々自らのベースをメインに読み合わせたように感じた。私もまったくのノープランだった。
ここから、新たな1歩を踏み出す。その表れのような読み合わせだった。

総出演者26名から7名で。
中野ザポケットから東中野ラフトへ。
作品、演出家、役者、空気、雰囲気、劇場。
全てが変わります。
大きい会場での見え方と小さなアトリエ劇場では違います。楽しみ方も変わります。
梅﨑信一の楽しみ方も変わると思うので、皆様作品共々お楽しみに!

稽古場日誌タイトル
「You can't ruin a stew」
意味は、シチューに失敗なし。
意味わかるかな?

劇団きのこ牛乳 第13本目公演『鬼跡』
@東中野RAFT

【日程】
2019年7月25日(木)~28日(日)

【作・演出】
根間健太郎(演劇集団Rubbish)

【キャスト】
千草(劇団きのこ牛乳)

梅崎信一
加藤優季
こまつざきさちこ
知久貴大(劇団AIR)
シゲキマナミ

ケンタウロス骨(劇団ジェット花子)

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