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9mm歴代タイアップを振り返る~新曲記念

皆さんの推しバンドは、楽曲が何かのCM、ドラマ、アニメ主題歌、何かのテーマ曲になったことがありますか。多くの有名バンドから、マニアに人気のバンドまで、いろんな楽曲が使われてきました。邦楽界では、楽曲がいろんな企業の商品、作品、イベントと組まれて、流れることを「タイアップ」と呼ばれています。

ブリの推しロックバンドである、9mm Parabellum Bullet(以下9mm)はメジャーデビューした2007年以降、楽曲に多くのタイアップが付くようになりました。ロックバンドゆえに、大衆に向けて目立つタイアップ内容ではありませんが、彼らの楽曲と組むために、どこからか呼ばれることは、すごいと思います。
2024年に結成20周年を迎えた9mmは、新曲『カタルシス』を今年6月に配信することを発表しました。新曲は、全国夜の遊園地イベントで開催される脱出ゲーム、「夜の海賊遊園地からの脱出」のテーマソングとして、タイアップが決定しました。今までにないタイアップで、9mmファンは新曲への期待とともに、イベントとのタイアップに驚きました。

2024年、全国夜の遊園地イベント「夜の海賊遊園地からの脱出」
プロモーション写真

新曲のタイアップ発表ではしゃいだ勢いで、この記事を執筆しました。9mmが今までタイアップになった有名な楽曲と、タイアップ作品の簡単紹介をまとめました。音楽番組のテーマ曲といった、短期間で使われたものは除きます。
9mmメンバーは以下、卓郎(ボーカリスト)、滝(ギタリスト)、和彦(ベーシスト)、ちひろ(ドラマー)と呼びます。



★Discommunication (2007)

2007年に発売された、9mmのメジャーデビュー楽曲です。この楽曲は最初に、音楽ランキング番組『JAPAN COUNTDOWN』のテーマ曲に使われていました。その後、2008年に音楽アーケードゲーム『GuitarFreaks』(ギターフリークス)、『DrumMania』(ドラムマニア)の収録楽曲に提供されました。ギター、ドラムというバンドに重要な楽器を扱った、音楽ゲームで、実際のバンドの楽曲が使われて、当時の9mmファンは遊びたくなりました。このゲームシリーズは、2011年にサービス終了となりましたが、邦楽ロック好きなゲームファンを楽しませました。
ちなみに、9mm本人たちは音楽チャンネルの企画で、ゲームに挑戦していました。でも、実際の楽器と違って、卓郎たちは思うように暴れられない音楽ゲームのコツに困りました。一方、ちひろは楽々とゲームをクリアしました。

音楽アーケードゲーム
『GuitarFreaks V5』(写真左)
『DrumMania V5』(右)


★Punishment (2007)

9mmのメジャーデビュー初のアルバム『Termination』に収録されている、アルバム楽曲です。9mmのライブコンサートの最後に演奏される、定番の高速ハードロック楽曲です。
この楽曲は2008年、音楽アーケードゲーム『太鼓の達人』に、収録されました。シングル楽曲ではなく、アルバム楽曲が収録されるという、意外な選曲です。さらに、こういうJ-POPジャンルの楽曲が音楽ゲームに収録されると、ゲームの仕様上、楽曲の一部がカットされますが、この楽曲はフルバージョンで収録されました。収録当時は、J-POPジャンルでは速度と譜面構成が最難関でした。ドラムを終始叩く、この楽曲はゲームになっても、手が疲れます。
2011年に、過去に配信されたスマホゲーム『太鼓の達人プラス』では、『Punishment』に加えて、シングル楽曲『新しい光』が配信されました。現在のアーケード版では収録されていませんが、音楽ゲームファンの間で、意外な楽曲が知られていきました。

音楽アーケードゲーム『太鼓の達人12 増量版』(2008年)
同ゲームのマイナーアップ版に
J-POPジャンルとして『Punishment』が追加された。


★Wanderland (2008)

2008年に発売された、9mmの初めての両A面シングル楽曲です。テレビアニメ『RD 潜脳調査室』(アールディー せんのうちょうさしつ)のオープニング主題歌です。主人公は現実で老人の姿ですが、デジタル空間の中では青年の姿で、デジタル空間の安全を守る仕事に関わるようになります。VR空間とロボットが浸透した、未来社会を描いたSFアニメです。
9mmはこの楽曲で初めて、アニメ主題歌に選ばれました。楽曲制作の時、滝は「アニメ主題歌は70秒」という時間を意識して、70秒の楽曲にしようとしました。だらだらと長い時間にしない滝の作曲意識です。結局、2分半の楽曲になりました。作曲に苦労したと、滝は語っていました。

アニメ『RD 潜脳調査室』(2008年)


★Vampiregirl (2008)

