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『ホワイトストライプスという姉弟』【音楽】

The white stripes

The white stripes は1997年にアメリカはミシガンにてギターボーカルのジャックホワイトとドラムのメグホワイトの二人で結成されたガレージロックバンドです。

2人という少人数ではあるものの、彼らが織りなすグルーブに満ち溢れたブルージーガレージサウンドの迫力はシンプルなのに幅があり、それはもうリスナーやオーディエンスを圧倒するものです。

ボーカルのジャックホワイトはデトロイト南西の中産階級の人々が多く暮らす地域で、 厳格なカトリック神父の両親の元で育てられました。彼の音楽がどこか悪魔崇拝的で歌詞にも悪魔や神のことが歌われていることよりカトリックが彼に与えた影響は非常に大きなものでした。

幼い頃から両親が働く教会で手伝いをする傍ら、5歳でドラムを始め小学生でドアーズ、Zeppelin、ピンクフロイド、10代ではサンハウス等々の20〜60年代ブルースロックに傾倒し、そういった音楽の影響の基、音楽の制作をスタートしていきます。

15歳になったジャックは、ウィスコンシンにある神学校に合格し、両親と同じ神父への道を進み始めていましが、神学校では音楽ができないと思い、一般の州立高校へ進学しビジネスを専攻しながら音楽活動もしておりました。

高校最後の年にメグが働くレストランで二人は出会い、コーヒーショップや音楽ライブ、レコードショップ等でデートを重ね1996年9月に二人は結婚。現在のジャックホワイトのホワイトはメグの苗字から取られている形になります。

ジャックがギターの練習をしていると、メグがふざけてドラムを叩きました。そのプレイを気に入ったジャックはメグとバンドを結成することにします。バンド名は、メグの好きなキャンディーにちなみ、“ホワイト・ストライプス”と名付けられました。

彼らの赤と白のイメージはここからきており、メグの遊び心に富んだリズムの取り方、間の置き方、赤と白で染められたコンセプトの基作り出された若さを紛らわすバンドイメージと共に二人は姉と弟という関係性でバンドをスタートします。

今ではインターネットがあり二人の関係性は明白ですが、二人の織りなすグルーブは息があっており、顔も少しだけ似ていたので幼い頃の私は本気で二人が兄弟だと信じていました。

1997年8月に二人はデトロイトの小さなバーでライブを開始し始めます。

同年二人は小さなインディーガレージロックのインディーレーベルを運営するデイブビュイックという男に彼が運営するイタリーレコードでシングルをリリースしないかと問われますが、

ジャックは一度断りますが、その後承諾しlets shake handsという曲のシングルを1000枚限定でリリースします。

翌年カリフォルニアに拠点を置くシンパシーオブレコードインダストリーとレコード契約をした彼らは後のファーストアルバムにも収録される"The Big Three Killed My Babyをリリース後1999年6月にデビューアルバム The White Stripesをリリース

発表された当初はバンドの知名度もなく発表された当初はバンドの知名度もなくビルボードにもチャートインしませんでしたが、バンドのブレイクした後に再評価されることで、2004年に5年という歳月を経てフランスでアルバムチャート159位を獲得。

その後もアメリカのデジタル音楽誌『Paste』が選出した「1990年代のベスト・アルバム90」では50位にランク・インしました。

アルバムは根本的に彼らのルーツを体現するブルースサウンドで今後彼らがリリースしていく音源のベースがこのアルバムには詰まっています。

カートコヴァーンがこの世からいなくなり、アメリカの音楽が死んだと言われ始めた中で時代と逆境した音楽を奏でる若いジャックが評価されるのは数年後のことです。

今作にはカバー曲も多数収録してあり、二曲目「ストップ・ブレイキング・ダウン」はロバート・ジョンソンのカヴァーでジャックの独特なテンポとエッジな聞いたギターはロバートの原曲を自分のものにしています。、「ワン・モア・カップ・オヴ・コーヒー」は、ボブ・ディランがアルバム『欲望』(1976年)で発表した曲のカヴァーでデトロイトの荒廃した街を想起させセント・ジェームス・インファーマリー・ブルース」トラディショナル・ナンバーのカヴァーを披露するなどカバー曲をも自分たちの色に塗り替えて奏でています。

