【サシ劇台本】信長と秀吉とアイスクリームと

信長:気に入らん!!

秀吉:どうなさいましたか?信長様

信長:儂(わし)の……儂(わし)のアイスクリームが、
なぜお前より少ないのだ?

秀吉:はっ?アイスクリーム?

信長:そうじゃ。アイスクリームじゃ。

秀吉:(心の中で、ためいき)
信長様……。またお忘れになっているのですか?

信長:ん?まただと?

秀吉:ええ。

信長:どういうことだ?

秀吉:恐れながら申し上げます。

信長:うむ。よいぞ。申せ。

秀吉:ありがとうございます。では……さっそく。

信長:うむ。はよ申せ。

秀吉:…わたくしが、「おやかた様 本日のアイスクリームは、
どれになさいますか?」とお訊ね(おたずね)したところ、
全部を少しずつ、持って来い!と仰いました。

信長:ほんとか?

秀吉:ええ。

信長:だとしても主の儂(わし)より、お前のが多いのは納得いかん。

秀吉:(心の中で深いためいき)いいですか?信長さま。
ひとつひとつの量はたしかに、信長さまのは、少ないです。

けれど、トータルで考えると、信長さまの方が多いのです。
それに、わたくしは、バニラのみですが、
信長さまは、様々な味を たのしまれたではありませぬか。

信長:うぐっ……。

信長:うるさい!うるさい!うるさい!
ともかく足りんのじゃ!
はようもっと持ってまいれ!!

と子どものように駄々(だだ)をこねる信長が、
とても愛おしくなった。

こんなに乱暴そうで、「うつけ」呼ばわりされてる男が、
「アイスクリーム」ひとつで、怒る。それがかわいくて仕方ない。

そして、この人のためなら、命も惜しくないと、
俺(秀吉)は、今日も日の本(ひのもと)を変える男のもとで働いている。

いつか自分も「おやかた様」のように、日の本(ひのもと)を変えられる
いい男になるために。

【完】


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