9mmの2枚目のアルバム『VAMPIRE』の表題曲です。2008年にアルバム発売されて、2009年にドラマ主題歌となりました。テレビドラマ『妄想姉妹〜文學という名のもとに〜』のオープニングとエンディング主題歌です。9mmにとって、初めてのドラマ主題歌でした。
ドラマのストーリーは、父親の死から、残された三姉妹は、父親が生前残した日本の名作文学を読んで、父親の遺言を探します。文学の官能的な世界観に自分を合わせ、妄想にふけっていく内容です。次第に父親の遺言に隠された謎に近づいていく、文学官能ミステリードラマです。
この楽曲はライブコンサートで盛り上がる人気楽曲ですが、ドラマ主題歌だったことを知る、9mmファンは意外と少ないです。

テレビドラマ『妄想姉妹〜文學という名のもとに〜』
(2009年)


★命ノゼンマイ (2010)

2010年に発売されたシングル楽曲で、9mmにとって、初めて映画主題歌に選ばれました。松本光司の漫画『彼岸島』の実写映画のエンディング主題歌です。この楽曲は9mmのシングルで、トップ3に入るくらい、収録時間が5分と長いです。
『彼岸島』は、行方不明の兄を探す主人公が、吸血鬼がはこびる島へ行き、兄を助けるために奮闘するホラーサバイバル作品です。9mmメンバーは、自分たちの楽曲のために、この映画を見に行きました。映画のDVD特典映像では、9mmメンバーのインタビューが収録されました。卓郎は楽曲の意味について、こう語りました。9mmが歌詞をつづって、リスナーに何か求めるわけではないと、感じたままに聞いてほしいと述べた内容でした。

「特に何もないです。どの曲でもそうなんですけど、聞いた人に対して、何かこういうリアクションしてほしいとか、こういう気持ちになってほしいとか。曲の世界観を表して、言葉を乗せているようにしているだけなので、これと言って、僕が口で言えるメッセージはないです。全部そうです」

菅原卓郎、映画特典映像のインタビューより(2010年)
映画『彼岸島』(2010年)

ちなみに、「もし映画に出るなら誰を演じたいか」と質問された時、和彦は「死体の役」と答えました。


★インフェルノ (2016)

個人事務所を立ち上げてから独立後、タイアップがしばらくなかった9mmでしたが、久しぶりのアニメ主題歌が来ました。9mmにとって、2度目のアニメ主題歌です。三浦建太郎の漫画『ベルセルク』のアニメのオープニング主題歌となりました。中世ヨーロッパのような魔法の世界で、大剣を抱えた剣士と、相棒の妖精が行く、旅と戦いを描いた、ファンタジーアクション作品です。
この楽曲は、9mmのシングル楽曲で最も収録時間が短く、90秒しかありません。滝が『Wanderland』の時に意識した、短い楽曲構成を実現しました。

アニメ『ベルセルク』(2016年)


★サクリファイス (2017)

『インフェルノ』から11ヶ月後に発売されたシングル楽曲です。『インフェルノ』と同じ、アニメ作品『ベルセルク』のストーリー後半のオープニング主題歌になりました。こちらは3分もある、濃いロック楽曲です。
アニメ主題歌となって、9mmの名が少し盛り上がりました。日本国内だけではなく、海外のアニメファンのなかには、主題歌から9mmのことを知った方々がいました。

アニメ『ベルセルク』オープニング映像より
(2016年)


★キャリーオン (2018)

9mmにとって、2度目の映画主題歌です。三羽省吾の小説『ニート・ニート・ニート』の映画作品の主題歌となりました。謎の家出少女に振り回されることになった、ニート3人組の青年が、北海道を舞台に珍道中となる、青春ロードムービーです。
バンド結成15周年に近づいてきた、9mmの勢いがこめられた2ビートの疾走感ある楽曲で、配信とライブ会場限定CDとして、発表されました。後に、2019年のアルバム『DEEP BLUE』に収録された時、『Carry On』と英語表記に変更されました。

映画『ニート・ニート・ニート』(2018年)


★Blazing Souls / Burning Blood (2020)

9mmで歌詞のないインスト楽曲で、配信限定で2曲発表されました。『Blazing Souls』は、新日本プロレス開催の「G1 CLIMAX 30」大会テーマソングとなりました。大会とコラボレーションした、限定ミュージックビデオが制作されました。もう一方の『Burning Blood』は、新日本プロレス中継番組「ワールドプロレスリング」の挿入歌となりました。9mmのタイアップ楽曲で、歌詞のないインスト楽曲が決定するのは、初めてです。
インディーズ時代に、プロレスのようなミュージックビデオを出した9mmが、本物のプロレスとコラボレーションになるとは、偶然のつながりとなりました。

2020年、「G1 CLIMAX 30」試合のシーン。



★新たなコラボレーションへ

以上、9mmの歴代タイアップ楽曲を振り返りました。歴代タイアップを振り返ると、若い邦楽ファン向けのタイアップから、彼らの活動が長くなるにつれて、いろんなジャンルのタイアップが広まりました。9mmファンでも、意外と知られていないタイアップもあります。時々、いろんな番組のBGMに、彼らの楽曲が引用されることもあります。
今回のタイアップ付き新曲『カタルシス』は、2023年のバンド結成19周年記念の武道館ライブで、初めて披露されてから、ついに明かされていきました。バンド結成20周年で盛り上がる2024年の9mm、新たな世界を見せて、バンドの存在が誰かに知られていくのが楽しみです。


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