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第3部 Vtuber/Vライバー論:キズナアイという「存在」(9)

9.欧州における複言語・複文化主義と異文化間教育(1)

平野の言うように「分人多元主義(dividual-pluralism)」は「文化多元主義(cultural -pluralism)」からきている。しかし、いわゆる伝統的なジャズから出発し、ロックやファンク、さらにはヒップホップと言った他ジャンルと融合(フュージョン)していったマイルス・ディビスがその例に挙げられているように、「文化多元主義(cultural -pluralism)」は単に文化の混ざり合いを唱えているものなのだろうか。

個人的な見解ではあるが「pluralism」という言葉は「多元主義」よりも「複数主義」という言葉を当てた方が適切であろう。事実、欧州評議会の言語政策部門による造語である「plurilinguisme」「pluriculturalisme」(いずれもフランス語)は日本語では「複言語主義」「複文化主義」と訳されている。欧州評議会言語政策部門は文字通り、欧州での言語教育政策を担当している部署であるが、「plurilinguisme」「pluriculturalisme」はそこでの鍵となる概念である。西山(2010)はCozte et al.(1997)(西山,2010,pp.25-56より重引)の定義を引用しつつ複言語・複文化主義/能力について解説している 。

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