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au(KDDI)によるメタバースαUへの期待と課題:2024.1.26『DOUBLE: vol.1』観戦記 

ここに来て、NTTやauといった通信系大手がメタバースに力を入れてきているように感じる。ソフトバンクは韓国の最大手ZEPETOと組むのだろうか。いずれにせよ、今後の動向に注目である。

そんな中、1月24日(金)に開催されたauの音楽配信系メタバースといえるαUliveが開催した『DOUBLE: vol.1』を見てみた。有料ライブであり、価格はほぼ4000円とそこそこである。あの、我らが女神キズナアイ様を生み出したACTIV8と組んでいるということもあり、期待はあるが、果たしてその金額に見合っただけのものが提供できるのか、ある意味意地悪ではあるが、鑑賞の目的はそこにあった。

結論から言おう。ライブ配信としては悪くない。しかし、この配信は、決して従来のYoutubeライブなどに代表されるライブ配信を超えているわけではない。もちろん今回のメインがいわゆるVliverであるというよりも実在というか生身のアーティスト達なのであるということも大きいだろうが、基本的に今回はスクリーン自体を映し出すのではなく、そのスクリーンをさらにカメラで映し出した映像を配信していた。もちろんそれが演出であり狙いだったのであったのだろう。しかし、「メタバース」派の我々としては疑問と課題が残る。そう、「メタバース」を謳うのであれば、映すべきべきはスクリーン自体であって、そのスクリーンをバックに歌う人物ではないからである。たとえそのアーティストが実在の人物であっても、その人物はスクリーンの前に立つのではなくスクリーンの中にいなければならないのである。

と、まあ、こんなことを言っても恐らくαUにはαUなりの狙いと戦略があるのであろう。個人的な見解ではαUは現時点ではメタバースというよりも配信サービスに近い。この両者の違いは「参加する」ものなのか「観る」ものなのかの違いである。もちろんαUも「バーチャル空間に再現された渋谷や大阪の街を舞台に、アーティストによる音楽ライブや、利用者同士が集まって会話を楽しめる、さまざまなコミュニティに出会うことができるメタバースサービス」(https://alpha-u.io/about/metaverse)を謳っているのだが、やはり、というかつまりは、そこに人はライブ等を「観に」行くのである。

しかし、同時にここにαUへの期待というか可能背もあることもまた事実ではある。「メタバ―ス配信」であるならば、いわゆる「ライブ配信」とは違う、メタバースではなければできない配信が期待されるし、それはまだ完成されているとは言えないからである。今回の『DOUBLE: vol.1』も確かに演出として見るべき点、評価するべき点は決して少なくはなかった(特に音質はよかった)。しかし、同時にまだまだそこには一つの大きな壁、課題があることも感じさせされる配信でもあった。そう、繰り返しになるが、「メタバ―ス配信」はスクリーン(=平面=2D)という壁を抜けなければならないのである。そしてその答えはまだ見えていない。見えていないということは、即ちそこには課題と可能性があるということである。


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