モータウンでブラックミュージックにインスパイアを受けた少年の叫びがこのアルバムには詰まっているる。余計なものは使わずにブルース一発で決めてやるという威勢の良さと2人だけの遠慮のない空間が織りなすサウンドはどのブルースよりも鮮烈でそれがホワイトストライプス唯一無二の頭に勝ち込んでくる重く裂けるようなサウンドが飛び込んでくる。

彼らの公式はこのアルバムで完成されているのです。

01. Jimmy the Explodersからクリーデンスリバイバルを彷彿とさせる04. Suzy Lee

で劇薬ブルースをぶちかましたと思ったらアコースティックでスローテンポもいけますよと言わんばかりの05. Sugar Never Tasted So Good

11. Do はマイケルジャクソンを彷彿とさせるメロディーにブルースをぶちこみ

07. Cannonや08. Astro 10. When I Hear My Name の独特なリズム感と荒削りで擦り傷を負わされるようなギター

寂れた景色を彷彿とさせるですが、サウンドは生き生きとしている。

不思議な力を兼ね備えたアルバムです。

1曲の長さも3分にまとめられコンパクトに違うタイプのリフとリズムが流れるように流レテきます。

ファーストアルバム発表という1999年の激動の年を終えた二人は翌年2000年に離婚します。

ジャックはこれでバンドは終わり次に控えていたライブは他のサポートメンバーに頼もうと思っていたところメグが離婚はしたけどバンドは続けるべきだとジャックを説得しバンドは存続をします。

そして同年2000年に前作と同レーベル 発表された De Stijlはジャックの家にあったアナログテープで録音されタイトルはオランダで起きた芸術運動デ・ステイルに由来しており、アルバムのアートワークやブックレットには数々の有名芸術家の作品が使用され、このアルバム自体も元々ジャックが家具屋で働いていたこともあり、デステイル運動を起こしたヘリットリートフェルトに捧げられました。

アルバムは1stとは違い音色がクリーンになり、より聴きやすくだけどジャックの特色が前作と変わらず出ている作品です。

60年代70年代のブルースを現代版にアップデートするブルースの再定義をしたアルバムだと思っています。

モダンアートのアルバムカバーにもある通り、 このアルバムはブルースはいわゆるブルースではなくてもよく、 色々な音楽の要素が混ざってても良いとジャックの解釈が含まれる作品であり

01. You're Pretty Good Looking (For A Girl)はもはやポップサウンドとは言っても過言ではないほど1stでは考えられない明るさを持ち合わせ

03. Little Birdでは同じリフから繰り出されるアレンジの違うテンポに終盤での

畳みかけ。このこのリフの連続を繰り出せるジャックはマジモンの天才です。

05. I'm Bound To Pack It Upの軽やかなギターから

サンハウスのカバー曲06. Death Letterをまたもや自分の色で塗り替え

後半では畳みかけるようにジャックの気持ちを爆発させ

めぐの戦車のように地響きをゆらす

10. Let's Build A Home

11. Jumble, Jumble

は聴いていて同じリフなのに全く飽きずに逆に徐々に高まります。

最後の曲13. Your Southern Can Is Mineでは彼らのこれまでにはない遊び心を出すことで

アルバム全体をデステイルという現代アートのように 一貫性のある型の中にある自由で型のない表現方法を構築しています。

このアルバム母国アメリカでは総合アルバム・チャートのBillboard 200に入らなかったが、2002年には『ビルボード』のインディペンデント・アルバム・チャートで38位を記録しました

