【口実が欲しかった。】

口実が欲しかった。       

あなたと会う口実が
あなたと話す口実が
 
だけど、もうそんなこと
考えなくてもいいみたい。
 
だって・・・

ハッキリとしたから
それがよかったのかなんて
わからないけど
 
なんだか力が抜けて
しゃがみこんでいた。
人目も気にせず
 
ふだんストレスになるほど
人目を気にする私が
肩を震わせながら

笑いと涙が混ざった表情で
アスファルトに向かって
ひとこと。

そっか。

うん。

そっか。

じゃぁ。そういうことで。
と言葉にならない言葉をつぶやいていた。
 
    

その時あなたは、こう言ったよね。

ああ。そうだよ。と。
だからほら、立て。

ほんとにバカだなぁ。
大丈夫だから来い。

世話の焼けるやつだ。
といいながら、

すっと手を差し伸べてくれたよね。
だけど、私はその手を振り払った。
辛くなるから。

バカかもしれないけど
素直な気持ちなんて
邪魔にしかならないから、

だから振り払った。

今の私に必要なのは
恋じゃない。
あなたじゃない。

だからと言って他の誰かを
好きになったわけでもない。

じゃぁ何がそこまで突き動かすんだ?
というあなた。

それにどう答えていいかわからない私。

でもね
これだけは言える。

私は私でいられるところにいく。
ただそれだけ。それだけなのと。

そう答えるのがやっとだった。

それから5年。

私とあなたはまた会ってしまった。
互いにすぐわかった。

そして・・・    

その後どちらからとともなく、

あの日行った喫茶店へ行き
あの日頼んだものを頼んだ。

味は・・・
わからなかった。

でも気持ちはわかった。
今度は素直になろう。
素直になれる気がした。

でも、こわかった。
逃げたくなった。

その時、あなたが
すっと差し出したのは

私が聞こえないぐらい小さな声で
ほしいなぁ。と言った
万年筆とノートだった。

それを見た時わかった気がした。
あゝ。そっか。そうなんだ。

じゃぁ受け取ろう。
こわいけど。

そんなことを思いながら
受け取った。

嬉しくて泣けてきた。
女の子でいいんだ。
と思えてきた。

けど、ちょっと悔しい気もする。

5年も会ってないのに覚えているなんて
ずっと大事にしまってあったなんて

卑怯にもほどがある。
ほんとズルい。

だけど許したげる。
この希望を叶えてくれたら

それはね・・・ 

またこうして会ってほしいということ。
多くは望まないから。

恋人とか友達とか
そんな肩書きはいらないから

ただ、昔、時間を共有したことのあるひとりとして
あなたの人生に関わったひとりとして
会ってほしい。

何も話さなくてもいいから。

ありがとう。聞いてくれて。
それじゃ。また。 

あなたのファンより

はじめましてたかはしあやと申します。 記事作成・キャッチコピー・タイトル付けを 生業としておりますが このままだと止めないと いけなくなるかもという位 金銭的に困っていますので、 サポートをしてもらえると 泣いて喜びます。 どうぞよろしくお願い致します。