【台本】「お金」がない世界に行ってみた。


【登場人物】

和文(かずふみ):働きたくないけれど、お金は欲しい。
もしくは、お金は存在していないけれど、経済は回っている「お金のない世界」に住みたいとBに話す。実は、Bがアバンダンティアとも知らずに。

お金のない世界へいく代金として、名前を差し出す。
名前を差し出した後はAと名乗る。

最終的にお金のある世界に戻りたいといい、戻してもらう。
戻るときに、文輝(ふみてる)という新しい名前をもらう。

B(アバンダンティア):この話の途中までは、Bとして出てくる。
途中から「アバンダンティア」として出てくる。同一人物。

ゼウス:ご存じ全知全能の神

~ここから〜

和文(かずふみ):あ~あ。金がほしいなぁ。
B(実は、アバンダンティア):そう?なくても結構困らないと思うけど?

和文(かずふみ):そうかぁ?俺はやりたいことが多いから、足りないんだよ。でも、働くのはめんどくさい。

B(実は、アバンダンティア):・・・・・・。
B(実は、アバンダンティア):つまり、働きたくないけれど、お金が欲しい……と。

和文(かずふみ):ああ。もしくは、お金のない世界で生きたいね。
お金は存在してないけど、経済は回っている。
そんな世界があったら、行ってみったいね。

B(実は、アバンダンティア):ほんとに行ってみたい?
和文(かずふみ):ああ。

B(実は、アバンダンティア):わかった。じゃぁ。その願い、叶えてあげる。

和文(かずふみ)、この天然石(読み:いし)をぎゅっと握って。
そして、この水を飲んでよ。

和文(かずふみ):ああ。(左手で天然石(読み:いし)をギュっっと握りながら、水をごくごく飲む)

B(実は、アバンダンティア):全知全能の神ゼウスよ。
我(われ)の願いを叶えたまえ。我が名は、アバンダンティア。
豊饒(ほうじょう)・繁栄・成功・幸運の神である。

ゼウス:おお。アバンダンティアか。久しぶりじゃの。
今日は何用(なによう)じゃ。

アバンダンティア:今日は、わたしのともだち和文
(かずふみ)の願いを叶えてやってほしくて来た。

ゼウス:ほう。友とな。

アバンダンティア:うん。

ゼウス:して。その願いとやらはなにかな?

アバンダンティア:お金は存在してないけど、経済は回っている
「お金のない世界」に住みたいんですって。

ゼウス:なんだ。そんなことか。よいぞ。
その願い叶えてやろう。

アバンダンティア:ありがとうございます。

ゼウス:よいよい。気にするな。

もし、「お金のない世界」に行ってみて、
こんな世界イヤだと思ったら、また私を呼びなさい。
もとの世界に戻してあげよう。

もちろん、「お金のない世界」が気に入ったのなら、
住民登録の手続きをするがよい。
そうすれば、もう君は、その世界の住人になれるから。

さぁ。行っておいで。
そう言ってゼウスは、ボクを「お金のない世界」へひょいっと
移動させた。

そのための「代金」は「名前」だった。

だからいま、ボクには、名前がない。
あるのは、何者でもないことを示す記号「A」これだけだ。

他にはなにもない。

こういうと、「まだ何者でもないなら、なんにでもなれるってこと。」
という人がいる。

大変のんきである。

何者でもないということは、価値がない。
そうともいえるのではないか。とボクは思う。

なぜなら、「唯一無二の存在」である存在として生きるには、
「何者かである必要がある」。
ゆえに、「何者でもないこと」は、無価値のようにボクには思えた。

だから、自分のことが嫌いで嫌いで仕方なかった。
自分の才能のなさ、ポンコツさがイヤでイヤで仕方なかった。

ボクには何もない。そう思っていたから。

なのに……。

あっちの世界(お金のあった世界)で体験してきた話をするだけで、
こっちの世界(お金のない世界)の人は、とても目をきらきらとさせながら、ボクの話を聞く。

またあるときは、ボクが何気なくしたことに対して、大変感動してくれた。
そして、なにか対価をと申し出てくれた。

けれど、ここは「お金のない世界」

もとの世界のように、わかりやすく「お金」を渡す。
ということができない世界。

では、どうやって「感謝」を形にしたらいいのだろう。
そう思って色んな人に聞いて回った。

まるで哲学者のように。
毎日毎日聞いて回った。

けれど、答えが出ない。

ボクが聞いて回った人は、
みんな賢者と呼ばれる人ばかりなのに。

それでも、これだ!という答えが出ない。

そこでボクは、こう考えた。

人によって異なる感謝というものを一番、客観的にあらわせるのが、
実は、「お金」なのではないか。

そう考えると、「お金のない世界」というのは、
案外よくないのではないか。

そんな風にも思えてきた。

すると、ゼウスがボクに聞いて来た。
この世界は、気に入ったかな?

A:いいえ。ゼウス。

私は、この世界より、元の世界の方が好きです。
どうぞ、元の世界へ戻してください。

ゼウス:よかろう。
ただし、条件がある。

A:なんでしょう。

ゼウス:己の持つ、才能にはやく気づき、開花させ、
世の中を豊かにすること。

それを約束できるなら、元に戻してやろう。
そして、その才能がなにか気付くためのヒントとして、
新たな名前をあげよう。

A:新しい名前?

ゼウス:ああ。そうだ。

A:どんな名前ですか?

ゼウス:文輝(ふみてる)だ。

とゼウスはいい、新しい名前と共に、ボクをもとの世界に移動させた。

なんだかとても身体が軽くてここちよい。
ずっとこうしていたい気もしたけれど、どうやらそれはムリみたいだ。

世の中は、キミ(文輝)の才能が花開くのを待っているから。
はやくこちらの世界に降りてきて、輝いてくれないと困るんだ。

ふわふわした中にしっかりとした軸を持つ
きみの美しい才能をはやく見せておくれ。

そして、輝かせておくれよ。世界を。自分を。未来を。
そんな声が聞こえた気がした。

【完】










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