この年二人は初来日を果たし、2017年に閉店してしまった、

ジャックが好きそうな狭くて汚い老舗新宿JAMで2000年10月に日本初ライブを敢行。

当時日本でのホワイトストライプスの知名度はありませんでしたが、熱狂的なファンが集まったそうな。

2001年7月、インディーズ3rdアルバム『ホワイト・ブラッド・セルズ』をリリースし、翌年同じアルバムを大手レーベルのV2から再リリース、これがイギリスでヒットを起こしそれがアメリカにも広まり当時イギリスとアメリカで革命的成功を納めていたストロークスと共にガレージロックリバイバルムーブメントと称され大成功を納めます。

本作収録曲の多くはジャックが過去に作った「未完成の忘れられていた曲」を改作したもので

今作に収録されている曲のいくつか結成時のライブでも披露されています。

今作は前作で再定義したブルースという概念を固め、

1stと2ndをハイブリットし進化させた彼らの方向性を決定づけるサウンドになっております。

1曲1曲の構成がとても複雑でこれまでの繰り返されるリフというよりも 1曲の中で移り変わる変幻自在なジャックのギターに酔いしれます。

01. Dead Leaves And The Dirty Groundは深みのある重厚なギターに

Dead leaves and the dirty ground When I know you’re not around Shiny tops and soda pops When I hear your lips make a sound When I hear your lips make a soundという韻の踏まれた歌詞でしっとりと重厚に始まりMoldy peachesを彷彿とさせる02. Hotel Yorbaはノリノリでアコギの軽いサウンドのギャップで引き込み04. Fell In Love With A Girlでこれからくるパンクロックムーブメントの先駆けのような激しくも駆け抜けるようなサウンドJET好きならイチコロだと思います。

09. We're Going To Be FriendsのしっとりとしたアコギトラックはWSの中でも指折りに個人的に好きな曲です。

単調なメロディーなのに弾いてみるとリズムの取り方や独特な魔の置き方、ジャックのすごさが改めてわかります。

10. Offend In Every Way 11. I Think I Smell A Rat はジャックのうったいかけるような声とトレンディーなギターサウンドどこかウエスタンな雰囲気も持ち合わせていてhateful 8やイングロリアスバスターズを連想させます。

発表されたアルバムは非常に好評で

『ローリング・ストーン』誌のレビューにおいて5点満点3.5点を付け、「逃れがたく不思議な不朽のメロディと、汚らしくて脳を掻き回すようなリフを融合しており、キンクスとメルヴィンズの両方を想起させる」と評し『ローリング・ストーン』誌が選出した「2000年代のベスト・アルバム100」では19位に選出されています。

『ホワイト・ブラッド・セルズ』発表後の翌年

彼らはホワイトストライプスの名を世界的に有名にするアルバムを発表

2003年に伝説のアルバムエレファントをV2からリリースします。

アルバムはロンドンで2週間でレコードされ、バンド初となるメジャーレーベルからのリリースでした。

01. Seven Nation Armyはもう皆んなが知っているロックアンセムになりましたが、

この曲のリフは、ジャック・ホワイトがメルボルンでサウンド・チェックをしている時に生み出されました。ジャックは昔、救世軍(Salvation Army)を「Seven Nation Army」と思い込んでいたことがあり、それが曲名の由来となっていて、リフを考えた当初はそんないいリフトは思ってなかったそう。

この曲のリフは、ジャック・ホワイトがメルボルンでサウンド・チェックをしている時に生み出されました。ジャックは昔、救世軍(Salvation Army)を「Seven Nation Army」と思い込んでいたことがあり、それが曲名の由来となっていいます。

同じメロディーが違う音色でどんどん迫力を纏い歌われる、有名になった彼らを襲うメディアとの戦いを放っておいてくれと言う歌詞は皮肉にも

彼らを一番の有名にさせてしまいます。

繰り出される大砲のようなめぐのバスドラと強烈なギターリフは言うまでもなく自分を戦士のようなメンタリティにさせてくれます。

2曲目の「Black Math」はリズムが先頭にたち引っ張るのですが、そこに緩急をつけたりギターの特徴的なソロと曲に奥行きと幅を持たせシンプルなのにバラエティに富んで重厚な印象を残します。

4曲目「I Just Don’t Know What To Do With Myself」は、イギリス出身の、ダスティ・スプリングフィールドのカバーです

サイケの雰囲気とテンションを自在にコントロールするジャックの操り人形になった気分にさせられるリズムはSNAに負けないくらいのインパクトを持っています。

パティスミスを連想させアルバムに必ず1つは入るジャックのアコギの良曲07. You've Got Her In Your Pocket落ち着きのある黄昏の午後を体感できます。

8曲目「Ball And Biscuit」は映画social networkの冒頭で流れるのでそのイメージがめちゃくちゃ強いです。ミニマルなのに脳裏に焼きつくデューてってーと言うリフ。

音数が少ないのに印象的な音楽を作り出せるジャックのすごさに脱帽です。

後半のジャックのお家芸ソロにも注目です。

9曲目「The Hardest Button To Button」では、四つ打ちの重厚なドラムに、奇妙なリフ。

もうこれだけでご飯3杯いけます。

名盤すぎて僕が語ることは残されていませんが、

このアルバムはたまたま評価されただけで基本的に彼らがこれまでやってきた音楽とそこまで大きく違いません。

むしろ前作の方がバランス的には良い感じはしますが、

ブルースをベースに繰り出されるロックの手数は今作は多いと感じると思います。

本作はセールス的に大きな成功を収めました。それは彼らの予想をはるかにうわ回る物で、

アメリカではBillboard 200で最高6位に達しRアメリカで200万枚のセールスを記録しプラチナ・ディスクに認定された。グラミー賞では本作が最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞を受賞し、「セヴン・ネイション・アーミー」によって最優秀ロック・ソング賞を受賞し、2003年の年間アルバム・チャートでは45位を記録します。

21世紀の初頭における最重要バンドの一つとしての地位を確固たるものとした。同年には再びフジ・ロック・フェスティバル出演のため来日するなど、大成功を収めますが、ジャック自身名声を得ることによりトラブルも増えます。

2004年には車の事故で複雑骨折を怠りツアーを全てキャンセル。

初期のアルバムを担当していたプロデューサーと印税や収益の面でトラブルになり裁判を起こされるなど自分の思っていた成功とは裏腹に活動休止を考えるほど疲弊します。。

このアルバムは非常に個人的なものでこのアルバムが世界的にとてつもない大ヒットになるとは予期していなかったとジャックは後に語りますが、YouTubeでのseven nation armyは3億再生を誇りサッカーのスタジアムでは seven nation armyが歌われます。ブルーアーミーと呼ばれるベルギーのサッカークラブ、クラブブルッヘが2004年のCLでACミランと対戦する前にミラノのバーで決起集会を行っていたところこの曲の大合唱が始まったことがスポーツでこの曲の有名なサビが歌われる所以にあるそうです。

2005年に発表されるアルバム Get Behind Me Satanはこれまでエレキギターでレコーディングされてきたアルバムをほぼフルアコでのレコーディングに切り替え、さらには彼らのトレードマークでもあったリフが基盤となっているスタイルをよりリズムに十点を起きピアノやタンバリン他のさまざまな楽器を取り入れ

まだ1曲たりともソングライティングが完成していなかった段階でレコーディングが開始され、ジャック・ホワイトが当時の自宅に設立したサード・マン・スタジオにおいて、わずか2週間でレコーディングされたアルバムはこれまでのヘヴィーさに加え柔軟性が兼ね備えられたことにより一音一音の強烈な破壊力がこれまでよりも違います。

なんとか凶暴性をコントロールできるようになったゴジラみたいな。

一番怖いです。

「悪魔よ、俺の後ろにつけ」十字路で悪魔に魂を売り渡してブルースの神となったロバート・ジョンソンの話のオマージュを想像してしまいますね。

01. Blue Orchidは死ぬほどかっこいいリフト死ぬほどかっこいいリフと死ぬほどかっこいいリフです。2006年のくらいの単独来日ツアーがこの曲で始まるんですけど、

もう音の凄まじさが違います。

どうしたらこんな音が出せるのと思いたくなるほどです。

02. The Nurse,

優しい木琴の上から響く大砲のようなドラムに

無造作なのに計算式のように論理的な構成に感動すら覚えます。

03. My Doorbell 04. Forever For Her (is Over For Me) 05. Little Ghost 6 TheDenial Twist

ピアノとタンバリンのアクセントが加わるとこれほどまでに

曲がポップになり味が変わるのかと言うほど

これまでのストライプスにない可愛さが彼らの悪魔的サウンドと交わり

これまで作ってきた彼らの音楽の公式から脱却して新たな表現方法を確率しています。

優しい管楽器と重厚なドラムギターが甘さと酸っぱさが同居したチーズケーキのように行き来し、ホワイトストライプスの特徴を活かし、それを新しいサウンドに昇華させることで

ホワイトストライプスの完成形だと僕は思っています。

11. As Ugly As I Seemはザアコギブルース。

乾いたアコギに甘美な声。ジャックのこう言うので良いんだよ感と感じてしまいます。

13. I'm Lonely (But I Ain't That Lonely Yet)のピアノバラードは美しすぎて

雑音のないストライプスの世界は本来のストライプスが悪魔的だとするならとても神秘的で天国に連れてかれてるような気分になります。

先ほども言いましたがこのアルバムは音に偏りがなく全てのスタイルが完璧な形で表現されており、彼らの完全体をみているような気がします。

特にこのアルバムを聴いていると

近代コンピューターで音楽が作られ、

真実とはほど遠い曲で溢れる中で

自分の見てきた真実を魂を込めて奏でる彼らの迫力の表現の美しさに口を開けてしまいます。

そこに真実があるからこそ、二人という少人数で人々を感動させられる理由があるのだと思います。

バンドの母国アメリカではBillboard 200で3位に達し、グラミー賞では自身2度目の最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞受賞を果たします。 全英アルバムチャートでは最高3位を記録した『NME』誌のレビューにおいて10点満点中8点を付け「とても大胆なレコードだが、究極的には、何度も聴けば聴くほどまるで悪魔のように面白く魅惑的になっていく作品」と評しています。

先ほども述べましたがこのアルバムリリース後の単独来日音源はまだYoutubeに残っているのでよかったら聴いてください。

とんでもない迫力です。

彼ら最後のリリースアルバムとなるichy thumpは2007年にワーナーbrosレコードから発表さレました。本作のレコーディングまでの間に、ジャック・ホワイトはザ・ラカンターズとしてのデビュー・アルバム『ブロークン・ボーイ・ソルジャーズ』(2006年)を発表。また、ジャックはテネシー州ナッシュビルに移住し、今作もナッシュビルのブラックバードスタジオにてレコーディングされました。

今作のレコーディングは3週間にわたり、ザ・ホワイト・ストライプスのアルバムとしては異例の長期戦となり前作多く使用されたピアノは使用されず、トランペットとバグパイプまた、Univoxの1959年製のシンセサイザーが特徴的なサウンドとして響いています。

事実上最後の発表作になる今作は前作で彼らの最終形態をみた僕には最終形態になった彼らが少年に戻っていく。ベンジャミンバトンのようなアルバムです。

全ての経験と音楽技法を獲得した彼らが最後に自分たちが始めたブルースを土台にしたロックに立ち帰りその全てを出し切る。それほどに迫力と強度のあるサウンドが慣らされています。

01. Icky Thumpではそれが特に顕著に出ていて

めぐの重厚なドラムジャックのとんでもなく痺れるギター、

前作で柔らかいピアノの音は今作ではホワイトストライプスの色に染まり、

角が立ち立ちでここまで来ると

02. You Don't Know What Love Isもそうですが

ジャックのうねる様なギターは

もううまいとか下手とかそう言うのではなく気迫ですよね。

どこかジミーペイジを重ねてしまいます。

04. Conquest

この曲はPVでは闘牛をしている二人が映るのですが、

アメリカのウエスタンを彷彿とさせるトランペットのメロディーと最後のソロと

緩急の付け方、音でドラマの演出をするとはこのことと思えるほど、

曲の中で西洋のガンマンのドラマが展開されていきます。

05. Bone Broke 08. Little Cream Soda はギターの厚みがやあヴァイです。

全ての曲の土台にブルースがあり

それをホワイトストライプスの色で抽出することにより

ポップやフォークロック等の様々な色に変容していきます。

言葉で表現すことができないほど、

音一音一音に迫力と狂気が孕んでおり、

バランスという意味では前作の大傑作とは少し異なりますが、

ホワイトストライプスらしさが

鬼の形相で迫る姿を聴いていると感じます。

本作は多数のメディアによって、2007年を代表するアルバムの一つに挙げられ『スピン』誌のスタッフによる「2007年の40ベスト・アルバム」では10位『NME』誌による「2007年の50ベスト・アルバム」では15位にランク・イン

第50回グラミー賞では本作が最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞を受賞し、バンドは3作連続で同賞の受賞を果たし、収録曲「イッキー・サンプ」は最優秀ロック・ソング賞と最優秀ロック・ボーカル・パフォーマンス2部門にノミネートされ、そのうち最優秀ロック・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞した。

このアルバム発表後二人は活動休止を発表。

そしてその3年後二人は解散の道を選びます。

以下はレコード会社と二人の解散声明文になります。

ホワイト・ストライプスは本日2011年2月2日、バンドを公式に解散することを発表します。今後新たなレコーディングやライブ・パフォーマンスが行われることはありません。解散の理由は、アーティスティックな面におけるふたりの意見の相違や、続けていきたい意志がなくなってしまったからではなく、またふたりの健康状態のせいでもありません。メグもジャックも、健康状態は良好です。理由は無数にあるのですが、でも、最大の理由は、これまでこのバンドが作り上げた美しさと特別さを永遠にそのままにしておきたかったからです。メグもジャックも、ファンのみなさん全員ひとりひとりに感謝しています。また、ホワイト・ストライプスの激しくも素晴らしい13年にも及ぶキャリアを通して得た、みなさんの類い稀なる支援には敬意を表して止みません。サード・マン・レコーズは引き続き、Vaultの購読者と一般のチャンネルを通じて、ホワイト・ストライプスの未発表ライブ音源やスタジオ・レコーディングをリリースしていく予定です。メグもジャックも、ファンの皆さんには、この決断に悲しむのではなくて、むしろ彼らの創り上げたアートと音楽のために前向きなことをしたと思って欲しいと願っています。なぜならこの決断は、彼らの作品をこれまで共有してきたファンの皆さんの気持ちも最大に考えながら、それを尊重して行ったことでもあるからです。
これをもって、以下バンドからメッセージです。
「ホワイト・ストライプスは、もうメグとジャックのものではありません。ホワイト・ストライプスは、これからはみなさんのものなのです。だから、これからは、みなさんの好きなようにしてください。アートや音楽の美とは、もしみなさんが望むなら永遠に存在し続けることができる、ということだと思います。この体験を一緒にしてくれたことに感謝しています。みなさんとの体験は一生僕らの中から消えることはありません。そのことに多大なる感謝をしています。」
心からメグ&ジャック・ホワイトホワイト・ストライプス

彼らがもたらした旧ブルースを現代版にアップデートし、

それを天才二人の圧倒的集中と気迫

変態的な曲構成でぐいぐいと視聴者を引き込み

これまで誰も考えつかないフォーマットで新たな音楽を表現した功績は

後にも先にもホワイトストライプス唯一無二の物で、

それが彼らが圧倒的な存在感を提示できた理由だと思います。

デトロイトの荒廃した街で育まれた、

魂の叫びは

今もどこか世界中で響いています。


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